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第8話 『崩壊』

サラは白いカーネーションの花束を墓にそっと置いた。


サラは過去を思い出す。


連邦捜査局本部オフィス


サラ 「先輩。そろそろ休んで下さい。もう3日も寝てないですよね。」


クロウ 「あと少しなんだ。あと少しでアドを捕まえられる」










サラ 「エヴァさんとライアン君はどうするんですか?」

クロウ 「今はそれどころじゃない」


サラ 「でも。家族の事も考えて下さいよ。2人共寂しがってます。大事なモノを見失わないでください」

クロウ 「今はアドを捕まえる方が優先だ。あいつを野放しには出来ない。あいつらが何人の人を殺したと思ってる。どんな方法かは知らんが、外傷なく人を殺すなんて....」




眉間にシワを寄せて、血眼で書類を漁るクロウ。

サラ 「私が2人に事情を話してきます」


クロウ 「余計なお世話だ」


部屋を出ようとするサラの携帯が鳴る。



クロウ 「よし。ここを拠点に動いてる筈だ。どうにかして....」



サラは耳に当てた携帯を床に落とす。









クロウ 「なんだ。まだいたのか」



サラは涙を流し、膝から崩れ落ちる。



クロウ 「なにがあった?」



サラ 「....エヴァさんとライアン君が....」


クロウ 「2人がどうした?」













サラ 「自宅で、遺体で見つかったそうです」




クロウは一目散に走り出す。



クロウ 「そんな、嘘だ。そんな、そんな事」




車を猛スピードで走らせ、家に戻るクロウ。





家の前にはパトカーが数台と救急車が停まっている。







担架が2台家の中から運ばれるのを見たクロウは、急いで担架の方に走った。




担架には目を閉じたエヴァとライアンの姿があった。




クロウ 「誰の、誰の仕業だ」



救急隊員に怒鳴りつけるクロウ。



救急隊員 「わかりません。外傷がなく、争った形跡もないんです」









隊員の言葉を聞いたクロウは血相を変えて、ギリギリと音を立てて歯を食い縛った。



遅れてバイクで到着したサラは、クロウの顔を見て、何かが壊れてしまったのだと察した。



    


墓の前に立つサラ。



サラ 「エヴァさん。ライアン君。どうか、先輩を許してあげて」







墓を離れ、バイクに向かうサラ。



途中赤いカーネーションの花束が置いてある墓に気づき、花屋の言葉を思い出す。


サラは赤いカーネーションの花束の置かれた墓の前まで歩いた。


サラ 「....マリア・カーペンター」



ボルボに乗っていた、金髪の青年の顔を思い出す。










サラ 「あの子は、誰なの」




バイクに戻り、タバコに火をつけるサラ。




サラ 「楽死屋。先輩とあの子にはどんな関係が....」



エンジンをつけ、バイクを走らせ、
サラはもう一度オフィスに戻った。



9話につづく

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