マガジン一覧

【実況する美術鑑賞#59】ゴーギャン「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」【60分で1記事】

まず自分がこの絵に対して知っている事は、ゴーギャンが描いた絵で、タヒチだったか、南国の島へ行って生活をしながら描いた作品で、「我々ははどこから来てどこへ行くのか」と言う感じの、作家の集大成的な絵だったんじゃないかなって思います。かなり大きな絵だったかなと。 横長の画面で巻物のようにも見えるので、左右どちらかに時間の流れがあったりするのかなと思ったりもしましたが、見ているとあまりそういうわけでもなく、全体的に要素がちりばめられていて、いろんな場面がコラージュのように重なって描

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【実況する美術鑑賞#58】クリムト「死と生」【60分で1記事】

クリムトの「死と生」と言う絵ですね。最初に自分が知っていることを話すと、左側にいるのは死神。棍棒を持っていて、右側にいるのが「生」のイメージだと思うんですけれども、「生」の塊と言うような感じですかね。 いろんな人が折り重なっていて、折り重なっている姿は、死体の山にも見えたりもします。生き生きとしてる赤みがある人もいる一方で、ちょっと青白いような姿も見えます。あばら骨が見えている女の人もいたりとか、筋肉隆々なのか、多少痩せ衰えているような、そういう感じもしますね。あと男性の姿

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【実況する美術鑑賞#57】マリー・ドニーズ・ヴィレール「マリー・ジョセフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ(1868年没)」【60分で1記事】

先日久しぶりに展覧会へ行ってきました。メトロポリタン美術館展。 国立新美術館で行われていたんですが、このメトロポリタン美術館というのは非常にオープンアーカイブが充実していて、パブリックドメインの画像が沢山使えるので、これまでも鑑賞プログラムでたくさん使ってきたサイトです。 今回は実際に展覧会へ行って、会場で気になった作品を何個か連続で取り上げて鑑賞していきたいと思います。 現地で多少を鑑賞したりとか、資料を少し見たりしたので、いつものように完全に初見という形ではないので

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【実況する美術鑑賞#56】ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「女占い師」【60分で1記事】

先日久しぶりに展覧会へ行ってきました。メトロポリタン美術館展。 国立新美術館で行われていたんですが、このメトロポリタン美術館というのは非常にオープンアーカイブが充実していて、パブリックドメインの画像が沢山使えるので、これまでも鑑賞プログラムでたくさん使ってきたサイトです。 今回は実際に展覧会へ行って、会場で気になった作品を何個か連続で取り上げて鑑賞していきたいと思います。 現地で多少を鑑賞したりとか、資料を少し見たりしたので、いつものように完全に初見という形ではないので

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美術鑑賞のあれこれ

鑑賞に関する記事をあれこれと。

【レポート】KANSYOさんと鑑賞デビューしよう!ツアー 【24.3.20】

長野県北野美術館で、去年に引き続き鑑賞プログラムを行いました。 (昨年の様子はこちら。https://yusatoblog.blogspot.com/2023/03/blog-post.html) 昨年とは違う趣向で、もっと分かりやすさ、楽しさを押し出そうということで、今回は「KANSHOさん」というキャラクターに扮して、皆さんの鑑賞デビューを後押しするという枠組みでやってみることにしました。 これが広報としてまず当たったようで、定員を大きく超える60人以上の参加者が集ま

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美術鑑賞を体験するゲームを作りました!

美術鑑賞を体験するアドベンチャーゲームを作りました! こちらのサイトから無料で遊べます!! https://novelgame.jp/games/show/6093 クリックやタップだけで遊べるので、難しい操作は必要なし。 選択によって、得られる情報や作品解説に変化が生まれ、 1つの作品から様々な気づきや発見が生まれます。 バッドエンドはありません。 必ず結末にたどり着けるのでご安心ください。 *プレイ感想などいただけると嬉しいです。 (ネタバレに配慮ください)

【丸ごと文字起こし】美術鑑賞プログラム【ラ・ジャポネーズ】

今年の春から、プライベートレッスン的なオンライン鑑賞会を行っています。 高校生1人と、小学生の親子の、2組3人というメンバーで、月1回、一つの作品を見ながらいろんな鑑賞のワークを行っています。 時間は1回約90分。対話型の鑑賞で互いに感想を聞き合ってもらったり、絵を見ながら絵を描いたり、鑑賞の途中に散歩に出てもらったり、瞑想やマインドフルネス的な時間を挟んだりと、毎回ちょっと変わった作品へのアプローチをいろいろと体験してもらってきました。 特に最近は作品の捉え方やイメー

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違和感で見る「違和鑑賞」 (中学社会科授業として)

こんにちは。アーティスト・美術鑑賞プログラマーの佐藤悠です。 21年11月に東京大学教育学部附属中学校で行ったプログラムを紹介します。 中学3年生の社会科の授業にアートワークショップを挟み、当時の文化に触れながら理解を深めるという独特なカリキュラムで、「日本文化が海外に与えた影響について」という内容が私の担当でした。 そこで、モネ「ラ・ジャポネーズ」を鑑賞しつつ、「ジャポニスム」について紹介する授業を行いました。生徒さんにはタブレットが支給されているので、そこに作品

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絵画を歩く。「さんぽ鑑賞」のススメ

「さんぽ鑑賞」とは、 シート状に拡大された作品の上を、歩き回りながら鑑賞を行うプログラムです。 準備物: 参加者: シート1枚につき4〜6人(偶数人)程度。事前にペアを作っておく。 プログラムの進行(配布されたノートに沿って進行): 0:「鑑賞のヒント」=「超鑑賞と振り子鑑賞」についてレクチャーを受ける。 1:作品の上を歩きながら、よく観察する。 2:観察して「感じたこと・考えたこと」を「鑑賞ノート」に書き出す。 3:『作品について、自身が明らかにしたいこと』=『問

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TD-1(前半)

*実際の音声に、編集や修正を加えたテキストになっています。 TD-1-A: 最初に考えたのは、女性の目線がどこを捉えてるかっていることを考えて… 最初はこの女性の顔に注目したんですけど、どこ見てんのかなって思って、 一見自分で牛乳を注いでいるところを見ているのかなっていう風にも 見えるんですけど、違うようにも見えるなっていうのを感じたのと、 次に注目したのが、部屋の光の差し込み方とかですね。 左上から右下に向かってこう…差し込んでいるなっていうの思って… その次に、そ

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TD-1(後半)

*実際の音声に、編集や修正を加えたテキストになっています。 TD-1-A: 三つの言葉は、ちょっと長めになってしまったんですけど、 「シンプルな構図と 光の演出による 現実と虚構のあわい」 っていうことで…書きました。 最初「問い」で、女性の表情とか思考の読みとりづらさみたいなところと、 そこにどう光とかそういうのが関わってくるかっていう、 「問い」を作ったんですけど、それを考えて資料を読み解いていった結果、 そこにはこう…もっと大きなものが隠されていると言うか… フェル

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TD-2(前半)

*実際の音声に、編集や修正を加えたテキストになっています。 TD-2-A: 私は最初からこの女性の顔の表情に惹きつけられて(笑)。 それで、やりたくないことをやってるのかなとか、 疲れてるのかなとか、金持ちの家のお手伝いさんなのかなとか、 思って見てたんですね。 すごく大きな絵で…ていうかまぁ、引き伸ばしてあるんですよね、これね。 顔をよくよく見ると、物静かな雰囲気の人ではあるんだけど、嫌嫌ではなくて、 誰かのために愛をこめて家事をしようとしているようにも思える。 ってい

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