夕さりの麦酒

26歳、いつまで続くかな

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26歳、いつまで続くかな

最近の記事

誰の歌

六畳一間の小さな部屋 薄いカーテンから深夜の街燈の灯りが部屋を淡く満たす 僕はギターを携え東京事変の「落日」をかすれた声で歌う 地べたに座り、ベッドを背もたれにして 小さなこたつ机には安物のウイスキーが注がれたグラスが二つ 隣では酔っ払って寝落ちした女の子、多分好きな子 彼女は時々目を覚ます そして何をいうでもなく黙って真っ暗なテレビを眺めている ベッドで寝ればいいのに それでも僕は歌う 歌が彼女のどこかに響いているか 彼女の耳にすら入っていないのだろう

    • 明日ってか今日

      かれこれ休職し始めて三、四ヶ月が経とうとしているわけで ちゃんと、しっかり、むしろ人生で最も正確に昼夜は逆転しているわけで だけど5時間後には出勤せねばならぬわけで つまり仕事に戻ります。 お金もまだあるけど、もう逆に希死念慮に駆られて働き出そうと思ったわけです。 自分でも何言ってるかよくわかんないですよ、ええ。 この数ヶ月、いろんな本とか映画に触れたけど 一番勇気をもらったのは洗濯機にかけてしまったAirPodsが2週間くらいで復活してたこと

      • 僕はパイロット(惑星ホス)

        『帝国の逆襲』の冒頭で登場する惑星ホス。そこにあるエコー基地で僕たち反乱軍は帝国軍との来たるべき戦いの準備をしていた。僕は反乱軍の象徴であるミレニアムファルコンのパイロットなのだ。 その日、その時間はロッカールームで仲間たちと談笑していた。きっと戦いのことなど忘れてくだらない話をしていた。戦時中であってもくだらないことで笑うのは大事である。むしろ戦時中だからこその大切な時間だ。そこには学生時代の友人やお世話になった先輩もいた。反乱軍のロッカールームは限られたスペースに作られ

        • おじいさんの夜

          最近よく行く喫茶店がある。 毎週水曜は予定があって、それが終わると僕は阿佐ヶ谷にある喫茶店でイチゴジュースを飲んだり、ナポリタンを食べたり、ビールやジントニックを頂いたりする。 日も暮れた時間、カウンターの右端っこが空いていればそれはもう素敵な1日としてカウントする。 僕はその日、生まれて初めて買った吉本ばななさんの本を読んでいた。奈良美智さんと共作?したひな菊の人生という作品だ。 前回の記事でもカフェで本を読んでいたが僕は元来小説を読まない人だ。ちゃんと読んだものは

          夏も暮れた煙

          19時に渋谷のTSUTAYA前に集合。それまで3時間ほどある。 僕は以前友達と利用したカフェで暇を潰すことに決めていた。そこは居心地が良かった気がするからだ。本も持ってきている。渋谷はこれで三度目だ。 一度目は美味しいと噂のカツ丼屋さんを目当てに訪れた。 カウンターのみの座席にメニューはビールとカツ丼だけという拘りのお店だ。確かに美味しかった。1000円。「東京のカツ丼は分厚いぞ、関西は肉が薄い」東京に引っ越す前、頻繁に利用していたバーのマスターが江戸っ子で上京の際にご

          夏も暮れた煙