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信仰の種子(詩)

―私は生きている
私は死んではいない
私はたぶん空っぽだ
公園のベンチに座って俯いた
地面を蠢く小さな蟻と
ただ人形のような私
どっちも現実で、どっちも意味がある

―私は考える
私は代わり続けている
やはり私は空っぽだ
寓意も暗喩も明喩もない
細胞の死骸が切りとられ
私から分離される
それを吹きさぶ風が飛ばした
そうして私は空っぽになった
だけど風には負けることができない
重力と質量
空間と時間
重さと力
力学的エネルギーと質量保存の法則

―私は悩む
私は何故ここにいる
私はどうしても空っぽだ
メタファーという言葉ですら戸惑う
落ち葉が言ったことには
「私が赤く染まっていたのは
私の中の一部が死んだからだ
そして私の中にある赤という色が
滲んだだけなのだ。嗚呼私は私である」
落ち葉は風に飛ばされる
いつか跡形も無くなると知らずに

―やはり私は空っぽだ
そしてあなたも空っぽだ
そして私は気付く
ならば私達は何処へ
私達は何処から
私はどこからきて、何者で、そしてどこへ行く
神様も偶像なのか
しかし、その答えに辿り着くことはないだろう
スポンジのような私達
空っぽの私達にできることは
信じることだけだ

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