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月と螢

月の光に濡れた岩に
覆いかぶさる苔の緑
太陽の灯りに濡らされた
葉っぱもすでに乾いているのに
あの岩はまだ湿って冷たい

僕は仕方がないという顔をして、岩に座る
雲が月を隠すと、虹色の円がぼやけて見える
街灯はない。ここには
暗い暗い場所。時間は午後9時

目の前の家から訥々とした話し声のように優しい光がカーテンの隙間を縫って外に漏れ出している。
僕はスマートフォンの画面を見る。突然現れた、目が潰れそうになるほどのブルーライトに目を背け、目が慣れるまであの家を見る。少しだけ点滅する光
ズボンが少し濡れる、嫌な感覚。

僕はもう一度スマートフォンを見る。
ここには世界があり人がいる。人がいるはずだ。

僕がスマートフォンをスワイプしていると
世界から光が消える。

目の前の家の住人は寝たみたいだ。
そして月は雲に完全に隠れる。

残る光はこの小さな世界

僕は立ち上がり、歩き始める。

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