手持ち花火
毎年、この時期になると手持ち花火をやりたくなる。
ショッキングピンクに黒に黄緑、これでもかというくらいゴチャゴチャした色合いのパッケージの中には、紙に赤いパイプがついた花火にピンクに金色の線がグルグルになった柄の手持ち花火、スイカ柄の花火。中も負けじ劣らずゴチャゴチャしている。
でもそれがいい。なんでか見ていてワクワクする。
中学くらいの時は友達や部活の先輩を誘って花火をやっていたけど、高校・大学・社会人になるにつれ地元の友人との関係性は薄くなり、連絡を取る機会ががくんと落ちた。
思えば、あの特別感が好きだったのかもしれない。
小さい頃は、まず花火を買ってもらわないといけないし、晴れてないと出来ない、大人に付き添ってもらわないと出来ないし、普段は出る時間のない夜に外に出るその全てをクリアして始めてできるのが花火だった。
BBQ行ってその後花火なんていうイベントは隠キャには起こらない。
そもそも、買っても今はなかなか出来る場所がないなぁとは思う、海も川も公園も禁止されていて買ったところでできる場所が少ない。
そんなことはどうでもいい。
とにかく、花火が好きで買う予定もないのについつい花火売り場があると見てしまう。今は百均にも小さな花火セットがあってすごいなぁなんて思う。
毎年見てると花火って地味に進化していて面白い。
最初に進化に気がついたのは「煙の少ない花火」、これは大分前に登場したと思う。昨今の住宅事情を考えると煙がもくもく出る花火をやるのは憚れる。
次に進化したのは花火についてくる備品?だと思う。例えば光を見るとキラキラして見えるメガネがついていたり、小さい子が怖くないように洗濯ばさみに長い棒みたいなのがついていてそこに花火を挟めば火が近くまで来ないやつとか‥。
最近だとSNS映えする花火っていうキャッチコピーのものを見つけた気がする。
そして一番最近びっくりしたのは、バケツの準備をしなくていい花火!正確にいうと花火自体は普通のものだけどバケツになるものがついている。
袋がついていて、袋の中に粉が入っており袋の中に線まで水を入れると水がゼリー状になり、燃え終わった花火をそのゼリーに挿して最後はそれごと捨てればいいらしい。
確かにいちいちバケツを持って歩くのは煩わしいし、大学生とか社会人の一人暮らしだとバケツって持ってないし。
来年は、3年後は、5年後はどんな花火が出るんだろう?
手持ち花火セットを一人でやるのはなんとなく悲しいけど花火はやりたい。
家の裏の小さな庭で線香花火をやりながら小さな特別感を楽しむ。
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