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61歳FIRE生活【完熟人生の味】 24.8.3 Sat.

少し黒くなりかけたバナナ。
熟してねっとりとした食感と甘さが好きだ。

外皮にたるみが出てきたキーウィ。
熟した実から甘い果汁が滴り落ちるくらいがいい。

毎朝、シリアルに熟したバナナとキーウィを刻み、たっぷりのヨーグルトをかけていただく。

シリアルのザクッとした歯触り、ネットリした甘いフルーツの食感、ヨーグルトのトロミが絡み合う。

これを淹れたてのコーヒーとともにいただくのが僕の定番の朝ごはん。

秋になると毎年田舎から立派な富有柿を送ってくれる。

焦ってはいけない。

僕はいつも一ヶ月ほど放置し、ジュクジュクに熟すのを待つ。
完熟した果実はキラキラと妖しい光と芳醇な香りを放ち、まるで発酵果実酒を思わせる。

これをキンキンに冷やしていただくのが最高に美味い。今年も秋が待ち遠しい。

外皮は黒くなり、シワシワで、果汁が滴り、見た目は悪い。
でも、これが食べ時、最高に美味い食べ方と思っている。

61歳。
僕自身もそうでありたいと願うばかり。気付けば、シミだらけの肌は浅黒く、カサカサで、深いシワが刻まれた。

僕の中身どうだろう。
甘く最高に美味い状態に仕上がっているといいのだが。

月曜日からの伊江島旅行の帰り、那覇空港売店に並ぶマンゴーとパッションフルーツに目が留まった。

立派な化粧箱に入り美しく着飾ったマンゴーたち。実に美しいが、値段も凄い。とても手が出る金額ではない。

ふと隣の陳列棚を見ると、似たサイズのマンゴーたちが1/3の価格でセールとなっている。

「持ち帰り専用」「明日中に」

セールのマンゴーたちには、黒い斑点が浮かび、さらに隣のパッションフルーツには深いシワが刻まれていた。

売店の店員が静かに呟いた。
「いまが一番甘くて美味しい時なんだけどねえ」

元勤務先の同期が言っていた愚痴を思い出す。
「副業でもしようとパート募集に応募してるんだが、60過ぎると大した仕事でなくても落とされる。過去の経歴なんて見やしない。」

61歳、ほんとは甘くて最高に美味いはずなんだが、1/3の価格に甘んじるしかない現実。

僕は、セールのマンゴーとパッションフルーツを包んでもらった。

今夜は、甘く熟した最高の美味さを堪能しよう。


つづく。

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