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「人の気持ちを動かす」を仕掛けることが好き

私の好きの原点

私は中学~大学時代までユーフォニアムという楽器を勉強していました。中学で吹奏楽部に入部したことがきっかけで始めた楽器です。
それまで音楽はどちらかと言えば嫌いでしたが、全員で1つの音楽を練習し続けることで作り出されるチームの一体感、音楽が繰り出す高揚感、静けさ、躍動感は、私に心の豊かさや充実感を与えてくれました。

その中でも、演奏後の余韻に包まれたホールの静けさは、私にとって唯一無二のものでした。聴衆の表情や拍手。会場が一体となるように感じ、頑張って練習した日々や、できなかったことができるようになった達成感が高まり、演奏後の空気感がとても好きでした。

忙しい仕事の中にあった楽しみ

その後、私は中学~大学時代までユーフォニアムと長く続けた音楽の勉強をやめてしまい、社会人としてブライダル業界で働くようになりました。一生に一回という緊張した空気感や新郎新婦のハレの日という華やかさが似ていたから、惹かれたのかもしれません。

毎日忙しい日々でしたが、結婚式を作る中で1つ楽しみにしていることがありました。
それは、結婚式当日に新郎新婦が、驚かせたい人・喜ばせたい人・楽しませたい人。その人の心をどうやって動かすか。
これを新郎新婦と一緒に考えるということです。

例えば、親御様に感謝を伝えたい、お世話になった先輩に「ありがとう」を伝えたい、いつもだと照れくさくていえない兄弟に「これからもよろしく」と伝えたい。
・ゲスト全員の前に出て来てもらうほうが心を動かせるのか、
・こっそり伝える方が心を動かせるのか。
・言葉に出して声で伝える方が良いのか/文字で伝える方が良いのか
一番気持ちが伝わる方法を考えあぐねて迎えた結婚式当日。

仕掛け直前の「そろそろ、仕掛けますか(ドキドキ)」
仕掛けた直後の「すごいいい反応してくれましたね、大成功◎(ニヤニヤ)」
目の前で、ビックリするゲストの表情を見ながら、「大成功」と新郎新婦・結婚式に携わるスタッフ全員のアイコンタクトだけで進む時間が、とても充実していました。
「人の気持ちを動かす」を仕掛けることを楽しみにしていました。

しかし、気づいたのは仕事を辞めてからだった

「人の気持ちを動かす」を仕掛けることを楽しみにしていたと書きましたが、当時はまったく気づいていませんでした。むしろ、大きな責任感や緊張感からの重圧と日々押し寄せてくる仕事をこなすのに精いっぱいで、自分の気持ちには全く目が向けられていませんでした。
今回のテーマ「天職だと感じた瞬間」ですが、私のお話は「振り返ると天職だったと感じた瞬間」が正しいのかもしれません。

では、なぜ後になって気づいたのか。
それは、40歳を迎え、大きな転換期を迎えることがありました。これからどうやって働こうと0から考えるきっかけがあったからです。
これからの仕事のことを考え始めた当初は、「何ができるか」ばかり考えていました。自分には自信が持てない薄っぺらいことばかりが出てきました。行き詰った私は幼少期からのことを振り返り始めました。音楽を勉強していた時のこと、中でも最初に書いた「演奏後の会場後の余韻が好きだったこと」を思い出しました。すると、ずっと辛かったと感じていた結婚式での仕事の中から好きが少しづつでてくるようになりました。

人の心を動かすのが好き。
仕掛ける前のワクワク・ドキドキ感が好き。
仕掛けた後のニヤニヤ感が好き。
誰かと一緒に作り出すのが好き。

その時やっと、あれは私の天職だったと思えるようになりました。好きなことができていたんだと。

私の原点は、「人の気持ちを動かす」を仕掛けることが好き

今の仕事を「これが私の天職です」と大きな声で言えるのは羨ましいなと思います。見ていてカッコいい。凄い努力をしていて、仕事に愛情があって。大きな自信を感じます。私はできなかったと悔やむ気持ち、責める気持ちも沸き上がります。同じような気持ちの方、多いのではないでしょうか。

そんな時「私は自分の原点を知っている」と励ましています。
どんなことも原点を知っていれば、好きを見つけていくことができるのではないかと。

これから、ますます予測不能な時代に入ります。天職に出会うためには自分の感度・尺度を持つことが大切だと感じています。大きな声でなくてもいい。人に向かってなくてでいい。自分に向けて「これが私の天職です」と言いたい。

#天職だと感じた瞬間

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