コンテスト受賞作品のあとがき#ゆたかさって何だろう

なんでわたしだったんだろう?

今もそんな気持ちとは裏腹に、増えつづける「スキ」の数に驚き、noteアプリを開いては閉じ、また開いては閉じをくりかえし、そのことを考え続けている。

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先日、ひふみ投信×noteの投稿コンテスト「#ゆたかさって何だろう」で、なんと審査員特別賞(岸田奈美さん賞)を受賞した。

気軽につけたハッシュタグで、大変恐縮である。

受賞のお知らせを聞いた時から記事が出るまで、

「絶対何かの間違いだ、noteのディレクターさんはこりゃ誰かと間違って連絡しているぞ…そのうち『すみません、間違えました』の受賞取消の連絡がくるに違いない」

と半分本気で思っていたので、このようにちゃんと記事が出て、岸田さんの講評をいただいて、堂々と3万円をもらってもいいことにちょっとホッとしているやら、見たこともない「スキ」の数にあわわわわ…となっているやら、「でもなんでだろう?」の疑問などで、今、わたしの頭のなかはちょいと立て込んでいる。

  ◇

他の受賞作品を読むと、文章力、発想力、展開、構想など、どれをとっても素晴らしく、自分の場違い感が半端ない。
バッチリ皆さんがドレスアップした会場に、間違えてすっぴん、ジーパン、Tシャツ、サンダルの無防備な感じで、のこのこ現れちゃいました、みたいな、なんだかそんな気分である。

だってグランプリ、島田彩さんの作品。

業務スーパーでカニ買って、
「食べるときどんな気持ちになるか知りたい」から「飼う」という発想、めっちゃすごくないですか。

わたしにとって業務スーパーって
「お勤め品の納豆24円?バナナ20円?安っ、ラッキー」
って思いながら買うものを見つけるところであって、
「飼う」ものを見つけるところではないんだもんなあ。
こんな発想、絶対に思いつかない…!

他にも
「ゆたかさをこんな切り口で切り取るのか!」という作品ばかりだったし、2万を超える作品のなかには、他にもそういう意外な切り口をする作品がたくさんあったと思うのに、わたしは岸田さんに掬い上げられた。

なんでわたしだったのだろう?

  ◇

実はこの記事はもともと、
「わたしって一体なにができるんだろう?」
ということを問うところからスタートしている。

コロナで世の中が暗い雰囲気になりはじめて、自粛生活が始まって、様々なひとが様々な分野で奮闘しているのに、「君は何ができるの?」って誰かに言われたら、わたし本当に本当になにも答えられないなあって、すごく激しい無力感みたいなものに襲われて、それがずっと抜けなくて。

そのとき、『レンタルなんもしない人』というドラマを見ていて、こんな台詞が耳に入ってきた。

「あのひとね、なんて言ったと思う?『何にもしない』ことなら僕にもできるっていうのよ」


これを聞いたとき、なるほど、「なにもしないこと」、これも考え方によっては「できること」になるのか、と思った。

…だとしたら。

自分のコンプレックスである「グズ」も考え方によっては役に立つんじゃない?と。

「グズ」って、言い換えれば「早く動けないけど、ゆっくり動ける」ということで、これならわたしは周りのお墨付きで「できること」だ。

これ、何かの役に立てないのかなあ。

…いや、まず「何かのため」「誰かのため」
より、「自分のため」だ。

結局「誰かのため」は「自分のため」で、「自分のため」は「誰かのため」につながるはずだから。

では、まず自分にとって必要なのは何か。

…余裕だ。

では、余裕はどう作り出せるのだろう。

 ◇

そこからはこの記事につながっていく。
時間との関係性を見直し、心に余裕をなるべくつくるようにし、そのなかでそのときそのときで居心地よく自分が過ごせているかどうかを確認し、なにをしているときが楽しいか、その時間は無駄じゃないのか、無駄なのか、ひとつひとつ問いかけながら、確かめていく作業をする。そして、ああでもない、こうでもない、と言葉を当てはめながら、この文章を書いた。

結構悩んだのはタイトルで、
『今いる場所で呼吸、できていますか』
は誰かに向けて、というよりも、
自分をいつでもゼロにもどす意味でつけたタイトルだった。

 
 ◇

以下、岸田さんの講評。

温かくもていねいに紐解かれる、日々の何気ない描写に共感し、そこから導き出されたゆたかさと呼吸の関係性を発見できました。共感と発見のある文章を、わたしはおもしろい文章と呼び、こよなく愛しています。とてもおもしろく、ハナムラさんの人柄が伝わり、ファンになってしまう作品でした。(岸田奈美さん)

仮説、実験、検証、結果と、1本道をたどるような、でもときどき寄り道をするような文章がわたしは好きで、読んでいるとnoteにはこういう文章や作品をつくるひとが非常に多いなあと思っている。
(自分の場合、検証、結果の部分でどうしてもつめの甘さが出てしまって、いまいち納得のいく文章が書けないし、今まで書けたと思ったことがないから、羨ましいなと思う。)

自分のこの記事は検証、結果がやっぱり甘いなあと思いながらも、あとから読み返してみると、自分でも気づきの多いものだった、と思うのだ。

もしかしたらそこを岸田さんは「おもしろい」と評価してくださったのだろうか。…うーん、わからないけれど。

そして講評の「ファンになってしまう」という部分。

めちゃくちゃ嬉しいやないかーい照。

  ◇

今までコンテストバッジがついた人の作品を、「ほへー(すごい)」
と思いながら読み、スキを押していたから、今回つけられる側になったことが未だ信じられずにいる。

noteを始めて4年。
初めてこのようなかたちで文章を評価してくださり、大変うれしく思う。
曲りなりにも書き続けてきてよかった。
最後に読んでくださった方、英香制作室さん(素敵なヘッダー画像をお借りしました)、岸田さん、ひふみ投信とnoteのスタッフさん、改めましてありがとうございました。
これからも自分のペースで書いてゆこう。

2020年 8月吉日 



…こういうあとがき書くの、1回やってみたかったのよ。





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