「白いキャンパスに自由に絵が描きたかった」 〜某スクール見学会での記録〜
「学校は、すでに線が描かれている塗り絵のようなところだった。本当は白いキャンパスに自由に絵が描きたかった」
この言葉は、小学生の頃に不登校を経験した中学生の男の子の口から出たものだ。
ボクは、先日、とあるスクールに見学に行った。そこはとても自由な空間のスクールで、子どもたちがそれぞれ思い思いの時間を過ごしていた。
スクールといってもみんなが思い浮かべるような、冷たい鉄筋コンクリート仕立ての校舎ではなく、一見「スクール?」と二度見してしまうような古民家である。
入った瞬間に、何だかおばあちゃんちに来た時のような安心感とほっこりとした気持ちがボクの中に溢れてきた。
そう、ここは安心と信頼、そして自由で形作られた空間だったのだ。
その見学会では、スクールのスタッフ(先生)からの話はもちろんのこと、在校生、卒業生、保護者の生の声も聞くことができた。
その中で、特に印象に残った言葉が先ほど紹介したものだ。
この言葉は、今の公教育が抱える問題点を鋭く指摘している。
先生はいつも「この線からは絶対に出てはダメだ!はみ出すな」と子どもの元来もっている好奇心や冒険心を規制する。
ほとんどの子は、うまく順応して生きていくために、その規制に従うようになる。自分の中にある好奇心の芽を押し殺して・・・。
好奇心の芽が枯れてしまった子どもたちは、まるで死んだ魚のような目をして1日5時間から6時間もの長時間に渡る授業を受け続ける。学校や先生が設けたルールの中で囚人のように生きる。
そんな、何とも残酷な時間を過ごしてきた子どもたちは、卒業の頃には完全に均質化されたロボットのような人間になる。そう、子どもらしさ、人間らしさを削ぎ落とされてしまうのだ。
その子は、続けてこういった
「でも、ここ(スクール)にきて、白いキャンパスに自由に絵を描く方が何倍も難しいとわかった。」
ボクは「深い!」と感じ、首がもげそうになるほどうなづいていた。
そしてその子は続けた
「最初、ここにきた時、誰からも何も指示されないので、何をして1日過ごせばいいのかわからず苦しくなった時もあった。だから、向き不向きはあると思う。塗り絵が好きな子がいるように、今の学校に向いている子もいると思う。ボク自身は、今すごく自由に描くことが楽しいと感じている。」
本当に中学生か?!とボクはツッコミを入れたくなるほど彼の洞察力に感心させられっぱなしだった。
でも、それだけ深く考えさせられるほど辛く苦しい体験をたくさんしてきたんだなと少し切ない気持ちにもなった。
この子が言ったように、「公教育に向いている子」もいれば「公教育に向いていない子」もいるのが現実だ。塗り絵の方が好きな子もいれば、自由に描きたい子もいるように。
そういった現実を無視してはいけないと思う。もっともっと国は積極的に教育の選択肢を増やしていかなければいけない時期にきているのだ。
実際に、このスクールに通うのだってそれなりの金額が必要だ。また、数が少ないので遠方から通っている子もいる。中には引っ越してくるご家庭もあると聞いた。
このようなスクールが一条校として国から認可され、誰でも選択して通えるようになったなら、もっと幸せに生きられる子どもが増えるのは明白だ。
また、スタッフの方がこんな話をしていた。
「このスクールは安全、健康、学びの責任は全て各々がもっている。普通の学校は全て先生がもっている。そこが大きな違いだと思う」
この言葉も、10年以上小学校の教員を勤めた経験のあるボクの心に突き刺さった。
事実
クラスでトラブルが起これば先生の指導がなっていないと言われ
子どもが怪我をすれば先生の安全管理ができていないと言われ
子どものテストの点数が悪ければ先生の教え方がよくないと言われ
クラスの残食が多いと、先生の食育があまいと言われる
本当に、先生はいろいろな責任を背負わされ、その責任に苦しみ身動きが取れなくなっている。
そりゃ、責任を回避するために子どもをルールでガッチガチに縛りたくもなるよね・・・。
その先にあるのは、
自由の喪失・・・
自分の成長に無責任な子どもの誕生
我が子の教育に無責任な家庭の誕生
そして、子どもと先生の精神崩壊だろう。
こんな、みんなが不幸になるしかないシステムもう辞めにしないといけない。
そろそろ、責任の所在を子どもたちに返してあげないといけない時期にきている。
ルールについての考察はこちらでもしているので、よければどうぞ↓
まとめると
現在の公教育の問題点
教育の選択肢の重要性
責任の所在を子どもに返すことの大切さ
について考えさせられた1日だった。
何事も実際に現場にいって肌身で感じることって大切ですね。
子ども一人ひとりが幸せに生きれる教育環境ができますように。
以上、ガクせんでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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