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私はモンスターワイフ

離婚に向けて別居していた私が、我央くんの謝罪を受け入れて家に戻ると決めたとき、いくつか約束事をした。
その中には、嘘を付かないことと、生活リズムを正すこと、仕事を頑張ることが含まれていた。
しかし1年ちょっと経った今、私の期待値と我央くんの行動に乖離があり、私はモンスターワイフになってしまった。今回はその話をする。

【呼び名について】
我央くん:夫のこと
疑心ちゃん:私のこと


夫の昼夜逆転生活

不倫発覚の前の話。
コロナとは無関係に、何年も前から我央くんは家で仕事をするようになった。元々寝起きが悪かった彼は、出社というノルマが無くなったことで、昼夜逆転生活になってしまった。
その状況は酷くなる一方で、最終的には他の人に仕事を押し付け、自分は朝5時や6時に寝て、14時〜17時に起き、家でテレビを見ながらウトウトするか、パチスロに出かけるような毎日だった。
お風呂には3日入らないのが普通で、酷いときだと5日入らなかった。

私も家で仕事をしているので、一日中彼の酷いイビキを聞いているような状況にストレスが溜まり、頭が狂いそうになっていた。
あまりにも生活リズムが違いすぎるし、そんな堕落した生活の人に合わせていたら私までおかしくなってしまうので、週末は私が一人で出かけることも多かった。
しかし我央くんはその状況が寂しかったらしい。


復縁のために何でも全力で努力すると言った夫

私は離婚を決めて別居したわけだが、何でもするから戻ってきて欲しいと何度も言われた。
私は、仕事を頑張って欲しいこと、今の生活リズムが改善されないなら一緒に暮らすのは無理だということを何度も伝えた。

その度に我央くんは、「全力で頑張る。なるべく出社して仕事をするようにするし、起きられるように頑張る。もう後悔はさせない。」と言っていた。
私は「あなたのした事は一生許せないが、努力をし続ける限りはサポートする」と伝えて別居を解消したのだった。


空振りのサポート

情熱的に誓った我央くんだったが、結局1年ちょっと経った今、彼が自らアラームをかけて朝起きようとしたことは一度も無いし、出社して仕事をしたのも数える程度しか無い。

私はサポートするために、色々と努力した。
まずは毎朝我央くんを起こすようにした。(朝と言っても10時くらい。起こし始めてから毎回30分〜1時間も掛かるので私は朝から疲れ果ててしまう。

しかし結局やる事が無いので起きた後もリビングでウトウトしてしまう。
ご飯を食べたら眠くなってすぐ横になってしまう。
その結果、逆流性食道炎になって嘔吐することが何度かあった。

我央くんは酷い睡眠時無呼吸症候群なので、日中眠いのは睡眠の質が悪いのだろうと思い、病院に行くように頼んだ。
面倒臭がりの彼はずっと先延ばしにしていたが、言い続けて1年経ってやっと病院に行き「重症」診断を受けた。

生活リズムを正すには朝食が大事だと聞き、タンパク質豊富な朝食を作るようにした。
運動不足だし、日光を浴びるのも大切だと聞き、散歩に誘ったりもした。
肥満も睡眠時無呼吸症候群の原因なので、ダイエットのために白米に刻んだ白滝を混ぜたり、夕食の時間を早められるように朝から準備したりしていた。朝から準備できるためには前日にレシピを決めておかなければと思い、夜は翌日のレシピを検索していた。
料理が大嫌いな私にとって、一日中食事に追われるのはストレスだったが、我央くんのサポートのためだと思って頑張っていた。

仕事だって、彼が仕事を続けられるように私が資格を取ったのだ。1週間程度勉強すればとれる資格だったが、我央くんが仕事を頑張ると言うからやったのだ。


サポートのつもりがモンスターワイフへ

私ばかり頑張っていて、我央くんが積極的に頑張ろうという姿勢は見られなかった。
彼が全く努力をしていないわけではない。以前よりはマシになっている。でも情熱的に誓った時のあの期待値からはあまりにも掛け離れていた。

日中起きていても、動画を見たりネットサーフィンをしているばかりの彼にイライラするようになった。

そんな時間があるなら職場に行きなよ…
暇なら家事手伝ってよ…
運動始めるとか、ダイエットのために何か自主的に努力しなよ…
そんな言葉が四六時中頭の中を巡っていた。

何度も「約束はどうなったの?やる気無いの?」と言った。正直自分でも恐ろしい妻だと思うのだが、約束をしたのは彼の方だ。
その度に我央くんは「俺は努力してるけど、伝わらないんだね」と、自分可哀想モードへ突入する。


夫のゲーム中毒でモンスターワイフ過激化

更に我央くんがゲームを始めるようになったら関係が悪化した。
ご飯が出来てもゲームを止めない。夜中もゲームをやって寝ない。

「別居していた時は私のご飯が恋しいと言っていたのに、今ではご飯が出来てもゲーム優先なんだね」
「別居していたときは早く寝られるようにスマホを見ないとか努力してたのに、今はもうそういう努力はしないんだね」
嫌味や文句を言った。文句を言われるのが嫌で、我央くんはそのゲームをやめた。

しかし暫くすると、また別のゲームを始めた。
これは他の人とチャットをしながら進めるゲームで、またご飯が出来てもゲームを続けるようになった。
常にゲームを開いていて、話しかけても聞いていなかったり、聞いているようでも内容を理解していなくて見当違いな回答が返ってくることが増えた。
出かける準備中もゲームをやりながらだから今までの倍の時間かかるようになっていた。出かけた後もしょっちゅうゲームを開くから、私はお出かけ自体が楽しくなくなった。
トイレにもゲームを持ち込み、毎回今までの倍の時間はトイレにこもっていた。
仕事でやらなければいけないことがあっても、ゲームをしながらダラダラ進めるから予定をどんどん先送りすることもあった。もうここまで来ると中毒だ。

我央くんは
今忙しいんだ。やることがいっぱいで大変なんだよ。俺は皆に頼りにされちゃってて、俺がいないと組織が回らないから。放り出すとか無責任なこと出来ないよ
と言っていた。

収入を得ている仕事に対する責任感はどこ行った??
私との約束を守るという責任はどうでも良いのかと呆れた。
それにゲームの中で頼りにされていることに自分の存在意義を感じているようで、なんだか気持ち悪いと思うようになった。
(不倫したときだってそうだ。ネット上で頼りにされて、それが嬉しくて好きスキーってなっていたのだ。)

別にゲーム自体は構わない。節度を守って欲しいだけだった。
我央くんには、食事中は食事に集中して欲しいことと、話しかけて聞いていない状況が嫌だと伝えた。
すると、驚きの回答が来たのだ。

食事ができてすぐにゲームをやめることは出来ないので、料理を作り始める時に目安の時間を伝え、更に出来上がる5分前くらいにも声を掛けて欲しい。
真剣な表情をしている時はゲームに集中しているので話しかけないで欲しい。顔が見えない時はまず「我央くん」と声を掛け、反応があったら話を続けて、反応が無かったらゲームに集中しているときなので後にして欲しい。

え?なに?私、家政婦か何かですか?
お互い家を仕事場にしていることもあり、普段他愛無い会話が多い夫婦だったが、いちいち顔色伺いながら話しかけるとなると、もうそもそも話しかけようとさえ思わない。

結局私の不満は溜まる一方で、私の小言が増え、夫は耐えかねてゲームをやめた。
(追記:結局後日そのゲームを再開してました)

このゲーム中毒状態を友人に話したら
「ゲームで忙しいって何?ゲームで稼いでらっしゃる?配信して収益を得てらっしゃる?って言ってみたら良いんじゃない」
と言っていて、こういう愛嬌ある皮肉を思いつく彼女はすごいなぁと思った。

友人の中にはゲームばかりしている旦那のことをスルーしている人もいる。
でも彼女には子供が2人いて、旦那さんには生活費を入れてもらえれば子供達と楽しく過ごせるから良いらしく、旦那さんには何も期待していないらしい。
うちは夫婦二人だけなので、スルーしたら単なる家庭別居になってしまう。


モンスターワイフ、疲弊する

私だって我央くんの楽しみを奪いたいわけじゃない。小言なんて言いたく無い。毎日笑顔で過ごしたい。

私は、我央くんは自分の好きなことだけして暮らしていけば良いと思ったから離婚を決意したのだ。
好きなだけ寝て、スロット行って、ネットで知り合った女を抱く生活をすれば良い。そこに私を巻き込まないで欲しいんだと何度も伝えた。
本当に、何度もなんども伝えたのだ。

それでも「疑心ちゃんさえいれば何もいらない。自由もいらない」と言ったのは我央くんの方だ。
もっと自分で考えて行動を変えてくれると期待してた。
自分一人で努力するのが難しいなら、私がサポートしようと思った。
今後一生一緒にいるつもりなら、お互いに健康が大事で、睡眠・食事・運動をちゃんとしないといけないと思う。
生活リズムの乱れは彼のメンタルの凶暴性にも影響していると思うから。
でも本人に問題意識が無い限り、私の想いは単なるウザいものになってしまう。

出来ないなら何故約束したの?
何故そのまま離婚してくれなかったの?
結局その場を繕うための嘘だったの?

きっと私は間違ったことは言っていない。
ちゃんと経緯を分かっている人なら、私のストレスを理解してくれるだろう。

でもやはり、今の私は異常だ。そのせいで自分自身も苦しめている。
私は「約束」に縛られて我央くんをコントロールしようとしている。

モンスターワイフを卒業したい

今回書いたこと以外にも、我央くんには問題が山積みだ。でも勿論良いところも沢山ある。
仕事を積極的にはやっていないが、お金に関して私に苦労させることは無いだろうし、私のしたいことを叶えようとしてくれる人だ。
日常的に私を気遣ってくれ、女性として褒めてくれる。
私が疲れて料理が出来ない日が続いても、文句を言わずに外食に連れていってくれる。
我央くんは私をコントロールしない。それは不倫発覚前からそうだった。

我央くんは、私が期待したほどは頑張ってくれていないが、酷かったときに比べたら良くなっている。
これだけガミガミ言われても、私との結婚生活を放り投げずに、言われた通りに従おうと意識してくれている。

「約束」に縛られなければ、こういった幸せにもっと目を向けることが出来るのに…
私がどうしても約束に固執してしまうのは、このまま約束を無かったことにしてしまったら、ただ昔の状態に戻るだけじゃないか、不倫した者勝ちじゃないか、という想いがあるからだ。

でももう疲れた。このままでは私は人相の悪いオバさんになってしまう。
我央くんが少しでも約束を意識してくれているなら、もう良いじゃ無いか。

正直離婚は面倒臭い。別居のときでさえ大変だったのに、離婚に至るには住宅ローンの問題も出てくる。

少しでも離婚を回避したい想いがあるなら、自分のために、自分の意識を少しずつ変えていこう。笑って過ごせるように工夫しよう。



おまけ:別居婚なら上手くいくのになぁ

蛇足だが、不倫というのは本当に都合の良い関係だと思う。不倫相手はこの堕落した夫の生活を知らずに済むのである。
夫は優しくて、マメに連絡をくれる人で、よく話を聞いてくれて、お金もケチらずに使ってくれる人だ。
不倫相手にとっては最高だろう。不倫は正に"良いとこ取り"の関係だ。
パチスロに行っていたり寝ていたりして連絡が取れないとしても「仕事で忙しかった」とでも言えば相手は納得するのだ。

私だって一緒に暮らしていなければ、我央くんにもっと優しく出来るし、会っているときだけ可愛い女を演じるのは容易いことだ。
別居婚なら夫婦関係は良くなるだろうが、我央くんの中には別居婚という選択肢は無い。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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