火山の地層は「中身」が大切!:火山性堆積物の分類part3【地質のきほん:その6】
(※トップ画像はいらすとやより)
これまで2回にわたって火山の地質についてお話してきました。
そのまま冷えて固まった場合は「冷える早さ」と「成分」で分類(※詳細はコチラ)。
噴火したものは「粉とカケラの割合」で分類(※詳細はコチラ)しますが、「どうやってできたか?」も考える必要があります。
入ってるモノは何か?
では「どうやってできたか?」を知るカギは何かと言いますと、大きく分けて2つあり、その1つは「入ってるモノが何か?」です。
入ってるモノの代表と言えば軽石とスコリアです。
〇軽石とは?
軽石(出典:産業総合研究所)
これが軽石。マグマが上昇して地上付近まで来ると、圧力がかからなくなることで溶け込んでいたガスが抜けていきます。炭酸飲料の泡のようなものと想像してもらえれば良いと思います。
そのガスが抜けた穴がたくさん見えますよね。
そしてこの軽石があれば爆発した証拠になるんです。
ちなみに軽石は安山岩~流紋岩質のドロドロ系のマグマからできます。
〇スコリアとは
良い写真が見つかりませんでした。スミマセン。
簡単に言ってしまうと、軽石の玄武岩バージョンです(笑)
黒っぽくてガスが抜けた穴があるのですが、軽石ほどではありません。
出典:気象庁阿蘇山火山防災連絡事務所
写真小さいですが、こんな感じでしぶきが飛ぶ噴火(ストロンボリ式噴火)のしぶきが冷えてスコリアになると考えれば分かりやすいと思います。
スコリアがあれば「爆発的な噴火はしていない」と言えます。
内部のカタチ(構造)を見る
もう1つのカギは内部のカタチです。専門的には「内部構造」とか「堆積構造」などと言います。
例えば軽石が関係するものでも、「軽石流堆積物」とか「降下軽石堆積物」などがあります。流れたか?降ったか?です。
これはそれぞれの軽石の大きさが揃っているかどうか?などから判定されます。
噴火で吹き飛び、どこかで落ちるわけですが、小さければ遠くまで飛びますし大きければ近くに落ちます。つまり同じ場所ならだいたい大きさが揃います。こんな感じです。
降下軽石堆積物:産業総合研究所より
内部構造、堆積構造には他にも色々ありますので、いずれ別記事で詳しくお話しします。
陸上で爆発していない場合
と言うことで、中に入っているものと内部構造などの情報を組み合わせて「どうやってできたか?」を考えます。
その中でも代表格である「爆発したか?していないか?」について、まずは爆発していない場合を見ていきましょう。
主に玄武岩質のマグマの噴火です。
〇"しぶき"でできる地層
上でもお話ししたように"しぶき"はスコリアになります。
このスコリアがたまって丘をつくれば「スコリア丘堆積物」、斜面を流れ下っていれば「スコリア流堆積物」と呼ばれます。
前回の三角形の分類だけだと「ラピリストーン」や「火山礫凝灰岩」という名前になってしまうでしょう。
〇溶岩流でできる地層
溶岩が流れている時、空気に触れている表面や地面に接している底面の部分は冷えて固まります。
でも内部はまだ熱く流動的で、また後ろからマグマがどんどん流れて押してくるので、固まった部分はバキバキに割れてしまいます。
出典:本宿陥没研究会(2018)
これは「ランプ構造」という特別な構造を説明する図ですが、そこ以外は一般的な溶岩流です。
周りにゴロゴロとした石が皮のようにまとわりついていますね。これが固まった部分が割れたもので、クリンカーと呼ばれます。
崖でこの部分しか見えない場合、三角形の分類では「火山角礫岩」「凝灰角礫岩」「火山礫凝灰岩」などの名前になっていまいます。
爆発した場合
爆発した場合の地層の代表格は火砕流堆積物です。
その中でも「溶結凝灰岩」は火砕流が停止した時も熱が残っていて、再度溶けてしまったものを言います。
溶結凝灰岩:産業総合研究所より
白いのは軽石なのですが、レンズ状になっていますよね。これは熱で溶けて柔らかくなり、自重で潰れてしまったためです。
このカタチを「ユータキシチック構造」と言い、これがあれば溶結凝灰岩で火砕流堆積物だったと分かります。
三角形の分類だけだと「凝灰角礫岩」になります。
爆発した証拠は他にもありますが、それもまたの機会に。
今回は以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
本宿陥没研究会(2018)群馬県下仁田町に分布する本宿層中の第二次陥没に関する新発見.下仁田町自然史館研究報告,第3号,P.1-12.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?