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逃げるイノシシ、追う小犬【地質調査の思い出part1】

ここ最近は鳥取県の地形・地質についてお話ししていましたが、今日はちょこっと小休止。
私が野外調査で経験した思い出の中から、今回は大学生の時の経験談をしていきたいと思います。

山歩きの注意点

今はどうか分かりませんが、私が大学生だった当時は、研究のために1人で山を歩き回るのは当然のことでした。
もちろん、最初は少し怖かったです。
だってハイキングコースでもなければ登山道でもない、本当に何もない単なる山の中を歩き回ることが多いのですから。

頼りになるのは、自分の頭と身体、そしてコンパスと地形図。
万が一野生動物と遭遇した場合、武器はロックハンマーかナタ(ヤブを伐開するため)のみ(笑)

私の研究対象地は幸い熊はいませんが、イノシシには注意していました。

でも実は、もっと怖い生き物がいます。
それはハンター(猟師)です(;^_^A

先生や先輩から散々注意喚起されました。

「ハンターは散弾銃を使う場合が多いので、動物と間違われて、万が一撃たれたら助からない」

「もし山の中で犬の鳴き声が聞こえたら、まず間違いなく近くにハンターがいるので、大声で『人間で~す!!!』と叫びなさい」

と・・。お、恐ろしい・・・。

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月山のとある森林風景:筆者撮影

イノシシとの遭遇

そして、とある日の早朝。
いつものように、調査したい場所の手前の道路わきに車をおき、山に入る準備をしていた時のこと。
不意にガサガサガサッと音が!
ギョッとして周囲を見回すうちに、谷の方からガサガサ!ドドドド!!とイノシシ登場!!!

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いらすとやより

ビックリして車内に逃げ込もうとする私には目もくれず、道路を横切って、反対側の山側へ。高さ2mほどのブロック擁壁を一瞬で駆け上がり、山中へ・・・。
猪突猛進とは、まさにこのこと!

かわいい小犬ちゃん!

「行っちゃった・・・」とホッとする間もなく、今度は鈴の音とともに、キャンキャンキャン!という鳴き声が近づいてくる。

なんとまぁ可愛らしいダックスフンドみたいな小犬が!

きゃわいい~💛 と思った瞬間、「ハッ!これは猟犬?!」
でもさすがに、道路に散弾銃を打ち込むことはないだろうと、様子を見てみる。
犬は道路の真ん中あたりで、クンクンと地面のニオイを嗅ぎながらグルグルまわり、私を見つけ、近づいてきた・・。
私はとっさに「イノシシなら、あっちに行ったよ!」と擁壁を指さすと、キャンキャン!と吠え、回り込んで山へ向かった模様。
さすがに、小柄なダックスフンドは擁壁を越えられないということなのでしょうね。しかも人間の言葉が分かるの?
ちゃんと「お礼」のように吠えたし、可愛い犬でした。

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いらすとやより


逃げるイノシシ、追う小犬!!

それからまたまた、ホッとする間もなく、どこからともなくキャンキャンキャン!と、さきほどの犬の声が聞こえて来る。

身構えてると、また谷の方からガサガサッ!ドドド!!とイノシシが。
今度は私とは反対側の道路の下り坂へ向かって走り去っていく・・・。

間髪入れずに、さっきの小犬もやってきて、今度は真っ先に私を見る(笑)

「あっちに行ったよ!」と下り坂方面を指さすと、すかさず走っていく。

「あんなに大きいイノシシが小犬に追い立てられるのかぁ・・」とちょっとクスッとしつつも、この場が攻防戦場になってる雰囲気。
これから山に入って巻き込まれたらヤバいなと考え、念のために小一時間ほど車内に避難してました。

それ以来、あのイノシシと小犬は来ませんでした。
その後は、とどこおりなく山を歩き、目的を無事に達成。

イノシシが擁壁を駆け上がった瞬間や、小犬ちゃんの姿。今でも記憶は鮮明です。とても楽しい思い出をありがとうございました。

私は楽しかったですが、一番必死だったのはイノシシですよね(笑)
その後、ご無事だったかどうかは、当事者(イノシシ、小犬、ハンター)しか分かりませんね・・。

今回は以上です。
お読みいただきありがとうございました。




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