川の流れの狭い場所に注意!:河川の変な流れ探索part2(岩手県南東部中山間地域)【流域を考える旅vol.1】
まずはじめに、今回の台風10号で被災されたすべての人々に、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
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川の流れを見ながら、あれこれ考える旅。
前回は盆地じゃないのに盆地っぽい地域の北部と中央部を見ていきました。
今回は南部と周辺部を見ていきましょう。
盆地じゃないのに盆地っぽい地域の南部
さっそく地形図を見てみましょう。
一番北の広い谷は前回紹介した千厩川です。谷幅が広いのは上流域だけと言う、なんとも不思議な川ですよね。
そしてその他には特に目立つ谷地形はありません。
川の流れを図示するとこんな感じ。
北が千厩川で南が大平川(おおだいらがわ)で、別々の水系でした。
やはり、この地域外に出るあたりで川幅の狭い渓流になりますね。
ちなみに西を流れている大きな川は東北一の河川である北上川です。
地域最南部の水系を見る
この地域の最南部を流れる大平川は、実は本流ではありませんでした。
北が大平川で、南の濃い青線が黄海(きのみ)川です。
やはり西の北上川に合流しています。
地域外の変な川
地域外にはなってしまうのですが、同じ水系に含まれますし、何より変なので紹介させてください。
東側が興田川(おきたがわ)と砂鉄川です。
そして真ん中を北から南へ流れているのが猿沢川です。
え?どこが変なの?
よ~く見てみてください!
実際の川の流れはこうなってるんです!
広い谷地形の途中から、何故かムリヤリな感じで西に曲がり、渓流になります。パッと見では赤矢印のように南下しそうですよね・・。
猿沢川は赤で図示しています。
真ん中の水色は約1万年前から現在までの河川性の堆積物です。
それ以外は非常に古い古生代ペルム紀(約2億9900万年前から約2億5100万年前まで)の地質で、トーナル岩に焼かれて硬くなっています。
全体像をもう1度
では盆地じゃないのに盆地っぽい地域の全体像を見てみましょう。
濃い青線が砂鉄川です。この地域で一番大きな水系です。支流の興田川も含め、この地域の縁辺部の山地よりも外側に源流があります。
南の千厩川、大平川ともに西~南西へ流れ、地域縁辺部の山地を超えて流れ下っています。
やはり西の山地を超えるところで狭窄部になるため、地域内の河川はたびたび氾濫したのではないかと考えられます。
実際に千厩川は平成14年に狭窄部で氾濫が起き、浸水被害があったそうです。
この地域の河川はどれも狭窄部がありますので、おそらく過去に何度も氾濫が起こったと考えられます。
また篠山盆地のように過去の一時期に湖沼になっていたり、湿地になった時代もあったろうと思われます。
その時に上流部に土砂が堆積し、広い谷地形に平坦な土地がつくられたと考えると、上流部だけ谷幅が大きいのも頷けます。
またこの地域内では他にいくつかの奇妙な地形があり、何かが原因で川の流れが変わった形跡があります。
次回以降では、河川の変遷についてアレコレ考えていきたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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