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ポッコリ山はどのようにできた?【都道府県シリーズvol.10富山県part2:東部山間地域no.1-3】

富山県の東部山間地域では、日本列島がまだ大陸の一部だった中生代三畳紀(約2億5000万年~2億年前)から現在までの地質が分布しています。
その中でも新第三期の地質が分布する範囲の中に、小さいながらも、丸い形で目立つ「ポッコリ山」があります。

場所のおさらい

どこにあるのか?
場所をおさらいしましょう。

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。 なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト) ※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

富山県東部山間地域は、上図の②です。

②地域は上図に示す7市町それぞれの一部地域で、今回は上市町(かみいちまち)が舞台です。

ポッコリ山は大岩山?

ポッコリ山と呼んでいますが、私が勝手に名付けただけなんです(笑)
何せ正式名称は不明なので、名前をつけないと不便ですからね(;^_^A
おそらく地元では何らかの名前で呼ばれているでしょうが、ここでは仮称として「ポッコリ山」と呼びます。

画像やや中央の標高292mの山です。
山の西には大岩日石寺石仏と書いてあります。

上市町のホームページによると、大岩山日石寺にある磨崖仏だそうです。
ということは、ポッコリ山の正式名称は大岩山なのでしょうかね?
なんと聖武天皇の時代につくられたという、由緒あるもののようです。

こちらのサイトでは、石仏の写真が3枚掲載されています。
かなり立体的に彫られており、表面はなめらかですが、ところどころ小さい穴が見えます。
この岩は凝灰岩とのことで、写真を見る限り、細粒の火山灰と軽石で構成される凝灰岩のようです。

大岩山日石寺のもう1つの名物が「六本滝」という人口の滝(上サイト参照)で、修行体験ができるそうです。

でも私が気になったのは、この滝の左右にある大きな岩塊です。
真ん中の滝行中の人の背後は石垣ですが、写真の左右の端っこには、直径2mを超えるような大きな岩塊があります。

上のサイトへ飛んでトップ画像を見てみてください。
六本滝の背後は綺麗に石が積まれており、左右の岩塊と隙間なく積まれ、岩塊と一体となるように石垣がつくられています。
見た目的にワザワザこのようなデザインにしたとは考えにくいので、「岩塊はもともとあった」と思われます。

なぜ岩塊が気になるのか?

みなさんは「ナゼそんなに岩塊が気になるのか?」と思うかもしれません。
これは私のもとの職業(土砂災害復旧のための現地調査など)のクセのようなものなのですが・・(;^_^A

直径2mを超えるような岩塊は、自然条件では容易には運ばれません。
人が運んだものではないのなら、概ね以下の3パターンになります。

①もともと、そこにあった
岩盤が部分的に風化し、風化した部分だけが水に流され、風化しなかった硬い部分だけが岩塊として残った。
②近くの崖から落石してきた
③過去に土石流が起こり、その時に運ばれた
通常の川の流れでは直径2mを超えるような岩塊は運ばれませんが、土石流であれば運ばれます。
(※土石流で運ばれる岩塊の大きさにも限界はあります。)

近くに崖があったり、30度を超えるような斜面が近くにあれば不思議ではないのですが、平坦地や緩やかな斜面に直径数mもの岩塊があるということは、何らかの意味があるのです。
そして、その岩塊がそこにある意味を解き明かすことで、その地域の大地の成立ちの歴史を知ることにもつながります。

ワクワクしてきませんか?
しかし、長くなってしまいますので、次回へ続きます!
お読みいただき、ありがとうございました。


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