ナゼこんなに池だらけなのか?考えてみた:三重県西部平坦~中山間地域【ふるさと探訪vol.8】
三重県の西部平坦~中山間地域(上野盆地)は多数の断層運動でできた盆地でした。しかも古琵琶湖と呼ばれる湖があり、その地層があちこちに分布しています。
その名残なのか、何故か池が多いんです!今回はその謎を追ってみます!
場所の確認
はい。まずは場所を再確認しましょう。
西部平坦~中山間地域は上図の⑤地域。
伊賀市と名張市の一部地域になります。
池だらけ!!
ではさっそく行ってみましょうか。
やはり、北の崖(急斜面)は目立ちますね!!
アップ!!!
崖を境にして、北は標高が高めで、南は低めですよね。
さらにズーム!
断層を境にした高低差がハッキリしていて、しかも真っすぐ!
山地と平坦地のコントラストがはっきりしてますよね。
国土地理院地形図をかぶせてみると印象が変わります。
かなり川が流れていて、池があちこちに見える。
さらに拡大してみると、アレ?池、結構多くない??
さらにズーム。
え?イヤこれ、明らかに多くないですか?
ほぼ「池だらけ」な印象ですが・・・。
これを見ると、さすがに自然の池ではないですよね。多すぎです。
でも農業用に人間がつくったにしても、どうなんでしょう?
農業の専門家じゃないので分からないですが、こんなに必要なもんなのでしょうか?
さらに南を見ても、かなりの数、ありますよね。
す、すごい・・・・・。
うおおおお・・・・。
こんなんでは、お池にハマりまくってドジョウさんの身体がいくつあっても足りませんよ・・(;^_^A
理由を考えてみた
イヤほんと、なぜ??ですよね。
他の地域でも池が多めだなと思うところはありましたが、それにしても多い。なんで?
論文の情報や地形・地質データの考察などから、理由は2つあると考えました。ただし、その理由のうちの2つ目は私個人の見解です(;^_^A
でも一応、地形・地質の専門家のハシクレとしての、データに基づいた見解ですので、ご了承ください♪
理由①:花崗岩のせい?
いきなり花崗岩が原因と言われても分かりませんよね。
これについては川辺ほか(1996)という論文で地下水調査の結果があり、その内容を要約すると「花崗岩が水を堰き止めているために盆地内に地下水がたまっている」とのことでした。
どういうことなのか?詳しく見ていきましょう。
ここは上野盆地北部の伊賀市です。
盆地内の主要な河川をなぞってみました。
濃い青色が木津川(きづがわ)、水色が服部川(はっとりがわ)です。
地形だけを見てみましょう。やはり河川周辺は真っ平ですね。
ここには約1万年前~現在の河川の堆積物(泥、砂、礫)がたまっています。まだ新しく固まっていないので水が浸み込みやすい地質です。
つまりこの地域に降った雨水が一度、河川堆積物に浸み込み、徐々に川に集まり、流れ下っていきます。
しかしこれがどうも、スムーズに流れない。
地形を見て何か気になりませんか?
そう、コレです。途中で川幅が狭くなり渓谷になっているんです。
渓谷がボトルネックになり、上流に水が溜まる。
平野の河川堆積物の中は、水でタプタプになっているということです。だから池が多いんですね。
そしてこの渓谷が、花崗岩(正確には花崗閃緑岩)でできているんです。
花崗岩類は風化が進むとボロボロになりますが、もとは硬い岩石です。
渓谷で堰き止められるため、大雨の時には水害が起こりやすい地域です。
実際、昭和28・34年に水害が起こっています(木津川河川事務所ホームページより)。
おそらく、もっと昔から何度も水害が起こったでしょう。
そして水害の名残として出来た池もあったと思います。それを人間が利用し、維持管理したものもあると考えられます。
理由②:断層のせい?
はい。もう1つの理由はこれだと思います。
が、長くなるので次回へ続きます!
お読みいただき、ありがとうございました。
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参考文献
川辺孝幸・高橋裕平・小村良之・田口雄作(1996) 上野地域の地質.地域地質研究報告( 5 万分の1地質図幅),地質調査所,99p.
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