こういう悩みだってある
悩みは若者の特権だ
ぼくはかなり悩みなく生きているつもりだけど、最近こういうネット記事を見かけた
先が短くなるとイヤなことはすぐ忘れるようになるのだそうで、つまりクヨクヨできるのは
なのだという。
だからといって、あわてて悩みがあるようなことを書いても若作りしているようでみっともないので、いまさら悩みがあるとは言わないけど、とはいえ、実際にどうなのかと言われれば、悩みがまったくないと言えばウソになる。むしろ、悩みはあると答えたほうがいいのではないかなあ(笑)。
そういうわけで、今日はぼくの悩みについて。「こういう悩みもあるんだなあ」とあきれていただければ。。。
悩みがないことはない
話しは変わるが、以前にも書いたことのあるエピソードをもう一度紹介してみたい。太平洋戦争中のとある帝国大学での話だ。
その大学の生物学教授は、構内の水槽の生物の研究に没頭していたそうだ。彼は水槽以外のことは一切アタマになく、やがて1945年8月15を迎えた。そして弟子から
と告げられたその教授は
と答えたのだという。
なかなかここまで世間を超越できないもんだけど、それでも、本音ではぼくもこんな感じで生きたいのである。にもかかわらずそれができないというのが悩み。
心は量子で語れるか
たとえば、1日に自由な時間が3時間あったとしよう。ぼくならそのうちの1時間は体のメンテナンスに充てて、もう1時間は心のメンテナンスに充てる。つまり、映画を見たり音楽を聴いたりする。
そして、残りの一時間は、こういう方面に没頭したい。
この本で、ペンローズは数学者ならではの視点からアインシュタインの功績を語っている。それは
ことを示したことにあるのだと。
一般相対性理論は、実験で得られたデータにあと付けで数学を使ったのではなく、純粋に非ユークリッド幾何学を土台に成り立っている。
一般相対性理論は1915年に完成しているが、観測結果による裏付けが得られたのは1974年のことだ。アインシュタインの見出した「数学的構造」は、60年後に2万1千光年かなたの連星の重力波として確認された。
だとすれば、その構造は、人類が誕生するよりも、恐竜が誕生するよりも、地球が誕生するよりも前の、宇宙の誕生時点から自然の中に備わっていたとした思えないのである。
こうして、数学は人類がでっち上げた架空の構造物ではないらしいということが明らかにされつつある。つい最近も、一般相対性理論にもとづく重力波がブラックホールから検出されたことが話題になった。
一歩でも先へ
天才ニュートンですら知らない事実を、アインシュタインより後の時代に生まれたというだけで知ることができて、ホントにラッキーだ。
地球が誕生して46億年。それにくらべれば人間の一生なんか一瞬とすらいえないにもかかわらず、アインシュタインのちょっと後に生まれたというだけで、こういう発見に接することができる。46億円の宝くじに当たるよりもラッキーだと思える。
そして、いま生きているからこそ、もうちょっと先まで行きたいのである。
これからさらに1000年、2000年、そして1万年もたてば今では想像すらできないような事実が明らかになるだろうが、それまでは待てない。ぼくには数十年も残ってない。
だから、自由に使える時間はすべてそっちへ費やしたい。はたしてペンローズの言うように、ヒトの意識の本質を理解するうえで量子力学が役に立つのかどうか、メインストリームのアカデミズムには使えない手を使ってゼンツッパで進んでいきたい。
だが現実は甘くない
しかしそうはいかないのだ。世界では戦争も起こっているし、ウイルスも広がっているし、環境破壊も進んでいる。しかもアメリカのエリートは致命的にアホである。なので、ぼくの貴重な3時間のうちの1時間はこのアホのケツ拭きに奪われる。
冒頭で書いた生物学教授のようになりたいとは思うが、ぼくには戦地に駆り出された若者の苦しみを無視し、水槽のことだけ考える強さも鈍感さもない。
一人で生まれてきたのではないし一人で生きているのでもなく、きれいな空気も水も食料も平和もすべて授かったものだ。それを維持するために相応の責任を負うのは仕方のないことだと思ってしまう。
もともと政治や経済が好きなら、その好きを「正しさ」と呼び変えてゼンツッパでいけるのだろうが、ぼくはちがう。そんな
アホなエリートのケツ拭きには自分の時間を1秒たりとも使いたくはない
のが本音だ。1秒たりともである。
ついでに言えば、来年どういうカルチャーが流行るかとか、数年後にどういうテクノロジーがカネになるとかいうことも、本当はどーでもいい・・
と言いたいところだが、今の時代に才能はそういう場所に集まるので目を向けざるを得ないというか、時間を使わざるを得ないのが、悩みと言えば悩みである。
といわれえばそのとおりなんだけど、それを言っちゃあおしまいだ。
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