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やはりこの人からは目が離せない

いま世界の動きはどんどん加速していると感じるけど、その中でも高城剛という人は、

フットワークの軽さ世界一

ではないだろうか。ちなみに第2位は

捕まる前のジュリアン・アサンジ

である。

その高城剛さんが監督、脚本、撮影を務めた映画『ガヨとカルマンテスの日々』が公開された。11月26日公開で本日12月2日が最終日なので、上映期間は1週間しかない。しかも上映館は「ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場」1館のみ。昼と夜の2回上映なので、国内では合計14回しか上映されていない。

また、来場者全員に「非売品の本」が配られる。トップ画像に載せたやつで、ページ数はよくわからないけど300ページ以上はあって全編カラー。

市販したら2000円くらいするのではないだろうか。映画そのものは大人1800円なのでこの時点でおつりがくるのだが、この本は非売品なので他では手に入らない。

ということでさっそくメルカリに出ていた(笑)。6000円くらいで取引されているようなので、その気になればお台場までの往復電車賃込みで、2時間映画を見て、おこずかいを稼ぐことも可能だ。

ぼくが観たのは最終日の最終回だったんだけど、まあまあお客さんは入っていたものの、満員という感じではなかった。ど真中の一番いい席を予約していったんだけど、となりは空いていた。

■客を選んでいる

これはお客さんが入らなかったということではなくて、「客を選んでいる」のだと思う。彼の発行しているメールマガジンの読者以外には宣伝していないのではないか。

読者の中でも、この1週間にお台場に行く人はかなりのコアファンだと言えるだろう。ただし、ぼくはコアファンではないし、フットワークも重いほうだけれども、なぜか

この人からは目が離せない

と感じていってしまう。今回だけではなく、過去2回開かれたトークライブ(渋谷公会堂 & 両国国技館)もなぜか行ってしまっている。そして今回も「お台場で1週間のみ上映で、明日から前売り」という日にたまたまアンテナに引っかかったので、行くことに決めた。

なぜだかわからないけど、この人の動きは追っておいた方がいい気がしてしまうんだけど、単なる「勘」なので、まったくあてにならない。でも、どうにもそう感じてしまうのだから仕方がない。

くりかえすがそもそも熱心なファンではないので、1~2年くらい彼の情報を追っていない時期もあるのに、なぜかこういうときには行ってしまっているのが自分でも不思議だ。

ちなみに、こういう関係は、高城剛さん以外だと

インディ・ジョーンズシリーズ

しか思い当たらない。とくにインディのファンというわけではないにもかかわらず、中学1年のときの「レイダース」以降、なぜか毎回観に行くことになってしまう。両者の共通点をあえて挙げるなら、世界中をうごきまわっていて、才能があって、ややきな臭い。

■映画のスペック

この映画のスペックと簡単に書いておくと、全編キューバロケで、キャストは全員キューバ人で、原作は芥川龍之介の『報恩記』である。

撮影スタッフはメルマガで応募した人々なのだそうで、カメラは家電量販店で買えるものを10台用意し、撮影機材はすべて機内荷物として持ち込めるサイズに切り詰めたのだそうだ。

撮影は、原則1シーン1テイク。各シーンでは自動撮影も含めて10台同時に回し、ロケは2週間だそうである。

こういったことは全部この本に書いていあるんだけど、つまり、この映画は「壮大な実験」みたいなもので、お台場での上映は、その実験結果をファンに見届けてもらう意味合いが強いのかもしれない。ただし、会員限定というわけではなく、1800円払えば誰でも見れるし、ぼくのようなカタギの衆も見ることができる。

でもいずれストリーミング配信などもされるのではないだろうか。たしか、高城さん自身が「映画より本のほうがレア」みたいなことを書いていたのでそんな気がする。まあ、わからないですけど。

■感想

現時点では、そもそも見ている人の数が少ないので、ネットを検索しても2つくらいしかレビューが入っていない。1つは大絶賛で、もう1つは「高城ファンとしては★5つだけど、映画ファンとしては★2つ」と書いてあった。

それにしても★2つは辛いと思うし、映画としてもなかなかの出来で、世界で公開されれば国際的な評価もがっちり得られるだろう。とはいえ、「いわゆる映画」という感じの作品ではない。

本の帯にも「映画製作の未来が、ここにある!」と書かれているけど、映画そのものも高城剛の未来ビジョンだった。

ストーリーは、

社会主義国キューバで、新自由主義の政治勢力(アメリカの手先)と、新興宗教団体(催眠療法と前世記憶を教義とする)が衝突し、テロが起こる

といったもので、その社会現象をめぐる虚実が、スピード感あふれる映像でとらえられる。

ストーリーは芥川龍之介をベースにしているのでパンチが効いていておもしろいが、上記の通りのかなり社会派で情報量も多いので「ちょっとおもしろい映画でも見よう」という人向きではない。ただし、地球の近未来みたいなことに関心を持っている人なら、まちがいなくお勧めできる。

帰りの電車の中で、芥川の原作をざっと読んでみたんだけど、有名な「藪の中」(←黒澤明の「羅生門」の原作)と似たタイプの作品だ。ただし、原作のポストモダンっぽいところは抜いて、かわりに「スピリチュアリズムとテロ」という原作にない要素が前面に出ている。

スピリチュアリズムとテロといえば、昭和初期の日蓮主義と血盟団事件が思い起こされるが、世紀末にはオウム真理教の地下鉄サリン事件もあった。

そしていま、安倍元首相殺害事件から宮台真司氏の暴行事件まで、ふたたびそういう雰囲気なので、こういうことに関心を持っている人々ならば、チャンスがあれば見て損はない。

■非売品の本

本の方もいまこれを書く前にざっとめくってみたのだが、まえがきの末尾には

2022年9月タンザニアにて

とあり、途中のページには脈絡なくマサイ族っぽい人々の写真なども挿入されているので、高城さんの関心はすでにキューバからアフリカに移っているのかもしれない。ページをめくると、彼独特の疾走感ときな臭さがあふれる。

■まとめ

・高城剛の才能とカリスマをあらためて感じる
・世界を駆けまわっている人の「今」を体感できる
・彼独特のきな臭さが心地よい

世の中にはいろんな才能の形があるのだな、と改めて思わされる一方で、この人はなんでこんなにきな臭い感じがするのだろうとも思った。

かつてトークライブで「よく空港の保安検査で引っかかる」とぼやいておられたけど、なんかわかる気がする。ぼくも保安検査員みたいになぜか引っかかってしまうのだった。

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