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温暖化はウイルスの活動に似ている

「瀬戸内海」と言うけれど、空から見ればまるで「瀬戸内列島」(せとうちれっとう)だ。五島列島みたいな意味での「列島」にみえる。島々がところせましとならぶあいだを水がチョロチョロと流れている感じでとても海とは呼べない。

さらにさいきんは、その島々をたくさんの橋がつなぐようになった。それらの橋は目の前に行って眺めると、ぶっといワイヤーのロープで吊り下げられた超巨大建造物であり、そこにかかる力を想像するだけでめまいがしそうなくらいの迫力がある。もちろん、観光スポットとして大人気である。

しかし、空から眺めるとそれらの巨大橋はマッチ棒よりもか細いく、シャープペンの芯くらいに見える。指の先ではじいて折ってしまえそうだ。一方、その橋でつながれている島々は、上空から見てもどっしりと落ち着いており巨大台風が来ようがびくともしない雰囲気がある。

陸伝いに行くとこんなふうには見えない。島々はなにもないド田舎であり、それをつなぐ橋だけがやたら荘厳で立派なのである。

人間の作ったものは、近くで見ると荘厳でゴージャスだが遠くから見ると自然の造形にくらべてわらっちゃうほどぜい弱だ。エベレストだのグランドキャニオンだのでなくても、瀬戸内海のちゃっちい島々ですら上空から見ればくらべものにならない。人間のかけた橋はシャーペンの芯である。

そして日本列島は、眼下の瀬戸内列島よりもはるかにどっしりと大きく、その日本列島をあのちいさなウイルスがすみずみまで浸透していることを考えるとなんだか信じられないような気がしてきた。

正確にはウイルスがかってにはびこっているのではなく人間がせっせと運んでいるのだけど、その人間も上空からは小さすぎて見えない。しかし、その小さな人間が地球に隅々までちょこまかと動き回ってウイルスを広げているわけだ。

考えてみれば、温暖化というのもウイルスの活動に似ている。地球に比べればウイルスのように小さな人間が数百年かけてこの巨大な地球の気温をじわじわと上げているわけで、理屈ではわかるが上空から見ていると信じられない感じである。

小さすぎて見えないのは人間もウイルスもおなじであり、世界の隅々まで浸透している点でも似たようなものだ。そして、ウイルスを食い止めるのが容易でないのと同じく、温暖化を食い止めるのも容易ではない。それにしてもこんなミジンコのような人間が南極の氷を溶かし、水面を上昇させるというのはなんだかすごいことのようなが気がしてきた。

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