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3万円=300万円の世界

お金について最近思っていることを書いてみたい。

1ワードあたり何円の世界

ぼくは翻訳の仕事をやっているので、基本的には「1ワードあたり何円」という意識で仕事をする。そうすると、パン1個買っても、本一冊買っても、なににお金を使っても、

これは〇〇ワード分、すなわち〇時間分の労働とイコールなのだな

と思う癖がついた。たえずそういう物差しでものごとを測っているので、ムダなお金は使わない。

3万円=300万円の世界

一方で、ここ3年ほど人間関係にめまぐまれ、国際経済に詳しい人や国家金融のプロなどと交友関係が広がったおかげで、かれらに教えを受けることが増えた。もともと2000年くらいから投資には興味を持っていたんだけど、しょせんシロウトである。ややうまく回りだしたのは彼らと親しくなってからだ。

そういうわけで、今は「お金にお金を稼がせる」機会もいくぶん増えており、そういう機会を得てつくづく思うのは、

3万円稼ぐのも、30万円稼ぐのも、300万円稼ぐのも労力は同じ

ということだ。ちがいはタネ銭の大きさだけである。

世の中を

パン1個が〇〇ワード

という物差しで測っている場合、3万円を30万円にしようとおもえば10倍の時間働かねばならないが、お金に稼がせた場合、その差はゼロなのだ。

こういうことは、お金のテキストには真っ先に書いてあるけど、知っているのと体験するのとでは大違いだった。

どちらも個人事業主

こうやってぼくは「パン1個が〇〇ワード」の世界と、「3万円と300万円がおなじ」世界の両方に足をかけている。その落差にとまどうことも多いが、どちらも自己責任で、結果がシビアに出る世界だという点だけは共通している。

個人事業主といえば、プロ野球選手も個人事業主であり、ホームラン1本3万円の人から300万円の人までいるけど、どちらのホームランでもチームには1点しか入らないのは同じだ。

また、だれひとりとして、チームメイトの打ってくれたホームランで飯を食うことはできない点も、他の個人事業主と同じだ。だからこそ、みな危機意識が強く、状況をシビアにとらえて、人より先に思い切った転身を図る。

会社員は、パソコンが壊れたらそれを修理に出す時間も業務にカウントされるが、翻訳者はパソコンが壊れたとたんにプチ失業状態におちいる。会社員なら自分がカラダを壊してもしばらくは誰かが食わせてくれるが、個人事業主は腹痛を起こしたら即プチ失業である。

そして、安心感がゼロの場所にむき出しで立っているという点では、お金にお金を稼がせる世界も似ている。

こういうシビアな世界が水に合うのは、毎月決まった額の給料が入る生活をほとんど送ったことがないからだと思う。そして、そこから逆に考えると、日本人に、お金にお金を稼がせることに関心の薄い人が多いのは、疑似社会主義的な風潮と無関係ではないだろう。

事実と向き合う

誤解されては困るが、自己責任がすべてだと言いたいわけではない。人は一人で生きていけないし、助け合いは大事だ。ただし、事実にしっかりと向き合ったうえで、助け合うのがいいのではないか

たとえばこういう数字がある。

内閣府の試算をもとに計算すると、世帯の総収入が890万~920万円を超えるまでは『受益超過』となります。所得がそれ以下の世帯はいわば『社会のお荷物』です。

いいかえれば、それ以下の世帯は「お金持ちの税金で養ってもらっている」ということだ。それが悪いと言いたいのではない。お金持ちは3万円も300万円も大差ない世界にすんでおり、それは実力もさることながら、運の力も大きいのだからある程度は格差を是正してもらわないといけない。

ただし、こういう身もふたもない事実を隠蔽するのではなく、しっかりと理解したうえで、国民の権利として堂々と生活保護を受けられるような社会がいいと思う。

警察官や官僚を「税金ドロボー」と言っている人のほとんどが実際には自分こそが「税金ドロボー(受益者)」であることを知らないのだが、こういう事実はググったら10秒で出てくる。

ぼくだって「税金ドロボー」の1人なのだが、その自覚があるので、他人のことを税金ドロボー呼ばわりしないし、お金持ちにはしっかり感謝したうえで、生活保護もぜんぜんアリだと思っている。

カネを稼ぐにはヒマがいる

事実を正確に把握することなしに、それを変えられるわけがない、というのは、お金についても同じで、身もふたもない事実をオブラートで包んだままで、お金にお金を稼がせるのはむずかしい。

そして、お金についての身もふたもない知識を仕入れるためにはある程度の時間が必要だ。そして、時間を手に入れるには思い切って「忙しい仕事」から遠ざからなければならない。つまり、カネを稼ごうと思えばまずは仕事を切らなければならないという一見矛盾しているけど、けっこう当たり前の結論になってしまった。

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