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戦争がなぜ終わらないのか、または三人グループはなぜうまくいかないのか

英語で3という数字は、マジックナンバーと呼ばれる魔法の数字だ。

元々キリスト教には「三位一体」という教義があるので、3という数字はそのあたりに由来しているのかもしれないが、そういうことは別にしても3という数字はみょうにすわりがいい。

日本にも「早起きは三文の徳」とか「三人集まれば文殊の知恵」とか、「三種の神器」などという言われ方がある。

プレゼンテーションや、またはこのnoteなどでも3つの具体例を示すとなぜか座りがよく、記憶にも定着しやすい。

ほら、上の文章でも、「早起きは・・」、「三人集まれば・・」、「三種の・・」と3つ並べることでびしっと来ているでしょう。2つだと物足りないし、4つ以上では多すぎる。

そういうわけでこの記事では「3」という数字がいかに大事かということを説明し、より大きな意味では、世界をより平和な場所にするうえでも「3」がカギになるのだということを説明しようと思う。

女性3人グループはもめる

しかし「3はイヤだ」という人もいるだろう。とくに女の人。

女性の3人グループはもめる

ということがよく言われるからであり、それで苦しんだ人もけっこういると思う。なぜか3人グループが揉めるかというと、そのうちの2人が仲良くなってもう一人が孤立する

2 対 1

の現象が生じやすいからである。

そうすると3は平和の数字ではなくて、むしろ争いの数字ではないかと思う人も出てくるだろう。でもそうではないのだ。

このあたりが、今起こっている戦争の「どこが根本的に問題なのか」を理解するうえでもとても大事なことなので、ちょっと本気で書いてみよう。わかりやすく書きます。

もめ事を収めるには3人目の動きが超重要

たとえば、裁判には原告と被告がいて、弁護士と検察が争う。これが1 対 1の争いの構図であり、このままでは双方が言い分をゆずらず、争いは永遠に終わらない。

その争いを納めるのが「裁判官」と呼ばれる第3勢力なのである。あるいは裁判に持ち込む前の「調停人」も同じだ。

暴力団同士が抗争になった場合も、双方の言い分を聞いて「仲を取り持つ親分」という第3極が現れないと争いが終わらない。そして、この第3勢力には厳しい条件があり、双方が一目置いているような「別ワク」の存在でなければならない。

ところで中東では、長年アメリカ寄りのサウジアラビアと反米のイランが争っており、それがあの地域を不安定化し、戦争を引き起こす火種になっていた。ところがつい最近、中国が「歴史的な仲介」を行って、いまサウジとイランが仲良くなっているのである。

この場合は、中国が第3極ということになるわけで、仲を取り持った親分みたいな存在だ。親分は、争っている双方が一目置くような力のある存在でなければならないが、今の中国にはその力が備わっていたということになる。

ところで上の記事では、「中東情勢がむしろ悪化する可能性がある」と書かれている。それは、簡単に言うとアメリカが黙っていないからだ。

サウジとイランが争うことで漁夫の利を得ていたのがアメリカであり、アメリカを後ろ盾にしてブイブイ言わせていたのがイスラエルなので、かれらはサウジとイランが仲良くなってもらったら困る。

なので、いずれイスラエルの逆襲が起こって中東はより混とんとしてくるだろうという内容の記事になっているけど、その話は置いておくとして、話しを「女子3人グループ」に戻したい。

サウジ子、イラン子、陳姫

「中国、サウジ、イラン」がうまういったのは、中国がリーダーシップをとって、残りの2人をうまい具合にとりもったからだが、両国の「仲を取り持つ親分」は、他の中東諸国では役不足である。

なぜなら距離が近すぎるから。同じイスラム教内でスンニ派、シーア派と両陣営に分かれて争っているので、どうしても「どちらかの肩を持つ」ことになってしまって調停はうまくいかない。

その点、中国なら、東アジアの漢民族なので部外者だし、おまけのカネも出せるので、双方の仲を取り持つには絶好のポジションにいる。

女子グループ3人組にたとえるなら、「サウジ子」と「イラン子」がもめている ばあいに、残りの一人が「カタール子」や「UAE子」では余計もめるということ。

3人目が「カタール子」だった場合は、「イラン子」側について、「サウジ子」をいじめるし、3人目が「UAE子」だった場合は、「サウジ子」側について「イラン子」にいやがらせをする。

もめごとを解消するには、3人目が、もっと別のカテゴリーの人でなければならず、今回の場合は、3人目が「陳姫」だったからまとまったわけである。

同じ理屈なら3人目は「鈴木良子」でもよかったはずなのだだが、現在の「鈴木良子」は金欠だし、そもそも「キャロライン米子(よねこ)」にべったりだし、人間関係が下手なので役に立たない。

実際問題として言うなら、女性3人グループはそのうち一人がだいぶ年が離れていて、残り二人をえこひいきしないでうまいことまとめられるとか、あるいは、残りの一人が男性で、二人の女性にバランスよく接することができるとか、そういう調停人的な立場に立てばまとまる。

くりかえすが、世の中を平和にするために必要なのはこの「第3極」だ。

逆に言うと

逆に言うと、もめ事を起こしたい人がいれば、その人は「仲良し二人組」をみつけては

ねえ、私もまぜてまぜて

とすり寄って3人グループすればいいわけだ。そうしてから、どちらか一方の側とイチャイチャすれば、まちがいなくもめ事は勃発する。

これがここ70年くらい、キャロライン米子(よねこ)が世界中でまじめに取り組んできたことである。うまずたゆまずやってきたので、もはやキャロライン一族のお家芸といってもいい。

国際関係に限らず、もうちょっと一般化して言うなら、世間で争いが起きた時に、その二項対立の図式をさらに煽ろうとする人、火に油を注ぐような言動に出て、二項対立をさらに激化させようとする人は、

どれほど立派な正義を語っているようでも、しょせんは争いをエスカレートさせる人にすぎない

ということだ。

これはあなたも同じことであり、世間の争いごとを見る場合に、

どちらの側が正しいか

という目で見てはいけない。たとえどちらが正しいと思ったばあいでも、その判断が正しいことは絶対にない。

なぜなら、あなたは正しいと思った側につくことになるのだから。つまりあなたのあらゆる判断は「第3極」としての立場からA子とB子のどちらかに加勢して数的優位を作り、争いを深めるだけなのである。

どちらかが正しいと判断し「そちらの側に着いて、悪い方をやっつけよう」という思考パターンそのものが、大昔から人の争いを存続させてきたガソリンなのだ。

どれほど立派なことを言おうが、どれほど平和と正義を語ろうが、どれほど弱い者の側に着こうが、争いを招いているだけである。

もう一度めんどくさい話

そのうえでもう一回めんどくさい国際関係の話に戻すなら、現在進行形の争いを見ても、判断は難しいだろう。

すでにドロ沼の「やったやられた」の繰り返し状態なので、「巨人 vs 阪神」みたいな感じで永遠に争うのみである。まあスポーツはそれでいいわけだけど・・。

冷静になるには、過去の例を見るのがいい。直近の過去として、シリアがいいだろう、情報も多いし。シリアの内戦に際して、政府軍(A子)、反政府軍(B子)というペアに対して、第三極のキャロライン米子(よねこ)がどうふるまったか。あるいはウラジーミル露子がどうふるまったのか。

どちらも、A子、B子それぞれの側にまわってガソリンを注いだだけではないかというのは表面的な見方に過ぎない。

どちらも武力を使ったので「恒久平和の理想主義者」から見れば零点に見えるだろうが、すくなくとも一方はひたすらマッチポンプをやっていただけだし、もう一方はドスを効かせてすばやく納めようとした。

どちらが「正しい」とも思わないが、どちらかの側が平和に近づこうとして、もう一方は平和から遠ざかろうとしたのは事実である。

幸せと戦争の青い鳥

いまスーダンで争いが起こっているが、その前にウラジーミル露子がスーダン子と手を結んで軍港を開こうとし、キャロライン米子がその仲を裂こうとして、脅し文句を口にした。

その脅し文句(「重大な結果を招くだろう」)と、直後に起こった内戦を結び付ける物証はないので、そこをつなげたら陰謀論になってしまうからやらない。ただし、「脅した」という事実ははっきりしている。

ワグネルは、いまウクライナから兵力を引いてスーダンに送りたがっているそうだが、それを「火消しに走っている」と報道する日本のメディアはいないだろう。いずれ「戦争好きのロシアがまたアフリカで・・」という風に報道されるのだろう。バラ色の脳みそは幸せと戦争の青い鳥である。

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