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会議ばかりで忙しいのは、悪いこと? ~考える仕事・発表する仕事の最適なバランスを考えてみた~
こんにちは。
心地よい暮らし方、働き方を模索し右往左往する日々をつづっている冷凍みかんです。
自己紹介にも書いたように、私は自分が仕事を通じて自分が、周りの人に/会社に/世の中に、果たしてどんな価値を提供しているのか?、うまく言葉にできていない。そのことにもどかしさを感じています。
自分の仕事の提供価値が腑落ちしていないので、仕事をやる意義が実感しきれず、モチベーションが停滞気味な社会人4年目なう。
今回は、会社での仕事への向き合い方について考え直すきっかけとなった、
Slackによる、世界のオフィスワーカーの労働実態に関するとある調査報告と、私なりの考えを記します。
世界のオフィスワーカーの労働実態調査|概要
Slackはクアルトリクスと提携して、9カ国1万8000人以上のオフィスワーカーを対象に「組織の生産性」についての調査を行い、以下を報告した。
・アジア人は欧米諸国に比べて、仕事で”仕事してる風にふるまう”傾向にある
・ その要因の1つとして、企業のリーダーが、自分の目に見える従業員の活動(費やした時間/送信したメールの数等)に基づいて社員の評価を行っていることが考えられる
・このことは従業員にとっては、長時間労働や、できる限りメールに返信するべきだというプレッシャーとなりうる
世界のオフィスワーカーの労働実態調査|詳細
◎9か国(インド、日本、シンガポール、フランス、イギリス、オーストラリア、ドイツ、アメリカ、韓国)のオフィスワーカーに対し、以下2種類の仕事に費やしている時間の比率を調査した。
「パフォーマティブワーク」=見た目だけ、仕事してる風に見える仕事。会議や人前での発表など。
「リアルワーク」=生産性の高い仕事。意志決定や直面している問題への対処など。
◎日本はインドに次いで9か国中2番目に「パフォーマティブワーク」(下図青色)に費やしている時間の割合が多かった。
パフォーマティブワーク37%、リアルワーク63%
![](https://assets.st-note.com/img/1696685131402-kOD3PoMAsO.png?width=800)
◎Slackのアジア太平洋地域のテクノロジーエバンジェリストを務めるデレク・レイニー氏は、「日本やシンガポールなどの企業のリーダーは、従業員が達成した成果よりも目に見える活動に基づいて社員の評価を行っているようです」と述べている。また「この結果は、従業員がリーダーの前でだけよく見えるように振る舞おうとする、時間の無駄につながります」と指摘している。
調査結果を見て感じたこと
主に3つ感じました。
◆◆◆
私もパフォーマティブワーク比率高めな働き方をしている
パフォーマティブワーク偏重の考え方は、仕事の目的を意識しにくい状況をつくる
けれど、パフォーマティブワークもやっぱり大事
◆◆◆
1.私もパフォーマティブワーク比率高めな働き方をしている
私も多分に漏れず、この統計調査同様の日本人的働き方だ、とギクり。
リアルワーク(調査、検討など):パフォーマティブワーク(会議・発表など)=6:4くらいな実感。
2.パフォーマティブワーク偏重の考え方は、仕事の目的を意識しにくい状況をつくる
私の勤務先は、半期成果目標の設定&人事評価の指標にKPIを採用している。
KPIとは(Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指標」のこと。
目標を達成するプロセスでの達成度合いを計測したり監視したりするために置く定量的な指標。
そう。”定量的な”指標で評価される。例えば、営業職なら売り上げ金額を目標として書いている。一方の私は、研究職。直接数字で測れるアウトプットを出しにくい業務特性なので、KPI設定時はいつも、無理やり設定した感が出る。例えば…
・部内での研究発表 1件
・〇〇事業部への連携提案 1件
・論文投稿1件
・学会発表、社外への講演 各1件
みたいな。
定量っちゃ定量だけど、、、て突っ込みどころがありそうな感じ。
Slackの調査報告を踏まえて、私のKPIを見直してみると、
確かに会議や人前での発表など、上司の目につき測りやすい、つまりパフォーマティブワーク偏重な目標設定となっているなあと実感。
上司との進捗面談も、この目標達成に向けてどんなことをやっていて、期末にはどんな着地見込みか、といった内容を話す。
そう。
これらのKPIで私の仕事の成果が評価される仕組み(厳密には、成果以外に行動面の別評価も加わるけど、今回は成果評価の話にフォーカスします)だから、期中に私は自然とKPI達成めがけて業務遂行してしまう。
いや、もちろん悪いことではないし、達成する必要性とかも期首に上司と私で握って立てた目標ではあるけど。
でも、成果評価のためのKPIにとらわれすぎてしまうと、仕事の意義や目的、方向性が意識から抜け落ちやすい状況になるなあと思った。
そして、自分のKPIを改めて見て、自問自答してみた。
・人前で研究発表をするのは何のため?
>>>他者に研究状況を知ってもらい、新たなアドバイスをもらう/ほかの研究者との連携可能性を探るため。
・事業部に研究部門から提案をして、その先にどんな世界を作りたいの?
>>>研究部門単体ではできない、「アイディアの社会実装」を実現するため。それによって、より良い社会を実現したい。
・論文投稿すると、しなかった場合よりもどんな価値を世に出せるの?
>>>まだ明らかになっていない事象についての検討を、世界中の研究者の目に触れるところに残せる。&会社の実績にもなる。
・社外で講演すると、何が得られるの?
>>>研究目的や思いに共感、内容に興味をもってくれる仲間が増える。すると、できることが増える。
答えを考えていく過程で、自然と仕事のモチベが上がった。
仕事の目的感・使命感が自分の中で静かにこみあげてきた。
成果指標にとらわれすぎず、その先に得たいものや成し得られる世界を自ら思い描く。そこに向かって仕事をしていることを忘れない。
これが大事だなと思った。
3.けれど、パフォーマティブワークもやっぱり大事
パフォーマティブワーク(会議や発表をする仕事)は、資料作成や発表準備等時間がかかる割に、プロジェクトの進みを感じにくい。やっぱり、他者へのアピールの場、という印象が強い。
それでも。
パフォーマティブワークも必要だと思う。
発表の場があるから、自分の言葉で人に説明する必要が生じる。
発表の場では、知識を教える、意見を伝え理解・納得してもらう。
そのためには、相手の知りたいことを考えたり、意見が伝わりやすいストーリー作りや伝え方を学ぶ必要がある。
この、パフォーマティブワークに向けたプロセスの中で、
明確なビジョンや説得力ある話づくりを行うことになる。
ピーター・ドラッカーさんもこう言っている。
No one learns as much about a subject as one who is forced to teach it.
ーーー 人に教えることほど、勉強になることはない
Peter Drucker
誰かに明確なビジョンや説得力ある話をして、人の心を動かせると、共感したもらえたり応援してもらえたりする。
そうすると、リアルワーク(意思決定や、直面している問題への解決策を考える仕事)を前に進める追い風となるんじゃないかな。
私にとって、パフォーマティブワークは、
仕事の目的感や問いを見直す・どんな仮説で何をやってきたのか・何かをして得られた結果や気づきは何だったか・だから次はどう動きたいのか、整理する機会となっている。
それがあるからこそ、リアルワークを前に進められている(自分自身を方向づけし、導ける&共感者・仲間を持てる)んだなと、再認識。
そうして、リアルワークが前に進んだら、パフォーマティブワークで堂々と発表すればいい。
リアルワークもパフォーマティブワークも、相互に推進しあっているんだなあ。
Slackの調査から思うことは、
リアルワークとパフォーマティブワークの比率そのものは問題の本質ではなくて、
形式化してしまったパフォーマティブワーク(「やりさえすればOK」的な、手段が目的化した状況)ばかりで評価される会社の仕組みは問題があるよね、ということ。
◆◆◆
少しだけ、わき道に逸れます。
私がnoteを始めた理由は、心地よい生き方や働き方を日々探り、気づきや思いをアウトプットする場が欲しい!ということだけど、
・自己内省のプロセス=リアルワーク、
・自己内省の過程と得られた気づきをnoteにアウトプットすること=パフォーマティブワーク
だなあ、と思いました。
それぞれのワークのバランスも、これから心地よい比率を探っていけたらいいなあと思います。(アウトプット不慣れな現状は、パフォーマティブワーク少な目です… これから変わっていくかも??)
まとめ(と、小言)
Slackの労働生産性調査をきっかけに、自分の仕事への向き合い方を見つめなおした。そしたら仕事の目的を再認識することができて、
目先の成果指標(会社の人事評価指標;KPI)ばかりにとらわれず、それをやることで得られるアウトカムやインパクトを思い描くクセを付けたい。
パフォーマティブワーク(会議や発表など、人目につく”仕事してる感”ある仕事)とリアルワーク(直面している問題に対する検討、意思決定等、黙々と考え作業する仕事)は、互いにその仕事で得られる価値を大きくしたり前に進めたりしあっている。
パフォーマティブワークとリアルワークのバランス(比率)は気にしすぎず、どちらも大切にしながら仕事に向き合えばいい。会議=パフォーマティブワークばかりで忙しい時期があっても、中身の伴った(リアルワークを推進しうる)会議なら、いいんじゃないかな。
~小言~
日々データを扱うリケジョなので、Slackの調査について気になった点を少し。
9か国18,000人って、1か国2000人?
サンプルサイズが小さくて、アンケート回答集団に偏りがありそう。
Slackユーザーが回答しているということは、「日本の全労働人口」という母集団よりも、エンジニアやベンチャー企業勤務者の割合が多そう。
(勝手なイメージ、いわゆる”昔からある日系大手企業”はSlackよりもMicrosoftOfficeを多用していそう)
だから、この結果だけからは「日本のオフィスワーカーは他国に比べて”仕事してる風”人間が多めです!」とは言えない。
けど、裏を返せば、
いわゆる”日系大手企業”(Slack調査の対象集団になっていない会社)では、リアルワーク:パフォーマティブワーク=7:3とか8:2とか9:1
の可能性も否定できないということか。恐ろしい。
(無駄に長い会議ばかりで予定が詰まっている管理職、数名思い浮かんでしまう…)
*元データ
The State of Work in 2023.pdf
(PDFファイル)
https://d34u8crftukxnk.cloudfront.net/slackpress/prod/sites/6/State-Work-Report.en-US.pdf
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