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親子、夫婦、上司や部下との間の関係を取り戻すのに役立つ「非暴力コミュニケーション(NVC)」について8枚のスライドにまとめてみた。

人を思いやろうとする気持ちがあるにも関わらず、なぜか話がかみ合わず、相手に対して批判的になったり、暴力的になったりして、関係が悪化してしまうことってありますよね。

そんな時に役立つのが、今回ご紹介する「非暴力コミュニケーション(以下、NVC)」です。

NVCとは

NVCは、様々な紛争や対立に和解をもたらす方法として世界各地で使われており、あらゆる争いを終わらせるための唯一の選択肢といえます。

本記事では、書籍『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版』の内容をもとに、NVCの中心となる考え方について説明していきます(本書の第1章~第6章)。

スライド2

NVCが基盤としているのは、過酷な状況に置かれてもなお人間らしくあり続けるための言葉とコミュニケーションのスキルです。

言い換えると、NVCは「人と人は互いに関係を築けるものだ」という自覚を取り戻し、それを実践に移すためのサポートをしてくれます。

NVCの4つの要素

スライド3

私たちは知らず知らずのうちに、"見つけたいものがなさそうな場所"に注意を向けてしまうよう訓練されてきました。NVCでは、探し求めているものが"見つかる可能性のある場所"に注意を向けられるようにつくられています。

NVCには4つの要素があり、それらに意識を集中させる必要があります。以下は、NVCのプロセスです。

・自分の人生の質を左右する具体的な行動の「観察
・観察したことについて抱いている「感情
・そうした感情を生み出している、価値、願望、「必要としていること
・人生を豊かにするために具体的な行動の「要求

NVCの本質は、4つの要素を自覚するところにあり、実際にやりとりされる言葉ではありません。

NVCは、自分自身との対話、自分以外の人との交流、そして集団などで使うことができます。そこで、わたしたちに本来そなわっている力ーー人を思いやる心を引き出すことが可能となるのです。

心の底からの訴えを遠ざけてしまうコミュニケーション

"見つけたいものがなさそうな場所"に注意を向けてしまうよう訓練されてきた、とはどういう意味でしょうか、詳しくみていきます。

スライド4

これらは人や自分に対して暴力的に働く一因となるにも関わらず多くの人が日常的に使っているコミュニケーションです。私も意識していないとついやってしまうほど、これは根深い問題なのです。

特によくあるのが「評価し、それを押しつける」ことです。私たちの世界は人と人の行動を分別するための語彙であふれていませんか?

「いい人間/悪い人間」「責任感がある/無責任」「頭がいい/無知」etc..

いつの間にか私たちは、人の行動のどこがいけないのか、自分の理解や反応がどう間違えているかでしかコミュニケーションできなくなっているのではないでしょうか。

「お片付けができない子は悪い子だ」

このように人を分析する行為は、裏を返せば自分が必要としていることや価値観の痛々しい訴えなのです。つまり、価値観にもとずく判断に相手が応じない時、「道徳にもとづいた判断」を行ってしまうのです。また、私たちはよく「比較」というかたちでも人を評価しています。

このようなコミュニケーションを繰り返していると、自分自身や自分以外の人々を思いやることが難しくなっていくにも関わらず、多くの人はそのことに気づいていません。

スライド5

「~すべき」「~しなくてはならない」

これらは、ヒエラルキーあるいは支配構造がある社会から生まれ、そういう社会を支えるために使われている言葉です。教育という訓練の結果、人は自分の内面(自分がどう感じているのか、何を必要としているのか)ではなく外面を見るようになります。

そして多くの人は、当たり前のように外の権威を基準にレッテルを貼ったり、比べたり、強要したり、評価したりする言葉を口にするのです。

NVCを使えば、満足できない場面で相手に対して指摘するのではなく、自分の価値観や自分が必要としていることを明確に述べられるでしょう。

観察と評価をつねに分ける

スライド6

NVCを実践するとき、観察と評価をつねに分けることが重要です。観察と評価を一緒にしてしまうことで、相手は批判されたと受けとめ抵抗を示す可能性が高くなります。

「お片付けができない子は悪い子だ」

はまさに、観察と評価が一緒になっている例です。

余談ですが、今多くの企業が取り入れている「デザイン思考」においても、観察(事実)と評価(分析・想像)を分けることは大事な要素です。しかしながら、多くの人はこれがなかなかできないため練習が必要となります。私自身も意識していないと、ごちゃまぜになっていることがよくあります。

自分がどう感じているか表現する

スライド7

あなたは自分の感情を明確に表現することができるでしょうか?また、あなたがどう感じているか、仕事や家庭でたずねられたことはあるでしょうか?

わたしたちは自分自身に気づくよりも「他人の顔色をうかがう」ように訓練されています。そう、価値が置かれているのは「正しい考え方」なのです。

感情を見極めて表現することは、たいていの人にとって難しいことですが、自分の感情を表現する語彙力の向上に努めれば、親密な人間関係はもちろん、職業を通じた人間関係にもプラスの効果があるのです。

ただし、「~と感じる」という表現は、実際には感情を表現していないことに注意しましょう。

(例)「あたなはもっとよく知るべきだと感じる」
(例)「それは無駄に感じる」
(例)「責任の多くは〇〇さんにあったように感じる」

逆に言えば、感情をありのままに表現する場合に「感じる」という言葉は必要ありません。また、「好ましい」や「嫌な」という漠然とした言葉も実際にどう感じているかが相手に伝わりにくくなります。

NVCでは、考えや評価、解釈を表現する言葉や言い回しと実際の感情の表現とを区別します。

自分の感情に責任をもつ

「お片付けができないわが子をみてつい怒ってしまう」

これは「お片付けができない」ことが原因となって「怒る」という結果を引き起こしている、と思う方が大半なのではないでしょうか。でも実際のところ、人の言動(言葉や行動)はわたしたちの感情を「刺激」するかもしれませんが、原因となることは決してないのです(下図)。

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大切なのは自分の感情の奥ではいったい何を必要としているのかを認識することなのです。

自分の感情を自分が必要としていることに直接つなげることができれば、相手は思いやりをもって反応しやすくなります。

人生を豊かにするための要求

最後に、人生を豊かにするために何をしてもらいたいのか、それをお互いに要求することが大切です。

要求する時は、あいまい、抽象的、漠然とした言い方を避け、肯定的な行動を促す言葉で要求しましょう。

スライド8

ただし、自分の目的を意識して配慮しながら要求を表明しても、相手は強要として受けとめてしまう場合があります。とくにこちらが立場の強い側にいて、相手に権威をもつ威圧的な人物との体験が頭にある場合は、そうなってしまう点には注意が必要です。

「子どもは自分が汚したら掃除を"しなければならない"」

といった思考があると、要求は強要になってしまいます。

NVCのプロセスは、あくまでも相手が進んで思いやりをもってできるときにのみ、人が変わること、反応してくれることを望む人々のためにデザインされている点は覚えておきましょう。

NVCには決まりきった型があるわけではありません。相手の言葉に心から耳を傾け、潜在的な感情をすくい取ることから始めましょう。ものごとを固定的にとらえたり、一般化してとらえることが様々な問題を引き起こしているからです。

NVCの目的は、自分の思い通りにするために人を変えたり人の振るまいを変えたりすることではありません。誠実さと共感を基盤とした絆を相手とのあいだで確立し、全員が満たされた状態をつくることなのです。

最後に

いつどんな場面でもNVCを実践できるようになるためには、意識的に訓練する必要があります。本書には、会話の事例が豊富に掲載されているので、手に取って読んでみるとイメージしやすいと思います。

また、著者であるマーシャル・ローゼンバーグ氏のNVC入門講座の動画をYoutubeで発見しました。

私は二人の娘(小4と中1)の父親ですが、子どもに対して強要して何かをやらせることはできないと、これまでの子育て経験から何度も学びました。

子どもが言うことを聞いてくれないと毎日怒ってばかりいる親は、「子どもは人間として不完全な存在である」という思考から抜け出すことがまずは大切だと思います。生まれた時から完全な存在なのです。こちらが「感謝」と「お願い」を徹底している時、子どもたちはとても協力的かつ喜んで色々なことをしてくれます。

みなさんの大切な家族や仲間との関係づくりにお役に立てたら嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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