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あれから10年。痛みも悲しみも希望も、アートに@「花とともに生まれん。3・11以後、復興とアート」展

3.11。あの日に日本、とくに東日本にいた方にはそれぞれに鮮やかな記憶をお持ちかと。わたしもあの時は東京にいて、早朝に関西出張から戻ったばかりだったので、奈良の柿の葉寿司をテーブルに載せたまま自宅で熟睡していました(笑)。

ライターであるわたしにとって、書くことは手堅い表現の手段です。だから3.11について表現せよと言われればわたしはきっと言葉を紡ぐでしょう。そこに自分の感情を乗せて届けるでしょう。

しかし、それがアーティストであったなら…?彼らはどのように3.11を体験し、咀嚼し、表現するのでしょうか。その答えを、六本木の東京ミッドタウン・デザインハブ特別展「花とともに生まれん。3・11以後、復興とアート」で拝見してきました✨

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この特別展の会場は堂々とそびえたつミッドタウンタワー内にあります。5階に位置する「東京ミッドタウン・デザインハブ」は、日本デザイン振興会、日本グラフィックデザイナー協会、多摩美術大学、インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターの4団体が共同で運営しています。

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今回の特別展「花とともに生まれん。3・11以後、復興とアート」は、デザインハブと「いわてアートプロジェクト実行委員会」による共催です。もともとは2020年に開催予定だったのですが、コロナの影響で今年に延期されました。

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昨年11月に訪れた岩手。その復興を記念する展示でもあります。

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こちらが会場。ゆったりとしたスペースに作品がさまざまな形で展示されています。

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国籍を問わず、岩手県にゆかりのアーティストたちが作品を寄せています。こちらはセルビア出身のAna d'Apuzzoさんによる絵画。

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ぱっと目を引くこのインスタレーションもアナさんが手がけたもの。空や海に通ずるような鮮やかな色彩が、心のなかの澱を取り払ってくれるようです。

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スペイン出身のMagdalena Soleさんによる写真作品。3.11は自然の恐ろしさを見せつけられる出来事でしたが、同時に木々などの自然の景色の美しさに救われもしたのです💓

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漫画家の川口まどかさんの作品。

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ちなみに『いわてマガジン』という若手漫画家を応援する漫画雑誌もあり、こちらでは1号につき1作は震災関連の漫画を掲載しているのだとか。

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わたしが個人的にいちばんぐっと来たのは、この長友心平さんによる絵画作品。それぞれに冠をかぶった人物が描かれています。会場で拝見した長友さんの出演動画によると「誰もが王であり女王。冠はその人の背負っているもの象徴であり、それは苦しみや悲しみの場合もある」のだと。

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たしかにそれはそうだなぁと。わたしたちはそれぞれにさまざまなものを背負っていて。

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それは他の人の目には見えないかもしれないけれど、それによって苦しめられることもあればそれを誇りに感じることもあって。

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こんなに小さい子でさえ、冠というほど重くはないにせよもう何かを背負っているのかもしれません。

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なお、「東京ミッドタウン・デザインハブ」はライブラリーを併設。こちらも無料で利用できます。

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デザイン関連の書籍や雑誌がずらりと並びます。

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わたしはイギリスの映画監督であり園芸家でもあるデレク・ジャーマンの本を手に取ってしばしリラックス🌷

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窓の外には都心のパノラマも広がっています。

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ところで、岩手県内でも「いわてアートプロジェクト実行委員会」が主催するさまざまな展示会が行われているようです。その会場となっている場所が、わたしが岩手旅行で訪れたスポットがいくつもあって、「おお」と思いました。右下の写真のお座布団は、間違いなく紫根染めだ!とか(笑)。

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あるいはここのパン食べた~!とか。旅をする良さというのはそんなところにもあるのでしょう。「知っている場所やモノ」という親しみ。現地の人たちの生活の様子をときどき思い返すこと。その時に感じるあたたかさ。

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なお、今回のアート作品に関しては、あえてあまり解説や感想を加えませんでした。3.11には大きな出来事だし、それぞれになくしたものや思いが違うから作品の捉え方もさまざまかと思いますので。でも、どれか心に響いた作品があれば嬉しいです😊

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