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私なりのアンガーマネジメントは力を発揮するためのもの その2 試合で自分を出す 集中するとは?

私なりのアンガーマネジメントは力を発揮するためのもの その1より

ト:そうすると力が出せますよ!
私:そんなことができるんですか?考えたこともありませんでした。どうすればそんなことが……。
ト:できますよ。怒るんです。
私:えっ?

怒る!?

当時の私にとって、この怒りという感情は、試合中一番感じてはいけないものだと思い込んでいた。当然チームの子たちにも、何があっても怒ってはだめだ。冷静になれ。と言っていた。
それが当たり前だと思い込んで、それを疑っていなかった自分がいた。
なぜ力を発揮できないのか。という問いに、単純に「練習が足りないから」という答えを出し、それを疑っていなかった自分にとって、逆転の発想以外の何者でもない。

冷静になって、もう一度考えてみよう。
なぜ力が出せないのかを。

よく言われるのが、"緊張した"ということ。本番の試合。一発勝負のトーナメント。負けたら終わり。今まで練習してきたその時間が多く、かけてきた思いが強ければ強いほど、そのプレッシャーはさらに大きくなるだろう。
ミスのひとつずつが自分に『こんなはずじゃない』という思いを募らせていく。その思いは周りを見えなくさせる。視野は狭くなり、音さえも聞こえなくなっていく。
気がついたときにはゲームセット。
後から、こうすれば良かったとかああすれば良かったという、言い訳にも似た後悔に襲われる。
こういう選手をたくさん見てきた。

怒るとはどういうことなのだろう

トレーナーの方の話はとてもわかりやすかった。
単純に試合に没頭させることが大事ということだった。
熱中させるといっても良いだろう。

確かにその通りだ。よく選手に「集中してやろう」とはいう。しかし、集中とは一体何なのだろう。どうすれば集中できるのだろう。オリンピックに出場しているような選手やプロで活躍する選手でさえ、懸命に集中しようとしているが、その緊張感ゆえに力を発揮できていないと思われる姿を見たことがある。集中はしているが没頭はしていないのか。

没頭……一つの事に熱中して他を顧みないこと。

良い緊張感は大切だとトレーナーは言ってくれた。その中で他を顧みない瞬間があれば、そこから先は試合に没頭できるのだそうだ。
確かにそうかもしれない、それは一瞬で良い。ふっとスイッチが入れば、あとは試合に勝つことだけを考えることができる。負のイメージは払拭できる気がする。
その瞬間を生み出すために、怒りのパワーを借りれば良いということだった。

例えば、明らかなミスジャッジがあったとする。選手は審判にどんな感情を抱くだろうか。「今のは完全にセーフじゃないのか!!」という怒りの瞬間、確かに緊張はしていない。
例えば、応援の中から野次が聞こえたとき。「何も知らないくせにいい加減なことを言うな!!」という怒りの瞬間は緊張していない。
今まで私は、こういうときに「審判もミスはするから」とか「ヤジなんかにまどわされるな」とか常に冷静でいられるようなアドバイスをしてきた。
そこに逆転の発想を加えてみる。

なるほど。
そこで、その怒りをコントロールできれば、確実にその怒りは自分の味方になってくれるのではないか。怒りにまかせて試合をぶち壊すような態度をとってはいけない。怒りが力みに変わってはいけない。怒りが態度に表れて、仲間に迷惑や心配をかけてはいけない。そういった部分をきちんとコントロールして、カチンときた瞬間に試合に熱中できるスイッチを入れられるようにすれば、良い緊張感を保ったまま試合に臨めるのではないか。
これもアンガーマネジメントなのではないか。

アンガーマネジメントとは、自分の心をコントロールすることで怒らないようにして、事態を収束させていくものだと思う。しかし、怒りのパワーを上手に借りることによって、より自分の力を発揮することができれば、こんなに便利なものはない。(もちろん、人に迷惑をかけるようなことは決してあってはならない。審判に文句を言うとか仲間に暴言を吐くなどということはもってのほかである。)

喜怒哀楽。怒りや哀しみは、マイナスなイメージが強かった。そして、できればそんな感情は抱きたくないと思っていた。
でも、どの感情も全て自分。自分のものなのだ。
そうであるなら、全ての自分をしっかりと受け止め、上手に自分の心と付き合っていけるようになろう。
アンガーもマネジメントしてやって、有効につかってあげよう。

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