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永遠のタージ

遠距離恋愛中の彼氏が、日本からインドに遊びに来た。

インドと言えば、タージ・マハル。タージ・マハルについてはいろんな人からいろんな意見を聞いていた。

「誰か来たら行くことになるから、そんな計画を立てていく必要ないよ」、「車だと酔うから電車で行った方がいいよ」、「車を借りていくのがいちばん楽だよ」、「日帰りでちょうどいいよ」、「一泊二日でタージ行こうよ」…。

近いようで遠く、遠いようで近いアーグラ―にはなかなか行く気になれなかったし、誰と行くのもちょっと渋い気がして断っていた。

私はタージ・マハルに特別な思いがあった。

大好きな映画であるアラジンの舞台がアグラバーと呼ばれる街で、宮殿のモデルになっているのがタージ・マハルなのだ。

タージ・マハルとは、ムガル皇帝シャー・ジャハーンが、王妃ムムターズ・マハルのために建てたお墓である。何人も王妃がいるなか、最愛の王妃のためにこんなに美しいお墓を残したという話に、私はそこはかとないロマンを感じていた。

だからこそ特別な人と行きたかった。そして彼氏とこの機に行くことを決意したのだ。

当日の朝は朝5時に起床した。いや、彼氏の時差ボケで4時には起床した。

朝のデリーは、昼より静かで涼しく、今までなんでもっと早く起きなかったのだろうと思った。そして7:10ニューデリー発の電車に乗ってアーグラ―へ向かった。

アーグラ―まで電車で向かった理由は、電車の方が車よりずっと安かったから。私たちが乗る予定だったのは一番高い3A(サードクラス)というクラスの車両で、値段はひとり495ルピー(755円)だった。

しかし私たちは間違えてGN(ジェネラル・シート)という一番低いクラスの車両に乗ってしまった。お金をある程度持っている人が乗る3Aに比べて、通勤などで使う人が多い。あとで調べてみると、「物をとられる危険性が高く、基本的に乗らないほうがいい」と書かれている。値段は75ルピー(114円)。アーグラ―に到着するまでの約5時間、臭さと心地悪さに耐えた。


12:00になり、やっとアーグラ―に着いた。私たちが利用した駅、アーグラ―・カントからタージ・マハルまではオート・リクシャーで100ルピー(150円)だった。途中で帰りも利用してくれたら安くするよ、などと勧められたが、観光地のインド人はお金をぼったくることしか考えていない人も多いので断った。

タージ・マハルの入場料は、外国人が1100ルピー(1678円)、タージの中に入るのが1300ルピー(1984円)。さらにガイドを付けたので、675ルピー(1029円)かかった。私が少しヒンディー語を話したので、ガイド料はインド人料金にしてくれた。値切ったら、もう少し安くなったかもしれない。


快晴のもとにたたずむタージ・マハルは美しかった。

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ガイドさんは、タージ・マハルの装飾には工夫が凝らしてあって、大きく見えるようなデザインになっていること、王妃と皇帝の墓は劣化しないように地下にあり、私たちが見られるのはレプリカであること、左右対称にこだわっていて横の2つの建物と王冠のように見えることなど、様々な話をしてくれた。また、たくさんフォトスポットを知っていて、私たちの写真をとても綺麗に撮ってくれた。とてもいい経験ができたので、タージに来る人には少しお金を払ってガイドさんを付けることをお勧めしたい。


最後にガイドさんは、「シャー・ジャハーンは王妃の墓廟タージ・マハルと対称に、自身の黒い墓も作りたかった」という話をしてくれた。しかし彼は息子のアウラングゼーブにアーグラ―城に幽閉されてしまい、夢がかなわなかった、というのは有名な話だ。

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夢がかなわなかったシャー・ジャハーンは、今は白いタージ・マハルの中でムムターズ・マハルの隣に眠っている。

黒いタージ・マハルも完成したらたしかに綺麗だったと思うが、最愛の人の隣にずっといられるのもまた幸せなのではないか、と思った。






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