冥王星のノード軸が示すアクエリアスの本質
1972年にグアム島から帰国された横井庄一さん。この時、私はまだ生まれていませんでしたが、1980年代においても、横井さん帰国時の会見映像が幾度もメディアに取り上げられました。「恥ずかしながら帰って参りました」ーーその言葉に、幼い私は言葉にならない衝撃を受けたことを覚えています。人間の強さと美しさが何かとてつもなく「哀しいもの」と交差する様に打ちのめされました。その慟哭、魂の発露。折り重なる意識の乱反射にめまいがしそうでした。
1935年、徴兵検査を受け第一補充兵役(補充兵)に編入される。1938年5月に召集され帝国陸軍に入営して中国戦線へ送られ、翌1939年3月に解除となる。1941年8月には再召集され、中国の満州を経に送られた。1944年からはグアム島の歩兵第38連隊に陸軍軍曹として配属。同年7月にはアメリカ軍が上陸し(グアムの戦い)、島での米軍との戦いにより日本軍は壊滅状態となり、横井が所属する中隊は同年8月10日に解散。8月に同島で戦死したとされ、戦死公報が届けられている。(Wikipediaより)
戦死したとされる横井さんが日本に帰国するまで、実に約30年もの間、グアム島で壮絶な日々を過ごしていたことになります。横井さんを駆り立てるものは何だったのか?戦争とは何だったのか?(その正体とは何なのか?)私たちは今一度、その本質に目を向けて理解し、新しい時代を切り開いていかなくてはなりません。
1945年のポツダム宣言受諾によって日本軍の無条件降伏が発令されたことは知らされなかった。グアム島では残留日本兵の投降を呼びかける放送が鳴り響いたが、横井は「その放送を聞いても私たちは敗戦を信じられず、相変わらず敵の襲撃を恐れてジャングルの中をさまよい続けたのです。長くとも十年待っておれば、必ず日本軍は力を盛りかえしてこのグアム島へも攻め寄せてくると固く信じておりました」と著書に記している。
横井さんが「信じておりました」と語るシロモノ。それは一体何ものなのでしょうか?それは日本という国、或いは、その象徴としての天皇、或いは、大和魂なのでしょう。そして、それを突き詰めると「ご先祖を含む親族であり、帰属するものとしての日本民族であり、そのスピリットを宿した自分自身」であったのではないでしょうか?つまり、自分が自分であるという純粋な生命の誇りです。
しかし、その煌めく生命の輝きが「何かとてつもなく哀しいもの」へと歪曲されているように感じられてなりません。日本兵とか第38連隊陸軍軍曹などと名を付けられ、自由に輝く個としての命がひとつの枠に収められる。そして、その生命力や誇り、愛する能力さえもが、意図された方向性に向かってのみ働くようにコントロールされる。個としての生命の輝きとスピリットを奪われ、自分を尊重し、自分を信じる力を根こそぎ奪われてきたーー
それが魚座時代だったのです。その結果、完成したのが男性性に傾きすぎた山羊座社会です。情や命、繋がりや多様性を抹消してしまう哀しい魚座時代を終えた私たち。みんな深い場所が傷ついています。だって、信じられないくらいの暴力を受けてきたのですから。
例えば、ユリシスは中学生の時、教師から一列に並ばされて、連帯責任だ!とビンタをされました。竹刀を持って校内を歩く先生。事あるごとに全体行進なるものを強制され、上手くできないと体罰を受けました。泣いている女の子もいましたが、私は死んでも泣くもんか!と思っていました。こんな理不尽なこと、私は受け入れない!私のスピリットは絶対に従わない!と。
そして、大学生になってからふと気が付きました。「あ、あれは戦時中だったのだ!」と。まだ戦争は終わっていなかったのだと。日本はずっと敗戦国のまま、勝利国の属国だったのです。あの教育の本質が軍隊以外の何だったと言うのでしょう。連帯責任?体罰?自分の意見を言うな???
民主主義なんてどこにあるというの?そんなものは微塵もありませんでした。苦しいはずです。山羊座社会の中で、普通に生きていこうとすれば、とてつもなく苦しいはずなんです。その苦しみも怒りも傷も真っ当なんです。
そうです。戦争は終わっていなかったのです。そして、そう気がついた時、それを許すことができたのです。ならば、終わらせようじゃないの。私から終わらせようじゃないの。怒りと悲しみのエネルギーを反転させた瞬間でした。そして、私は意識の世界へと入っていきました。
これからいよいよ、水瓶座時代(アクエリアス)が本格的に始まっていきます。私たちは自分の意識をどの方向へ開いていくべきなのでしょうか?それは冥王星のノード軸が示しています。
惑星にはそれぞれのノード軸があります。ドラゴンヘッド&ドラゴンテイルとは「月の」ノード軸のことです。月は動きがとても速いので、個々人の月のノード軸=ドラゴンヘッド&ドラゴンテイルは多様化します。しかし、最も動きの遅い冥王星のノード軸は、約2000年間、変化しません。そして、進化占星術において、冥王星のノード軸こそ、時代と人類の方向性を指し示しているのです。
つまり、今、生きている人はみな、冥王星のノースノードに向かって進むという共通の命題を抱えています。ノースノードは進化の方向性を示し、サウスノードは今抱えている課題を示します。私たちの進化の方向性は蟹座にあり、課題は山羊座を超えていくことなのです。(今、生きている人は冥王星のノード軸がほぼ同じ場所にあるのです)
それは、10室(社会的活躍、目に見える成功や成果、賞賛、自己顕示欲など)の前に4室(ルーツ、基盤、魂の本質、地域社会、命としての自分自身)に目を向けましょうということであり、何より、個々人の家族の問題や世代間の対立を超えて融合し、個としての命を大切にしましょう!純粋な繋がりを持って生きましょう!ということに他なりません。
ご紹介した動画の中で、横井さんの妻・美保子さんが述べている言葉にそれが象徴されています。「戦争って誰が始めたんですかねぇ。天皇陛下の御為?天皇陛下が始めたのかな。それとも誰が始めたのかな。とにかく、みんな、大事にして育てた子どもを、泣く泣く兵隊に出したわけです。それで、戦死したとて、木の箱に石ころが入って帰ってきた・・・」(39分あたりから)
また、美保子さんはこのようにも述べています。「まぁ、日本の国はつまらない戦争をしたもんですよね、私はそう思います。(横井が)ポツリと言ったのは<海が沈まないものなら、ひと足ひと足でも歩いて、日本の国、母の元へ帰りたかった>と・・・」
これが私たちの、命あるものの本心ではないでしょうか。大義名分?象徴天皇の御為?日本国のため?それも一理あるでしょう。それは否定しません。だけど、個の命として生まれてきた。かけがえのない命として生まれてきた。それを外側からの何かに「方向付けされ」「コントロールされる」なんて、そんな筋合いはないのです。そんなおかしなことはないのです。
当たり前の心。誰が我が子を兵隊にしたいというのか。誰もそんなこと、望んでいない!!!その当たり前の熱い想い、魂の発露。それを表現していくこと、それだけでいい。どんなイデオロギーよりもその想いの方が上です。何よりも初めにあったものなんです。自分という命を、家族を、同胞であるすべての命を大切に慈しむ心。その土台の下に、進んでいくだけでいいのです。
私は阿波踊りが大好きです。各地に残る踊りを見るとどうしようもなく泣いてしまいます。それは、この蟹座的で4室的なものを感じ取るからに他なりません。そして、それを奪われ傷つけられてきた、私の中の悲しみが疼くのです。私は個として存在していたかったの、個としてみんなと繋がっていたかったよ、組織という軍隊の一員になんてなりたくなかったよ・・・その深い悲しみが溢れだしてきます。誰の中にもある地域や人々との繋がりと愛情。文化の中に伝承されてきた私たちのスピリットと健全な心。
蟹座というサインは、欠損としての月だけではなく、そこを超えて、その反転に位置する本当の月とも関連していますから、私たちはもっと天真爛漫に素の自分を表現していいのです。「日本の国へ、母の元へと帰りたかった・・・」それは本当の月から出てくる想いではないでしょうか?太陽というよりも素の自分としての、4室から生まれいずる自分自身としての想いです。社会性というペルソナも行き過ぎると心が失われます。杓子定規になって個の輝きが消えてしまうのです。
占星術が示している偉大な知恵に気が付く度、心底驚かずにはいられません。冥王星は最も強い力を宿す天体です。冥王星が水瓶座入りすると、この方向性を無視することは、もはや、どなたにもできないことでしょう。気がついたあなたから、率先して、命を慈しみつつ、新しい時代を開いていくがいいーーそう静かに熱く、冥王星が語りかけてきます・・・
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