今までで一番美しい珊瑚礁
2016年9月
私は沖縄県の波照間島にいた。
2ヶ月過ごした富士山に別れを告げ、夏を取り戻すために。
この滞在は私にたくさんの気づきを与えてくれた。
私がどれだけ海を愛しているのか、
どれだけ海に救われているのか、
海や自然の美しさ、そして気候変動についても。
波照間島のニシ浜は遠浅で、100mほど沖に行くと息を飲むほど美しい珊瑚礁と、そのまわりを泳ぐカクレクマノミなどの魚に出会うことができる。夕暮れ時にはウミガメにも遭遇した。
お世話になっていた宿のオーナーがシュノーケリングに誘ってくれた。
彼は所有している小型船で、私たちを島から離れたNOWHEREに連れて行ってくれた。
感動した。
時間を忘れて夢中になって泳いだ。
色鮮やかで、種類豊富な珊瑚礁を眺めることができた。
船に上がり、
「こんなにきれいな珊瑚礁初めてみました!」
とオーナーに伝えようとした。
すると、オーナーとプロダイバーのおじさまが
「年々ひどくなっていく。今年は今まで一番ひどい。」と話していた。
え?どういうことだろう・・
私はショックを受け、その日は部屋に籠って珊瑚礁になにが起きているかを調べることにした。
珊瑚礁の白化現象の原因は、地球温暖化や水質汚濁。
つまり私たち人間が大きく関係している。
当時の私は「温暖化」と聞くと、どこか他人事で私ひとりで変えられる問題じゃないと、はなから諦めていた。
そして珊瑚を守るために、いま私ができることは珊瑚を踏んだり物理的に破壊するのを防ぐことだ!と思い、
シュノーケリング中に珊瑚礁の上に立ったり、蹴ったり、折ったりしている人を見かけたときには声をかけるようにした。
「は?」と言われることも、無視されることもあって、疑問で溢れていった。
どうして私たち人間は自然の中に遊びに来て、
自然に恩返しはしないの?
美しい珊瑚礁を見に来て、どうして壊して帰っていくの?
あとから調べてみると、2016年は世界各地で大規模な珊瑚礁の白化現象が起きた年だと知った。
波照間島で日本の夏を取り戻したあと、
私はまだまだ夏を楽しむためにオーストラリアへ向かい、
自然をこよなく愛する人たちに囲まれて2年間オーストラリアでの生活を楽しんだ。
出会う人たちは一定のレベルで自然を愛し、地球のことを考えた生活を送っていた。
2018年9月、2年ぶりに日本に帰国し、絶望的な気持ちに襲われた。
そこから私は地球温暖化、気候変動に関する勉強を本格的に始めた。
私たちがこよなく愛する自然を守るために。
私たちの未来を守るために。
地球が抱えている問題に気づかせてくれ、ありがとう。
私の原点である波照間島へ、愛を込めて。
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