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ホットケーキとおばあちゃん 幼い頃の思い出

きっと誰もが持っている思う、幼い頃の食べ物の印象的な記憶。

その記憶には味と共にその時感じていた幸福感やなんとも言えない不安感とか寂しさとか、空気の感じ、そして匂いや温かみ、色々な背景が詰まっている。私はそんな食べ物の1つに祖母の作ってくれたホットケーキがある。

私はホットケーキが大の大好きなのだけれども中でも祖母の焼いてくれたホットケーキは特別だ。小さい頃週末に車で小1時間くらいのところに住んでいた祖父母の家にお泊まりに行った朝、祖母はホットケーキを良く焼いてくれた。早朝、朝ごはんだと声を掛けられて、いつもと違う天井に一瞬不安な気持ちを覚え、でも台所から香ってくる甘くて優しい香りにほっこりしていた。祖母の作ってくれたものは私の中ではパンケーキではなく「ホットケーキ」。両方の定義は分からないけれど実際祖母はホットケーキと呼んでいたし、最近の流行りのメレンゲを立てたり色んな小洒落てるものをのせているあれとはものが違うと思っている。彼女のホットケーキはとても素朴だけれど私の中では完璧なもの。しっとりふわふわで新鮮な卵の香りがふわっとしていつも3枚くらいぺろっと食べていた。
バターにメープルシロップをたっぷりかけて(ちなみに祖父母は普段バターもメープルシロップもそしてパンケーキも食べない。でも私たちが来るために用意をしておいてくれるのだった。)

私は休日のお腹を空かせて起きた遅めの朝によくホットケーキを焼く。ホットケーキを焼くたびに必ずこの幼い頃の思い出を思い出し、そして毎回この記憶を愛おしく思うのだ。私が目指しているのはもちろん祖母のようなホットケーキ。でもやはり何か違う気がする。今は亡き祖母に、もはやレシピを聞くことも出来ないしあの時のホットケーキがどれだけ特別なものだったかも伝えられていない。ありがとうは言える時にどんどん伝えるべきだって最近つくづく思う。伝えたくても伝えられないなんてそんな悲しいことはない。

さて、私のものと何が違うかざっと分析してみると、記憶では祖母はまずきちんと粉をふるっていた、卵も私のようにフォークで適当に混ぜるのではなく泡立て器で混ぜていた。そしてここはスペシャルなのだが、立派な鉄板を出してきてコンロの上に置いてそれで焼いていたのだ。私の思うにここが最大のポイントだと思う。鉄は熱伝導が素晴らしいし、焼きムラが少ない。ホットケーキを焼くのに一番適している。
祖母は何十年も使って来たであろう立派な鉄板を錆びさせずきちんと管理していた。そんなきちんとした性格の彼女の1つ1つの丁寧さや緻密さがあのホットケーキを作り出したのだと思う。
わたしもいつか孫にこんなホットケーキを焼いてあげたい!とはまだ今のところ子供もいないので正直想像が出来ないけれど、愛する人にこんな心に残るあったかい料理を出来るだけたくさん食べてもらいたいなと単純に思う。

ここでホットケーキ好きが教える、作る際のポイントをいくつかご紹介したいと思います。

いつも通り箇条書きでわかりにくかったらすみません。少しでも参考になれば嬉しいです。

まず1つ目は水分に(飲む)ヨーグルトを使うこと。

色々なレシピを試してきたけれど、牛乳よりも粉と卵と馴染みやすく、生地がなめらかにまとまるし、ヨーグルトのコクや酸味もホットケーキには悪くないと思うから。フランスではスーパーにとても濃厚な無糖の飲むヨーグルトが安く売っていて、私的にはそれがベストで使っている。普通のヨーグルトを使う場合は少し牛乳でゆるくする。

2つ目は油の入っているレシピで必ず作る。

舌触りや口どけが俄然変わってくる。

3つ目はフライパンの温度

ふわふわに仕上がるかは間違いなくフライパンの火加減で決まる。

ホットケーキの膨らむ要素は「卵」とそれを助ける「ベーキングパウダー」。そして膨らんだものを支える柱となるのが小麦粉だ。要はフライパンに生地を流してから生地が固まる(火が入る)までの間に卵をどれだけいい感じに膨らませられるかにかかっている。ほとんどのレシピにフライパンをよく温めてから流すとあるけれど、ある程度の温度にしておかないと生地が膨らむ前にベーキングパウダーのガス(ベーキングパウダーは熱に反応して、そこからガスを出し始める)が抜けきってしまって、ベーキングパウダーの力を発揮しきれない。これがフライパンをきちんと温めておく理由だ。でも熱すぎて表面が瞬間で焼けてしまうくらいだと熱すぎる。(単純に焦げるし、生地が上がる前に表面が固まってしまう)ある程度生地が上がったら後は中に火を通したいので焦げないように火を弱くして熱が伝わりやすいように蓋をする。これがホットケーキのポイント。

こうやって素材の特性とか1つ1つの行動の「なぜ」を考えると失敗は少なくなるし、楽しさも増す。これは料理全般に言えること。料理はこういう論理的な部分と直感の部分の両方のバランスがとても重要だと思っているし、私の尊敬する料理人はこのバランスが長けていたりする。

今日は以上です。

皆さん、良い一日をお過ごしください♪

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