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SmartHRのUXライターは他の職種や部署とどのような接点があるのか

こんにちは、SmartHRのUXライティンググループでUXライターをやっているkuvanov(くわのふ)といいます。

さて、UXライター。わりと珍しい職種ですよね。まして、UXライターが集まって部署化しているなんてのは、さらにレアケースかと思います。

ところで会社の仕事というのは、いろんな人と関わりますよね。自分の部署内だけですべてが完結するはずもなく、他の部署や職種との相互作用の中で、仕事を進めていくはずです。ただ、マーケティングやセールスなど、おなじみの部署や職種であれば、会社の中でどのような役割があり、ほかの部署や職種とどのような接点を持っていて……という想像が働くかと思いますが、UXライターはなにせレアなので、大半の人はそういった勘所がなさそうです。ゆえに、UXライターが社内でどのような動きをして、どのように他の人と接点を持つのか、なかなか伝わりにくいのでは、という危惧が、主に採用活動の方面であったりします。

そこで今回、社外の方に「SmartHR社内で、UXライターと他の部署/職種にどのような接点、関わりがあるのか」を理解してもらうために用意したのが本記事。

制作にあたっては全社的なアンケートを敢行。「UXライターがいてよかった、と思ったとき」「UXライターにこれから期待すること」という質問をしています。寄せられたコメントを見ていくことで、「UXライターって、実はこんなに必要とされてるんだ!」というのもわかるかもしれません。……必要とされてるよね? 

アンケートをもとに相関図をつくってみました
※ 実際の絵面とは異なる場合があります

プロダクトエンジニアとUXライター

プロダクトエンジニアは、他社だとソフトウェアエンジニアと言われたりもする職種です。ほとんどの場合、各プロダクト開発チームに所属しています。

UXライターの多くは、プロダクトエンジニアとともに開発に携わっているので、プロダクトエンジニアとUXライターとの接点はプロダクト開発の中で多く発生します。

プロダクトエンジニアから見たUXライターは、まず第一に「プロダクト開発をともに進めるチームメンバー」という側面が大きいかと思います。

エラーメッセージの文言に悩んでいたところ、簡潔な文言案を提案してもらい、実装が止まることなく進められた。

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトエンジニア

日頃からプロダクトのUI文言やエラーメッセージの検討、ヘルプページの作成を推進していただいて助かっている。

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトエンジニア

文言が複雑な仕様を考えていたときに、簡潔な表現を提案してくれて助かった。

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトエンジニア

リリースノートの添削をしてもらい、文章が明らかにわかりやすくなった。

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトエンジニア

プロダクトのユビキタス言語の設定キックオフのリードをしてくれた。

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトエンジニア

一方で、UXライターが持つ考え方や技術をプロダクトエンジニアに伝授・移譲し、クロスファンクショナル(機能横断型)なチームを作りあげていくという関わり方もあります。簡単に言うと、UXライターがやるようなタスクを、エンジニアもできるようにしていこう、というものです。

この関わり方の場合、プロダクトエンジニアから見たUXライターは、単なるチームメンバーというよりも「メンター」や「講師」の側面が大きくなります。

リリースノートやヘルプページのレビューを、提案時には「なぜ」まで添えた上でしてくれる。

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトエンジニア

モブライティングで、UXライターがどのような観点に注意して、構成を考えているのか、言い回しを考えているのか知ることができた。

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトエンジニア

リリースノート、ヘルプページ、プロダクトの文章などを考える際の辞書といえる「SmartHR Design System」をうまく使えていない状態だった。UXライターからDesign Systemのそもそもの考え方や使い方を教えてもらうことで、チームが自発的に、より良い文書を、根拠を持って書けるようになった。

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトエンジニア

UXライターの思考法をより知りたい。文章を書くのが苦手な人でも構成を整理したり、文章を書けるきっかけになると思う。

——UXライターに期待すること、プロダクトエンジニア

定期的にライティング講座のような活動をしてほしい。

——UXライターに期待すること、プロダクトエンジニア

上で紹介した2通り以外にも、たとえばUXライティンググループが提供するプラットフォーム(textlintやヘルプセンターなど)の利用サポートというかたちでプロダクトエンジニアを支援する、という接点もあります。

プロダクトデザイナーとUXライター

プロダクトデザイナーは、SmartHRにおいては(ソフトウェア)プロダクトのデザインを担当します。UXを扱うという点や、プロダクト開発チームの一員であると同時にメンターでもある点など、UXライターと共通点が多いです。

UXライターとの接点はプロダクト開発チーム内で多いのはもちろん、「SmartHR Design System」の運用やサポート活動などで協力することも多いです。UXライターとプロダクトデザイナー、そしてデザインシステムの深〜い関係については、是非、下記の記事をご一読を。

メッセージテキストに関するライティングで、定型なものや汎用的なものは積極的に明文化してデザインシステムに反映してくれています。文言の検討やスプリントレビューにおいて開発者が参照しているところをよく見かけます。

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトデザイナー

開発者がリリースノートを作成したり、ヘルプページを追加・更新しやすくなるよう、パブリッシングプラットフォームの環境構築・整備を行なってくれています。

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトデザイナー

ドメイン理解が前提となっている専門用語(社内用語)のリファレンスがあると便利そうです。

——UXライターに期待すること、プロダクトデザイナー

QAエンジニアとUXライター

QAエンジニアも、開発チームの一員でありつつ、QA(品質保証)の職能をプロダクトエンジニアに移譲するメンターでもあるという点で、やはりUXライターと共通点がある職種です。

UXライターとの接点としては、開発チームにおける活動が中心となります。品質保証の観点から、UIテキストやエラーメッセージの不自然な点を指摘してくれることも多く、非常にありがたいです。

UXライターに、よくわからないけどこの文言違和感あるかも…と伝えると、その文言がどういう理由で適切・適切じゃないのかを詳細に教えてくれて勉強になる。同時に次から自分で考えるための指針になって助かる

——UXライターがいてよかったとき、QAエンジニア

機能の正式リリース直前で、リリース事前告知を準備しなくてはいけないが、チームでそうした文書を手がけたことがなく、そうこうしているうちに期日が迫ってしまっていた。焦っていたところに、UXライターが駆け付けてくれ、モブ作業の場で仕様の説明を聞きながら一緒に文書を作ってくれた。あのとき来てくれなかったらクオリティ的にも時間的にもヤバかったと思うので本当にヒーローだった。

——UXライターがいてよかったとき、QAエンジニア

テクニカルライティング講座2期がめっちゃタメになって、教わったことがその後リリースノート書くときに役立ちまくった

——UXライターがいてよかったとき、QAエンジニア

仕様検討の話し合いの最中に文言案をシュッと出してくれたり、リリースノートのレビューも背景を踏まえたアドバイスをしてくれる

——UXライターがいてよかったとき、QAエンジニア

プロダクトマネージャーとUXライター

プロダクトマネージャーは、プロダクト開発のまとめ役であり、プロダクトの方向性や仕様の策定などを通じて、開発にがっつりコミットします。UXライターとの接点は、開発チームでの活動が中心となります。

コメントを見ると、UXライターの職能を活かした、プロダクト品質への直接的貢献を重要と感じている人が多いようです。また、中にはUXライターを壁打ち相手にしてくれる人も。

設定画面の文言を検討中、プロダクトチームでは適切な表現にたどり着けずに悩んでいたところ、UXライターに入ってもらい、ユーザーのメンタルモデル等も考慮しながら、良い案に決定できた

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトマネージャー

プロダクトの文言だけではなく意味づけ、ユーザーに与えるメッセージなどを自律駆動で考えてくださり、とても助かっている。

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトマネージャー

ユーザーコミュニケーションが必要な部分はヘルプだけではなく、マニュアルの作成など自身の職務範囲にかかわらず対応してくれる

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトマネージャー

議論の進め方や仕様の整理など、思考プロセスを提供してもらえて、とても助かる

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトマネージャー

新機能の開発開始の時点で、リリース時を見越して「登場する概念」「伝えるべき情報」「誰にどこで伝えるか」をUXライターと整理すると、新機能の検討フェーズから「コンテンツでユーザーにどう伝えるか」という目線で考えられるので、非常に参考になり、刺激にもなっている。

——UXライターがいてよかったとき、プロダクトマネージャー

今のところ、十分に頼りきれていない気がしていて、もっと積極的に相談していきたいお気持ちです。

——UXライターに期待すること、プロダクトマネージャー

UXライターに今後期待する点としては、プロダクト群全体での用語の統一や、プロダクト利用促進のためのコンテンツ制作といった取り組みが挙げられていました。

ユビキタス言語を各プロダクトで作成し始めてますが、用語の統一ができると嬉しいです!

——UXライターに期待すること、プロダクトマネージャー

一部進めてもらっていますが、コンテンツを作ってユーザーのオンボーディングやユーザーの運用課題などを解決する流れを継続、加速してもらいたいです。

——UXライターに期待すること、プロダクトマネージャー

カスタマーサクセスとUXライター

カスタマーサクセス(CS)は、主にプロダクト導入後の顧客を対象に、プロダクトの利活用を通じてユーザー課題を解決していくことを目指します。その意味で、UXライターとはとても「目線が近い」といえます。なぜなら、UXライターもまた、コンテンツを通じて顧客の課題解決を目指すという使命を持っているからです。

CSはプロダクト開発チームへの問い合わせや要望、フィードバックを出すことが多いので、UXライターとはそこで接点ができやすいです。

また、「コンテンツによるユーザーのプロダクト利活用促進」の文脈で、UXライターとCSが共同でコンテンツの制作や導線整備を行なうことも多いです。

CSやカスタマーサポートを通じ、お客さまの声をコンテンツ改善に活かした実例については、ぜひ下記の記事をご一読ください。


UXライターが作成したヘルプページが顧客サポートに効果絶大です。また、年末調整機能はサポートコンテンツが多いので、コンテンツの進捗共有や、お役立ち情報の連携、顧客向けセミナー資料のレビューなどで助けられています。

——UXライターがいてよかったとき、カスタマーサクセス

人事評価機能の設定例のヘルプページは本当に欲しかったものでした。お客さま自身で活用を進められるのも、充実したサポートコンテンツのおかげなので、本当に日々助かっています。

——UXライターがいてよかったとき、カスタマーサクセス

SmartHR基本機能の「招待」についてのヘルプページ整理が「神」でした。

——UXライターがいてよかったとき、カスタマーサクセス

UXライター主催のライティング講座を振り返って拝見しています。CSもお客さまの資料を作る機会があるので、今後も参考にさせていただきます。

——UXライターがいてよかったとき、カスタマーサクセス

CSと引き続き連携しながら、よりお客さまのオンボーディングと利活用に寄与できるコンテンツを作成していただけるとありがたいです!

——UXライターに期待すること、カスタマーサクセス

単体のヘルプページだけでなく、ヘルプセンター全体として顧客の課題を解消に導きやすい構造になっていってほしいと思います。

——UXライターに期待すること、カスタマーサクセス

お客さま対応でメール案内することが多々あるので、簡単な文章講座があると嬉しいです。

——UXライターに期待すること、カスタマーサクセス

コミュニケーションデザインとUXライター

コミュニケーションデザイングループ(コムデ)は、会社のブランディングや販促、広告制作物等のディレクションを行なっている部署です。

UXライターとの接点としては、新規プロダクトのリリースに合わせたコンテンツ作成が挙げられます。UXライターは、言葉を専門に扱い、かつプロダクト開発に直接関わるため、製品資料や宣材等の制作物をチェックするにはうってつけの存在です。

コンテンツチームへの細かい情報共有や、ヘルプの制作、スマートフォンアプリ関連制作物での「言葉」に対するチェックをしてもらったり相談に乗ってもらったりしました。

——UXライターがいてよかったとき、コムデ

UXライターがいなければ、言葉として迷子になってしまったり、ヘルプページやSmartHR スクールといった他のコンテンツ、さらにお客さまの観点も足りず、制作のスピード感や品質が損なわれていたように思います。

——UXライターがいてよかったとき、コムデ

プロダクトのユビキタス言語を作っていただいたおかげで、新しい画面のそれぞれのパーツの呼び名なども明確になり、資料も作りやすくなりました。

——UXライターがいてよかったとき、コムデ

UI、UXなどに関わらず「言葉のプロ」として相談できるポジションがいることがすごく助かりました!

——UXライターがいてよかったとき、コムデ

スマートフォンアプリのコピーの制作や、制作物の文言表現のレビューを頂き、お客さまにわかりやすく伝わりました。そのおかげでコムデ制作のポスターやマニュアルにて、インストール数に貢献できています

——UXライターがいてよかったとき、コムデ

UXライターと同じく、広義の「コンテンツ」を扱うコムデですが、専門とする領域はUXライターとはかなり異なるので、おたがいにスキルを補いあうことでコンテンツ領域でシナジーが生まれやすい関係、といえそうです。

「言葉のプロ」として、プロダクト以外にもビジネス的な領域や、会社のブランディングそのものにも関わって行ってほしいです。コムデとももっと連携を取れればと思います。

——UXライターに期待すること、コムデ

コムデにはコピーライティング経験のあるメンバーがいないので、表現の相談ができると、とても嬉しいです。

——UXライターに期待すること、コムデ

まだまだあるよ、UXライターと他職種の接点

いかがだったでしょうか。UXライターが他職種/部署とどのように関わりあっているか、具体的なイメージが多少なりとも湧いたでしょうか。

ちなみに、ここに紹介した以外にも、UXライターと接点が多いところはまだたくさんあります。ここで簡単に紹介しておきましょう。

PMM

PMMとはProduct Marketing Managerの略で、プロダクトのビジネス側面、たとえば市場内のポジショニングや値付けなど、広義のマーケティング全般を行なう職種です。察せられるとおり、役割は非常に広い範囲に及んでいます。プロダクトリリースにあわせたコンテンツ計画や、ユーザー要望の管理、ユーザーサポート支援といった範囲でUXライターと関わることが多く、UXライターとビジネスサイドの各職種が協力して取り組みを行なう際の旗振り役にもなってくれます。

カスタマーサポート

カスタマーサポートは、チャットサポートなどを担当し、顧客からの問い合わせに直接対応します。多くの場合、サポートにはヘルプページなどのサポートコンテンツが使われるため、サポートの品質を上げる上では、UXライターの責任は重大です。また、カスタマーサポートからのフィードバックもまた、コンテンツの改善には欠かせません。カスタマーサポートがヘルプページの作成に携わったり、UXライターがチャットボットのシナリオを作るといった例もあります。

プログレッシブデザイン

プログレッシブデザイングループは、SmartHRの「使いやすさ」について、インクルーシブな視点から取り組んでいる部署です。多言語化やアクセシビリティ、そしてSmartHR Design Systemなど、UXライターと関連する部分が非常に多いです。最近では「やさしい日本語」などの新たな取り組みもスタートしており、ともすれば「テクニカルライティング」方面に傾きがちなUXライティングにおいて、新しい視点を吹き込んでもらえていると感じます。

マーケティング

マーケティンググループは、SmartHRについての認知を拡大し、見込顧客を集客する部署です。近年では、プロダクトローンチにあわせてマーケティング、コミュニケーションデザイン、PMM、UXライターなどで「コンテンツチーム」を組成し、新規プロダクトにまつわるあらゆるコンテンツ(サポートコンテンツ、営業資料、セミナー、プレスリリース、etc...)を統一されたユーザーストーリーのもと、横断的に作成していく取り組みも行なわれています。

接点は、つくるもの

こうして見ると、とても多くの人と関わりあい、必要とされているのだなあ、と感慨がある反面、もっと色々な部署/職種と接点をつくっていき、より多方面でUXライターの有用性を示していけるといいな、とも感じました。

実際のところ、SmartHRにおいて、「接点」をつくるハードルは限りなく低いです。Slackのチャンネルはそのほとんどがオープン設定ですし、誰かと接点が持ちたいなら、メンション1つ飛ばせば、それで事足ります。

誰かに必要とされるのが好きな方、たくさんの人と一緒に仕事をしていきたい人にとっては、SmartHRはかなり良い環境だな、と改めて思いました。

さて、そんなSmartHRのUXライティンググループをともに作っていく仲間を募集しております!

UXライティンググループやUXライターにご興味を持っていただけましたら、ぜひお気軽にカジュアル面談をお申し込みください。UXライターとざっくばらんに1対1でお話できます。


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