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猫がわたしを信じない

この夏の夜も猫たちがサカっていた。

あぁ〜ん♡
おぁ〜ん♡

みたいな、妙に人間っぽい声で交尾をしていた。
「おわああ、ここの家の主人は病気です」。
萩原朔太郎の詩を思い出す。
月がでかい。

月はどんどんでかくなり秋が来て、子猫が生まれた。ゆうべの台風は子猫にとってはじめてのものだったか、それとも、2回目だったか。

こわい思いをしただろう猫はこわそうにわたしを見て、走り去ろうとする。

「にゃーん?」
呼びかけてみる。
「ニャーッ!!」
そう叫んだのは、悲鳴か、返事か。

妙に人間っぽい声だった。
ピーンと立てた尻尾の先を、ぶるりと震わせ、そいつは、逃げた。


野良こねこ
ニャーッと鳴いて逃げた背に
にゃーんと呼びたる
われも
野良びと

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SNS原稿用紙で綴る一枚記」は、SNS投稿に最適化された原稿用紙を使ってお送りする短い読み物です。コンセプトは「画面越しにも、手書きのぬくもり」。SNS原稿用紙について、詳しくはこちらです。
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