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「ワンチーム」の精神 感動くれたカナダ代表

(こちらは2019年11月18日に共同通信社から地方紙向けに配信された「スポーツ随想」の千種担当回第9回の記事です。共同通信社からは許可を得てnoteにも配信しています。)

 皆さんが最後に泣いたのはいつですか? ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本代表の決勝トーナメント進出で泣いた人は多いでしょうね。私も散々泣かされましたが、一番感動をもらったのは、カナダ代表の岩手県釜石市でのボランティア活動でした。


 台風19号の影響で10月13日に同市で開催予定だったナミビア―カナダ戦が中止になりました。1次リーグB組で何とか1勝を、と意気込んでいたカナダ代表はやりきれない気持ちでいっぱいだったはず。そんな中、試合がなくなったまさにその日に、泥を片付けるボランティア活動をしてくれたのです。


 私が気象予報士を志したのは、天気予報を通じて災害から人々を守りたいと思ったからですが、気象予報士は土砂崩れや川の氾濫自体を防げるわけではありません。起こってしまった気象災害に対して、カナダ代表が「ONE TEAM(ワンチーム)」となって立ち向かってくれたのがうれしかったのです。さすが「紳士のスポーツ」と感動しました。


 ラグビーが紳士のスポーツと言われるのは、元々英国の上流階級が始めたからだそうです。しかし私はこんな考え方もできるのではと思っています。私の弟が高校からラグビーを続けており、たくさんのラガーマンがたびたび家にやって来るのですが、どの人も驚くほど気配りができるのです。

 その理由はチーム人数の多さにあると思っています。ラグビーのスタメンは15人、控えも含めると20人以上と他競技と比べて格段に多いです。チーム人数の多さゆえ、「ワンチーム」の精神や他者に配慮する紳士的な振る舞いが自然に身につくのではないでしょうか。

気象予報士、一橋大学空手道部女子監督 千種ゆり子

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