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人生初のクリームパンでのカンパイ

子供の発想はいつも無限大で面白いなあと思う。定期的に会う4歳の友達(髪型がずっと一緒)がいるが、この日はクリームパンを作ったというので、買い物ついでにお邪魔して来た。

腹を空かせて家に上がったら遅めのランチも一緒に食べさせてもらう事になった。料理人の友達(大きい方)の作る料理はいつも美味しくて、遊びに行く度に野良猫の如くここぞとばかりに美味しいご飯をがっつかせてもらう。

小さい方の友達とテーブルセットをして、皿一杯に盛られた挽肉たっぷりのミートソースパスタを食べる。太めでモチモチの麺が美味しい。喋りながらもあっという間に食べてしまい、お腹がはちきれそうなのですぐには動かず隣に座る小さい友達が食べるのを見ていた。

4歳の彼は喋ったり立ち歩いたり、なかなか食べる手が進まない。それでも出会った1年前よりも確実に時間をかけてでも食べるようになっていた。そもそも1年前はあまり言葉も通じず意思疎通もできなかったが今では普通に会話ができる。4歳児にして立派なトリリンガル大先生である。成長してるんだなあ、すごいスピードで。

ほら、フォークマンでパスタ巻いて食べるんだよ、と話していたのでフォークマン?と聞くと、お皿の上でくるくる踊ってパスタを巻き取るらしい。

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お皿がダンスホールに見える、お洒落な視点である。

大人が食後のお茶で腹を落ち着かせているところに、やっとパスタを食べ終わった彼はクリームパンを楽しみにしていたのか、すぐさまキッチンからパンを一つ持ってきた。パンを持つ手の4倍くらいの大きくてこんがりぷっくり焼かれたパン。

私が食べやすく半分にちぎって渡すと、もう半分はユリカにあげる、と渡された。お腹いっぱいだからお茶飲み終わったら食べるね、と皿に置こうとしたら無理やり手に持たされ腕を掴んだまま強制的にクリームパンでカンパイをさせられた。

この「カンパイ」はいつも水やジュースを飲む時に私から彼にしていたのだが、まさか今カンパイが返ってくるとは。大人になったなあ。と思うと同時に、この「無理やりカンパイ感」は何か夜のお店の香りがした。

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しっかり自分のパンは下に下げる完璧さ。カンパイしたから10万円ね的な。カンパイしたからには今一緒に食べるしかないのだ。

将来のカリスマホスト的才能が見えた。

柔らかいパンにコクがあるクリームがよくなじんだパンだった。食べ終わった後みんなで塗り絵をし、ペンは紙をはみ出し腕にタトゥーの描き合いをした。

ここベルリンで育っていて両親もタトゥー好きなら、この子もいずれ何か入れるんだろうな、むしろ絵が好きだからタトゥーアーティストとか?と考える。水性のペンで書かれた青、緑、ピンクの落書きはよく肌に馴染んだ。子供の震えるようで大胆な線は、大人がわざと描こうとしても二度と描けない線だ。

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もし将来彼がタトゥーアーティストになったら、ファーストタトゥーは彼に入れてもらおうと思う。そしてシャンパンタワーをしてコールと共にクリームパンでカンパイし、ダンスフロアでフォークマンのようにくるくる踊りたいと思う。