カラサワ

アフリカの農村に住んでた酒飲み。

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「いらっしゃいませ」が「こんばんは」に変わった日

それがいつのことだったか、具体的に覚えているわけではない。 だけどその日からそこはいつも私を温かく迎え入れてくれる、大好きな店になった。 1.一人暮らしを始めて 大学を出て社会人になり、初めての一人暮らしを始めた。 それまで一度も降りたことのなかった都内の街で、一人。 大学時代は一人暮らしの友達が心底うらやましくて、就職とともにそれができると決まって、ずっとワクワクしていた。 自分で選んだものだけを置いて、好きな時に好きなことをして、好きなものだけ食べて、友達や彼氏を呼

    • そういえば帰国

      言うの忘れてたけど、帰ってきました。 16日前に。 ただいま。お待たせ、ニッポン。 帰るまではあれだけ「カウントダウンはどうちゃら」とか騒いでたわりに、帰ってきたら二週間以上のだんまり。 なぜかというと、スーパーエンジョイしていたのと、普通に発熱していたので。 8月2日、帰国前夜、隊員仲間たちと飲むように酒を浴び、歌い、踊り、潰れ、若干の二日酔い状態で、搭乗。 機内ではダウンロードしていた「地面師たち」にしゃぶりつき、(激しめの濡れ場では「どうか後ろの人に見られて

      • 一行で済むことを

        …さむっ 体の震えと共に目を覚ました。 うっすらと開いた片目で窓を見つめると、まだ外は仄暗い。 肌掛け程度の毛布に包まるも震えが止まらず、時計を確認する。 5:50。 「さすがに早すぎる」と、布団から這い出してニットを着た。 再び床に就くと同時に、お腹がぐうっと鳴る。 空腹なら仕方がない、起きるか。 外からは、「ギャギャギャギャギャ」という、謎の生物の鳴き声が聞こえる。 アフリカの朝まだきには、何とも言えない神秘さと恐ろしさがある。 毎晩、ねずみと強盗の侵

        • 一年前のわたしへ

          こんにちは。 あ、あなたは今日本にいるので、「こんばんは」か。いや、もう寝てるか、午前1時を過ぎているし。 数日前にルワンダからボロボロの状態で帰国して、今はつおくんと愛猫さいと一緒に、すうすうと寝息を立てていることでしょう。 ルワンダではあんなにも寝付けない日々が続き、顔を青白くさせていたのに、帰ったとたん深い深い眠りにつくことができ、随分と安心したことをよく覚えています。 さて、あなたは今、人生で一番と言っても過言ではないほど、元気がありませんね。 心も体もボロ

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          一緒にごはんを食べようよ

          今、人生の中で一番、”食べる”ということについて考えている。 今、というか、ルワンダに来てから、ずっと。 脂ののったブリのお寿司が食べたいなとか、クリームがたっぷり入ったシュークリームが食べたいなとか。 今日の夜は何を作ろうかなとか、そろそろ野菜や卵や肉を買いに行かなきゃなとか。 明日は友だちと美味しいものを食べられるから楽しみだなとか、今夜は頂き物のスルメで一杯やりたいから、ちょっと頑張ろうだとか。 日本にいるときより時間があるから、自然と”食べること”を考える時

          一緒にごはんを食べようよ

          日記をやめちゃった

          暑い ルワンダと言えば、一年中過ごしやすい気候というのが一番の長所だったはずなのだが。 夜になってもさほど涼しくはならず、最近は何もかけずに寝ている。 本当は網戸のまま眠りたいけど、名も知らぬ生物が侵入を試みたらどうしようと不安なので、寝る直前にはちゃんと締めている。 大好きなホットコーヒーが、あんまり美味しく感じられない。 その代わりにビールはいつも以上に美味しいので、肝臓を休ませることが少々難しくなっている。 この村にいるのはあと少しの期間だし、お世話になった

          日記をやめちゃった

          健やかでいたいね

          ルワンダでは、挨拶の時にいろんな表現を使って、元気かどうかを確認し合う。 日本語に直訳するのは難しいけど、「調子は良い?イイ感じ?平和?」みたいな。 日本人にはあまりそんな感覚がなくて、最初私は「おっはーこの前の話だけどさ」などと無礼をはたらいていた。 けど最近はちゃんと、元気かどうか確認してから本題に入るようにしている。 多少不調であっても、ルワンダ人には「元気だよ~調子いいよ~」と答えているけれど、たまに自分自身に問いかけることはある。 「わたしは今、元気なのだ

          健やかでいたいね

          カウントダウンはまだ早い

          帰国まで3か月となった。 愛し愛されたニャムガリを離れるのはあまりにも寂しく、帰りたくない思いでいっぱいだ。 ...なんて言ったら、嘘になる。ごめん。 正直、もう私の気持ちは9割方日本にある。 ルワンダにあるのはせいぜい足の指先ぐらい。 帰りの飛行機に乗るのは、92日後。約2,200時間後だから、サザエさん4,400回分である。 幼いころ私は、テーマパークでのアトラクション待ち時間を、なぜかサザエさん換算していた。 90分待ちなら、サザエさん3回分。 120分なら

          カウントダウンはまだ早い

          欲しいのは、金メダル

          先日JICAから、進路希望調査と、任地ニャムガリを離れる日のお知らせが送られてきた。 それもそのはず。あと4か月もしないうちに、私は焼き鳥を片手にへべれけになっている予定なのだから。そしてカラオケで新宿に豪雨を降らせている。 進路。 今年30歳になるのに、進路希望調査を書くだなんて、おもしろい。 中3くらいから定期的に行われてきたイベントが、この年まで続くとは思わなかった。 だがしかし、そんなものは怖くない。 なぜならば… 半年前から進路を決めているからである。

          欲しいのは、金メダル

          拝啓、大好きです。敬具

          拝啓、自分宛だと分かってるであろう、君へ。 私は、友だちに「大好きです」なんて言うタイプの人間ではなかった。 何故なのか考えた。 そもそも、日本人は、友だちに「大好きです」などとあまり言わないのかもしれない。 でも、何故なのか考えた。 結論、”相手が自分のことを大好きかどうか自信がない”から、もしくは”相手のことを100%大好きかどうかわからない”からなのではと思った。 今回、その両方を完全に忘れさせてくれた人、大切な、大好きな君に向けて、このメッセージを捧げたい

          拝啓、大好きです。敬具

          旅をして、もっと好きになる

          私は、友情にアツいほうだ。 友だちとの付き合い方として、たまにランチして世間話に花を咲かせるというよりは、一晩中飲んで熱い話をして泣きながら抱き合ったり、会いたくなったら無理してでも飛んでいったり、お互いの好きなところを褒め合って愛を深めていくタイプ。 まあ結局類友なので、親友たちは結構みんなアツい。ルーキーズ系。 ルワンダに戻る前夜にわざわざ新幹線で会いに来るヤツとか、4,000字以上使って私の好きなところをnoteに書くヤツとか、何も言ってないのに欲しいときに欲しい

          旅をして、もっと好きになる

          私のヤバさ

          他人が私のことを評価する時に、「しっかりしてるよね〜」という評価をいただくことが、よくある。 これは、半分正解で、半分間違っている。 確かに私は礼儀作法や常識はわきまえているし、幹事とかもよくやるし、ある程度他人に頼らず生きていけるし、ラーメン屋も一人で入れる。 自分の意見を伝えられるし、人生の分岐点ではちゃんと決断ができるし、国家斉唱とかもちゃんと歌う。 しかし、だ。 その残りの半分が、ヤバい。 だいぶヤバすぎる。 現に、今この記事を書いている理由というのもそ

          私のヤバさ

          ひとり暮らし、キライ。

          アラームはかけない。大体同じくらいの時間に目が覚めるから。 何に起こされるわけでもなく目を覚まし、片目でカーテンを見つめる。 まだ暗かったらもう一度目を瞑り、ぼんやりと明るかったらスマホで時間を確認する。 明るかった場合は大体、7時から8時の間。 どこに行くにしても、その時間に起きれば間に合う。 眠い目をこすりながら、SNSをさらっと徘徊する。 「おはよう」と言う相手はいないので、もう既に日が傾き始めている日本にいる恋人に、起床を報告する。 ブルーライトで脳が覚

          ひとり暮らし、キライ。

          おなかぴーぴーと大のろけ

          新年あけまして…なんて記事を書こうと思って少々ボーっとしてたら、明日で1月が終わることに気が付いた。 時の過ぎゆく速さに驚きを隠せない。 1月は「行く」、2月は「逃げる」、3月は「去る」なんて言われているのは、日本の忙しない生活の中での話かと思っていたが、そうとも限らないらしい。 いや、ただ単に今月が私にとって楽しすぎたからだろうか。 そう、今月、恋人がついにルワンダにやって来たのだ。 心配性すぎる私は、彼が来る1週間前から軽い不眠症を患った。 Podcastのス

          おなかぴーぴーと大のろけ

          バカ高いかまぼこが見たい

          壁掛け時計を見て、カレンダーを見て、スマホのロック画面を見て、SNSを見て、ゾッとする。 12月30日… 年末ってこと…? 一年中気温20度越えのこの国で迎える年末は、二度目。 しかしながらやはり、半袖で迎える年末というのはどうもしっくりこない。 年末は寒いものだと、体に染みついているのだ。12月生まれだし。 ルワンダにいながらも、誕生日は盛大すぎるくらいに祝ってもらったし、クリスマス会もしたし、M-1も敗者復活戦、決勝、ネクストデイまで観たし、恋人に誕生日おめで

          バカ高いかまぼこが見たい

          纏う色で完成される

          私の住む村の景色は、ほぼ4色だ。 どこまでも続く土の、赤茶。 バナナツリーや畑の、緑。 ペンキを塗ったように濃い、空の青。 その空を飾るように広がる、雲の白。 私の住む村に限らず、市街地を除けば大体どこもこの4色で構成されている。 時間帯によって、天候によって、霧がかかってくすんだり、夕日に照らされてキラキラと輝いたり。 とてもシンプルなのに、ルワンダの風景を表そうとすると、「カラフル」という言葉が浮かんでくるのは何故だろう。 それは、人々が纏う色鮮やかなアフリカ布

          纏う色で完成される