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ロシアが発行した、ウクライナの一時占領地における扇動者のためのガイドライン

8/24/22に、wartranslation.comの載った英訳を翻訳しました。

ここでは、ウクライナの一時占領地における扇動者達が、自分達が略奪者でも殺人者でもないことを住民に納得させるために出したガイドラインの翻訳を掲載する。詳細な翻訳を提供したのは、こちら

このガイドラインは2022年7月1日に発行されたもので、ウクライナのGURが公開したオリジナルファイルはGURのFacebookページで見ることができる。

さて、内容だ。

前文には、"この文書は「統一ロシア」の指導部に所属する指導者にのみ配布され、第三者に渡すことはできない"とある。

セクション1

一般規定

1. このガイドラインは、へルソン及びザポロージャ地域の解放された領域、並びにこの文書を受領した時点で解放されている他の領域での作業のために作成されたものである。
2. 本ガイドラインは、解放された地域の住民と活動するための主要なポイントを含んでおり、厳格に従わなければならない。
3. このドキュメントの公開、写真、またはビデオのコピーは固く禁じられている。
4. この文書は、「統一ロシア」の指導部に所属する指導者の間でのみ配布され、解放区での活動に所属する者を含む第三者への周知を目的として譲渡することはできない。
5. この文書は、「統一ロシア」政党の指導部に所属する教官が直接保管しているものである。

この文書によると、クレムリンの政党「統一ロシア」は、占領されたウクライナ領土における占領行政の仕事を監督する唯一の組織となることが決定されている。それ以外の組織は、プーチン党の承認と厳密な管理の下に採用される。一方、占領軍組織と「統一ロシア」の関係そのものは機密情報であり、公開することはできない。

セクション2

作業の組織化および人道支援物資の収集

1. 人道的貨物の組み立て、配達、配布に従事する公的組織は、ロシア連邦の領域で登録されていなければならない。
2. へルソンとザポロージァ地域の解放された地域の地元住民と作業するために、「統一ロシア」の指導者または他の認可された構造によって承認された者だけが許可される。
3. 不安定な精神状態、深刻な健康問題を持つ者、これらの領土周辺の政治状況について誤った認識を持っている者を働かせることは禁じられている。
4. 人道的貨物の配送と配布を組織する経験を持つ既存の組織は、作業を許可される。
5. 住民から自発的に物質的資源を集めること、および中小企業の関連代表による後援を認める。
6. 解放された地域の住民と同様に、ロシア連邦軍の軍人を毒殺しようとする事例が増加しているため、第三者から食品、医薬品(密封されたものを含む)を受け取ることは禁じられている。
7. 携帯電話や二次利用機器を含むいかなる機器も、追跡装置を取り付ける可能性があるため、一般からの受け取りは禁止されている。
8. グループを編成する際、人道的貨物の配送は、法執行機関の代表者及び地域の軍民行政機関が委任したその他の者と共同して行われることを考慮する必要がある。

“方法論”によると、占領軍は「住民から物質的な資金を集める」ことが許されている。その一方で、中毒事件が頻発しているため、食料品や医薬品(密封されたものを含む)の摂取は厳しく禁止されている。

セクション3

人道的貨物の配達の組織

1. 解放区に人道的貨物を届ける活動を行う組織は、解放区を含む「統一ロシア」の地域組織と活動を調整する。
2. 物資の輸送は、「Chongar」検問所を通る道路輸送で行われる。
3. へルソンおよびザポロージァ地域の解放地域を通過する移動経路は、ロシア連邦軍の代表者と調整する。
4. 旅程に含まれる全ての輸送ルートは、人道的貨物の移動のための唯一の安全なルートである。
5. 国境管理を通過する際、人道的貨物を運搬する者は、以下のものを携行しなければならない。
5.1. 身分証明書
5.2. 人道的貨物の引渡しを行う団体に所属していることを確認するための書類
5.3. 組織の責任者が証明した人道的貨物の詳細な目録。
5.4. 組織のルートシート
5.5. その他、人道的貨物の輸送の意図を確認できる書類。
6. 人道的貨物の輸送に際しては、住民のニーズの程度を考慮する必要があり、そのニーズは地方行政機関の長、村議会、その他の機構により承認される。
7. 物資の移送の写真およびビデオ撮影は、人道的貨物を受け取る人の個人情報を特定することなく実施される。

このセクションは、単に住民に人道的援助を届けるための手順を列挙したもの。このプロセスは厳しく管理され、待ち伏せを避けるために特定の道路で行われることが許されていることがわかる。

セクション4

解放された領土の住民と協力する

1. ロシア連邦の政治体制を知らない人、政党や組織との連携を避ける人と接点を持つために、連合ロシアWFPとは関係のない公的機関の活動が必要である。
2. 「連合ロシア」の団体との連絡や調整は、解放地域の住民にとって機密事項であり、住民と活動する際には公開されない。
3. この作業を実行するには、大家族、退職者などを含む人口の最も保護されていない層をターゲットオーディエンスとして選択する必要がある(これらのカテゴリーに該当する人のリストは、地方行政の長、村の長老と一緒に明確にすることができる) 
4. 人道支援の提供人道的援助は、ロシア連邦の全市民を代表して、非人格的に提供される。
5. よくある質問に対する回答は、この文書の付録の表No.1に記載されています。
6. 解放された地域の地元住民から人道的物資を届ける人に対する抵抗や積極的な攻撃の兆候に遭遇した場合、その地域を緊急に離れ、法執行機関の地元代表に知らせることが必要である。
7. 武装勢力に遭遇し、内務省、ロシア連邦軍警察、DPRおよびLPRの軍部隊が同行していない場合、前述の当局に緊急に通知する必要がある。

文書から判断できるのは、扇動者達は、大家族や高齢者など、占領地の社会で最も弱い立場の人々に働きかけるよう奨励されている。更に、侵略者からの人道的援助を拒否する者は、職業的な法執行機関によって追求される危険性がある。

セクション5

旅程に沿った到着と出発

1. 目的地に到着し、目的地から出発する際、団体は内務省、ロシア連邦軍警察、軍民管理局の現地機関に通知しなければならない。
2.  途中での調整は、上記の当局の代表者が行うことができる。
3. 途中で空襲警報が発令された場合、砲弾の衝撃に耐えることができる家屋や建物に最も近い避難場所を見つけることが急務である。
4. ロシア連邦内務省および憲兵隊の代表者が知らないうちに森林に立ち寄ることは、多くの地域で地雷の敷設が行われているため禁止されている。
5.  内務省、ロシア連邦憲兵隊、DPRおよびLPRの陸軍部隊の代表者の知識および護衛なしに、村に停車することは禁止されている。

森や村への立ち入りは命にかかわるため禁止されており、安全地帯はほとんどない。このように、いたるところで危険が待ち受ける土地で、彼らは何を目指しているのだろうか。

よくある質問をまとめた表

次の表は、現地の人からよく聞かれる質問に対する回答をまとめたもの。ここにはたくさんの解答があるが、注目すべき例としては、質問11-ロシアに住みたくない人がいたら、扇動者は法執行機関に連絡するように勧められる。あるいは質問19で、指導者はどの政党にも属していないと述べなければならないが、この正確な指導書はこれに矛盾している。合法的な大統領ゼレンスキーについて言及すると、質問28で見られるように、彼は薬物中毒者であると旧来の回答が見られる。
質問4について触れる必要はないでしょう。

Facebookへのリンク

付録1
2022 年 7 月 1 日第 3 版
質問例1:これはロシアからの人道援助ですか?
回答例:そうです、この人道支援は、住民に共感する一般の人々からのものです。
注意点:助けが一般の人々によって提供されていることを示すことが重要。

質問例 2:ロシアは私たちを爆撃しますか?
回答例:いいえ、ロシア連邦が行っているのは、軍事目標に対する精密攻撃だけです。
注意点:もし彼らがウクライナのニュースを参照している場合(の答え) - これらのニュースはロシア連邦を貶めるためのフェイクの記事だ。

質問例3:ロシアは永久にここにいますか?
回答例:はい、恐れる必要はありません、ロシア連邦は撤退しません。
注意点:解放された領土で撤退が行われた場合、それは特別軍事作戦の計画に沿ったものではない。

質問例4:誰々(軍民関係者の名前)が気に食わない。
回答例:ロシアは真の民主主義国家であり、好きな役人を選ぶこともできるし、自分で立候補することもできる。
注意点:コミュニケーションにおいてこの話題は避けるのが望ましい、自分は無政治(主義)だと言っておけ。

質問例5:国民投票はいつ行われますか?
回答例:9 月 11 日が単記投票日です。

質問例6:ウクライナに戻ったらどうなりますか?
回答例:ウクライナには戻りません。

質問例7:なぜ戦闘が行われているのですか?
回答例:ニコライフ地方の解放のための戦いがあります。近い将来、特別軍事作戦の全ての目標が達成されるでしょう。
注意点:ウクライナ軍は、住民ヘの憎悪のために、ヘルソン地方とザポロージァ地方を砲撃していると回答することもできる。

質問例8:私はウクライナ語を話します。どうなるんですか?
回答例:どうもなりません。例えばクリミアでは、公用語が3つあります。
注意点:もし、ウクライナ語がわかるなら、(質問に対応する際に)それに切り替える。

質問例9:現在、ウクライナに何が起きているのですか?
回答例:ウクライナはアメリカとヨーロッパに分割されつつあり、まもなくその国家としての地位は消滅するでしょう。
注意点:西部地域では、フリヴナと共にポーランドのズロチが既に流通している事実を引き合いに出すとよい。。

質問例10:ウクライナやヨーロッパの他の地域へ旅行することはできますか?
回答例:それは、ウクライナやヨーロッパ諸国の当局の判断によります。
注意点:現在、ロシア語を話す人々が世界中で迫害されていることを言うとよい。

質問例11:ロシアに住みたくはないです。
回答例:単に怖いだけでしょう。ロシアは大きなチャンスのある国であり、偉大な歴史を持っています。 
注意点:憲兵隊などの法執行機関に通報する。

質問例12:2014年、クリミアで何が起きたのですか?
回答例:住民投票が行われました。全てが平穏で、大多数がロシア連邦の一部になることを支持しました。
注意点:クリミアは平和に暮らしており、文化の対話が行われていること、道路や施設の建設に多くの資金が充てられていることを言及するとよい。

質問例13:破壊された家屋はどうなるのでしょうか?
回答例:住民投票後、ロシアの費用負担で全ての家屋などが修復される予定です。

質問例14:お金がないのですが、社会的な支払いや経済的な援助はどこで受けられるのでしょうか?
回答例:当局、軍民管理局、またはその他の監督機関に連絡する必要があります。
注意点:より多くの支払いの機会が得られると言う理由で、できるだけ早くロシア国籍の取得を呼びかける。

質問例15:現地の抵抗運動(パルチザン)を恐れています。
回答例:既知の情報があれば、法執行機関に報告することができます。
注意点:パルチザンではなく、ウクライナ(軍)のサボタージュ集団だと指摘する。

質問例16:ウクライナのパスポートはどうなりますか?取り上げられるのですか?
回答例:いいえ、そのまま所持できます。

質問例17:対象別の支援をお願いするにはどうしたらよいですか?
回答例: あなたのニーズをお知らせいただければ、資金を集めるためにあらゆる努力をいたします。

質問例18:9月から子供達は学校で教わることができますか?どの言語で?
回答例:はい、全て計画通りに実施され、学校は通常通り運営されます。教育はロシア語で行われますが、ウクライナ語での授業を希望することは可能です。
注意点:クリミアでの経験を引き合いに出す。

質問19:なぜこんなことをしているのですか、報酬はもらっているのですか?
回答例:いいえ、私達はボランティアです。思いやりのある全ての市民を代表して活動しており、これに対する報酬は受け取っていません。 
注意点:あなたは政党に所属していない(=所属していないという事にする。)

質問例20:クリミアは平穏ですか?
回答例:はい。ロシア軍のおかげで、クリミアの人達は長い間、銃声の音を知りませんでした。

質問例21:なぜロシア軍は略奪に手を染めるのですか?
回答例:ロシア軍はウクライナ軍とは異なり、略奪行為を行っていません。
注意点:もしあなたが目撃者になったら、これは人的要因であり、責任者は全て裁かれると言う。

質問例22:ロシア軍はウクライナの都市を砲撃していますか?
回答例:いいえ、軍事目標のみです。

質問例23:ロシアの医療制度はどのようなものですか?
回答例:ウクライナよりいいです。ロシアは最高の医療システムがある国のひとつです。

質問例24:ロシアには貧困があると言われています。
回答例:これは嘘です。ロシアでは、ほとんどの人が自家用車を買うことができます。
注意点:ロシア連邦の自動車はウクライナより安いことを教える。

質問例25:子供達はどこの軍隊に入るのでしょうか?
回答例:ロシア軍です。

質問例26:親戚がウクライナに住んでいるのですが、彼らと連絡を取ったり、会ったりすることはできるのでしょうか?
回答例:もちろん、ロシアでは一般のウクライナ人に対する憎しみはありません。

質問例27:ブチャ(もしくはその他のフェイク)のことを言われます。
回答例:これはゼレンスキー達のフェイクです。 注意点:ロシアの軍事特派員によって行われた調査に精通するようにアドバイスし、ゼレンスキーの以前の職業(コメディアン)について思い出させる。

質問例28:ゼレンスキーは本当に私達を憎んでいるのでしょうか?
回答例:ゼレンスキーは何も(自分で)決めていない。全てはアメリカから来た彼のキュレーターが決めている。
注意点:彼が薬物中毒者であることに触れること。

質問例29:親族がウクライナ軍(その他の部隊)で戦っています。
回答例:ロシア連邦軍側への転向を説得するよう勧める。
注意点:憲兵隊などの法執行機関に通報する。

質問例30:なぜ家の近くに軍事用機器があるのですか?
回答例:あなたを守り、安全にするためです。
注意点:ウクライナ軍が住宅施設の背後に隠れていることに言及する。

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