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≪わたしごと32≫息吹く

文化遺産や伝統文化の価値は、何処にあるのだろうとぐるぐる考えていたら、ふっと思った。一言で言うと"息吹く"所にあるのではないか。

その価値は私達が微風を感じ、何らかの感情をわき上がらせる所にあり、それはその対象と連結している。なので、価値の所在は文化財自体に不変に内包されている訳では無い。価値とは皆が信じているからあるものだ。

その風を感じるか否かは、想像力や感受性というところだと思う。文化財を守り活かすのはコミュニティーの文脈の中でなので、私達が想像力や感受性を上げることは、文化財を守る事に繋がり、相乗的に文化財の価値が上がる事ではないだろうか。では、どうしたら想像力や感受性が伸びるのかと言ったら、教育や生涯学習と言うところになると思う。

余談だが、どこかでやまと言葉では"ふ"という音には、命が吹くというような、なにか息と魂が同等のような語源がある、と言う様な内容を読んだことがある。私の記憶が正しければ、富士とか藤の色とかの"ふ"は、この語源があったと記憶している。それはさて置き、息といのちという繋がりは、"息を吹き込む"ともいうし、ものづくりの文脈でも感覚的にわかる。

"息吹き"は英語で何というかと考えても、単語単体は思いつかず、表わそうとするとなにやら説明的になってしまう。これはやはり、ものに命が宿ると考える神道があってこそだろうか。

なので、息吹く文化や伝統、息吹を感じるような文化財が、今一度見直され、その微風を受けて私たちは何を新しく創造、構想するか、という事が、温故知新を体現する事なのかなと思う。

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