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≪わたしごと47≫身体性・美・工芸


"きものと日本の美意識" をテーマにした西陣織「細尾」12代目の細尾真孝さんと著作家の山口周さんの対談が、面白かった。

印象に残っているのは、細尾さんの "工芸における、身体感覚と美の関係性は非常に深い" ということで、最後のこれからの子どもたちへのメッセージでも、実際にいろいろと美に触れて感性を育てて行って欲しいという旨を仰っていた。

工芸と身体感覚と美の関係性が深いというのは、直感的にそうだなと思う。どこから来ているのだろうと考えると、日常で "つかう" という事ともともとは密接に繋がっていて、人間の身体性に合わせて作られて来たものというのもあるだろうし、又つくる方で言ったら、つくり手の身体性と素材の物理的な制約的特徴と、それらが調和して可能になったかたち、色味や曲線に"自然"を見るので、美しいと思うのではないかなと思う。

工芸作品をつくるときには色々な道具を使うけれども、言うなれば身体も道具だ。身体を含めた道具と素材がゆるす方向と、つくり手が実現したい方向と、それらが不自然でない時、あまり無理が無い時、心地よい感じがするように思う。また、そういったものは長持ちするようなものでもある。

又、美意識を身体性をもって触れながら培うというのも、とても共感する。見るだけでは分からない肌触りだとか、温度だとか柔らかさ硬さだとか、もしくは扱う時にする音だとか。匂いだとか、重さ、壊れやすさとか。

そういった体験を子どもの頃からするのも大事だし、それが大事だと大人が伝えるのもまた大切かと思う。対談の中で言語化の話もあったが、こどもの頃からそういった体験の感想に、どうしてそう思うのか、どういう所がそうなのかと大人が問いかけるのは、イギリスに居て日常見るかける光景でもある。こう言った事は、習慣や考え方、伝え方を培う上で重要かもしれない。

"きれい!すごい!かわいい!" の一歩先で、客観的に伝える努力を習慣にすることは、自分が感じている事の認識にもつながり、しいては自分の好きなものは何か、自分のしたい事は何かが分かる大人になる手助けにもなる様に思う。

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