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≪わたしごと52≫気になる事 続

前回のノートでワクワクしている大人が少ないという事と、楽しみの価値という事について書いたが、ここでは、2つ目の日本人はあまり日本が好きでないという事について、考えてみたい。

昔の話になるが、ロンドンに語学留学した時にクラスメートに多くスイス人がいて、彼らのスイス好きさ加減に驚いた事がある。授業で自国を語るというのがあって、嬉々として話す感じに羨ましいなと思った。私の周りにいるイタリア人とスペイン人はイメージ通り、食にパッションがあってオープンで、生まれ故郷を愛していて、イギリス人は自国に対してややシニカルな所はあるが、誇りを感じる。

日本人が日本を好きでないという時、それはどういった意味合いなのだろうか。自分の事で考えてみると、私も日本を好きでなかった。何故なら、生き辛いという事と、自由じゃない感じがするから。そんな理由もありロンドンに来たけれども、10年以上たって分かったことは、生き辛いというのも自由じゃないというのも、自分が自分に自由を許さなかったら何処にいても似たようなものという事だ。

自信が無いというのも同じような事で、海外に行ったからといって、自信はつかない。当初はこの中で生活していれば自信が嫌でもつくと思ったけれど、自動的にはそうならない。

今振り返って思う事は、自信とは文字道理自分を信じる事で、"自分は出来る!"という根拠のない信念というよりも、"自分はいつでも自分に寄り添う" "自分は自分を見捨てない" という様な安心感を自分で担保出来るかどうかの様な気もする。何故なら、何か失敗した時や間違った時一番辛辣に酷評するのが自分であるのは、行き場が無いしそれこそ生き辛い。そういう事を自分はしないし、応援するからやってみたらいいとGoサインを出すのが自信なのか、と考えたりする。

その自分という領域を、もう少しひろげて家族とかコミュニティーとか、地域、国などに広げていくと、自分は自分をつくる日本という土台に寄り添うとか、見捨てないということになるかも知れないし、逆に自分を内包するコミュニティーが安心感をもってGo出来る環境であるのがすなわち自分の自信につながり、生きやすいのかなと思う。

他方、日本の食、伝統芸能とか工芸、職人とか技とかそんなキーワードでいくと、日本人は日本を誇りに思っている様に感じる。それはやはり世界でも高い技術と精神性で、真摯に向かい合っている姿がカッコいいからだし、そこに日本人としてつながりを感じるからだと思う。

私たちは日本の文化や伝統に目を向けて、自分と日本という国とのつながり方を違う角度で発見出来たらいいなと思うし、また保存修復に携わる者としては、日本の文化財を私たちは、何をどの様にして次世代に伝えるのか、どのように活用したらつながりが深まるか、発見があるかということを考えていける様であれば良いと思う。

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