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≪わたしごと63≫経済と教育と文化と技術と

落合陽一さんの "日本再興戦略" を読んで、特に文化と教育の部分にとても共感した。

共感した部分を考えながら咀嚼したので、書かれている言葉通りではないのだけれども、織り交ぜて書き留めて置きたい。

             *  *  *

"これからの日本を考えて行く上で、日本の土台にある文化や社会制度を理解する事は重要で、西洋文化に引っ張られて来たこれまでを見直して、東洋的なものをしっかり見つめていくべきではないか。
東洋的なかっこよさ、そのイメージをブランディングする事、グローバル化と共にきちんとしたローカルがある事が大事だ。それらの自分のバックグラウンドとコミュニティに対する帰属意識を持ったうえで、時代に対しての貢献があることが、文化やモチベーションといった文化的資本の原動力になるはず。"

私が共感したのは、自分の足元を見つめる事、自分はどんな時代的、環境的、文化的背景に立っていて、何が自分や自分が帰属するコミュニティーにとって無くてはならないもので、何が変化すべきものなのかが分かる事が大事だという文脈だ。何故大事かというと、それが分かるとアイデンティティーや変化するべき方向が明確になる。さらには、自己肯定感やモチベーションもあがるからだ。

これらは現在言われている、ダイバーシティーやインクルーシブを実行する時に、キーとなってくることだろうと思う。何故なら、多様性が機能する時は、個々人がアイデンティティーを肯定感を持って受け入れている時だと思うし、自分を受け入れているから他者も受け入れられるのだと思う。さらには個人それぞれ違うという事を掛け合わせて、繋がって良くしていこうという発想なので、人から学ぶというモチベーションも必要の様な気がする。

個人的に気になるのは、日本人の日本/日本人嫌いで、とても勿体ないと思っている。ヨーロッパの人は日本をカッコいいと、クールだと、凄いと思っているのに、日本人が日本をカッコいいと思えないのは、具体的にどこがなんだろう?どうすれば、カッコいいと思えるのだろう?

落合さんは、各分野を個別に変えていくのではなく、全体をパッケージとして変えていく事が大事で、経済と教育と文化と技術が密接に結びついたエコシステムを考えることが求められると書いている。具体的には、文化や美意識の基盤となる教育に力を注ぐこと、教育論と経営論はビジョンの共有という意味で相乗効果がある事、文化価値や職人芸を認める伝統がある日本に於いて、現在は職人に対してのリスペクトがあまりに少ないという危惧を書かれている。

特に最後の点に於いては、私も大きな問題だなと思っている。技というものに価値を見出す日本人は、ものづくりの分野でこれまで秀でてきた。その技術や精密さや正確さが、日本のイメージを信頼とつなげて来たように思う。海外に住んでいて、日本のイメージに寄与したものが絶大だなと肌感覚で思う事は、"Made in Japan" と"Manga" だ。

落合さんは、職人の仕事などの複雑な身体性に関する理解は価値がある、 と仰っていて、正に、と思ったが、そういった複雑な事の理解につながる教育に、個人的には貢献していけたら良いなと思っている。

更に、教育に関してキーワードとして挙げていたのは、"モチベーションの格差、文化の格差をどう埋めていくか" だ。私もモチベーションというのは、大人こども問わず、課題だと感じている。例えばこのコロナ自粛期間中に、有効に時間が使えたと思っている人と、退屈して何をしていいか分からなくなってしまった人といるのではないだろうか。その違いはなんだろうと考えた時、能動的に生きているか受動的に生きているかの違いの様な気がした。

能動的だということは、自発的に何か行動するという事で、少なからず自分の関心、楽しい、好き、面白いと思っている事が何であるか知っている、分かっているという事だろうと思う。能動的に動いた結果、"自分らしさが逆に規定されていく" と書かれているのが興味深い。自分らしさが分かっていて、それで初めて行動するのではなくて、とりあえず行動してみてその中で自分らしさが分かって来るという事だ。それは従来の自分探しとは違う。

行動する事、とりあえずやってみる事が大事、というのは色んなところで耳にする。Slowly but surelyというが、少しづつゆっくりでも確実に、行動することを繰り返して行こうと思っている。 

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