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IT企業→化粧品会社のEC担当に転職した結果

こんにちは、化粧品会社でEC担当をしているユリです。

今の会社に入って1年半ほどで、これが3社目になるのですが、実はその前はずっとWebメディアやSaaSなどのいわゆる無形商材を扱っている会社にいました。

今の会社で初めて、カタチあるモノを売っているというわけです。いやー在庫抱えるって大変なんですな。

広告費や手数料や契約料などで稼ぐビジネスと、物を売って稼ぐビジネスではもちろん全然違くって、と思いきや関係なさそうなのにめっちゃ活きる経験もあって。

軸足を(超ざっくり言うと)”WEB系”に置いて、片足をごそごそピボットして領域を広げるというやり方は、過去の経験も活かせるし新しいことにもチャレンジできるしでとても楽しいなーと思うんですよね。

で、世の中IT系企業で無形商材のデジマをやっていて、ECにチャレンジしたいなー、でも未経験だとどうなのかなーと思っている方もいると思うんです。

そんな人に、あくまで私一人のN1の体験ではありますが、ECの世界に入って何にギャップを感じているか、何が大変か、何を活かせているかというのをお伝えできたらなーと思ったりしました。

なにかひとつでも参考になったら嬉しいです。
それでは、どうぞ。

1社目、2社目にやってたこと

まず、私が前職で何をやっていたかをざっくりお伝えします。

1社目ではアフィリエイトサイトのLPOやSEO、WEB広告などに携わり、2社目では最初は女性向けWEBメディアのコンテンツ制作と、法人向けSaaSのLPO、SEOに携わりました。

お分かりかと思いますが、なにかひとつのことを極めたスペシャリストな感じではなく、デジマ全体を広めに経験してきたという感じです。

で、これが今良かったなと思う理由があります。
現在はいわゆる1人EC担当でして、ECに関する(ときには関しない)あらゆることをやっているわけですが、これはなにかの専門性というよりも、全体を俯瞰したりマルチタスクでダーッと業務を片付ける力が求められる気がするんですよね。

ベンチャーとかでデジマ全体を見てきた人なんかは、いきなり未経験でEC担当になっても全く動じることなく適応できると思います。

最初に感じたギャップ

これはもうどんな会社からどんな会社に入るかによるとは思うんですけど、私がIT企業→化粧品会社という転職をして、最初驚いたことやギャップを感じたことを思い出してみます。

ITリテラシーのレベルが違う

1,2社目はITベンチャー企業だったので、エンジニアやデザイナーが社員の半分以上を占める、みたいな環境でした。
当然、コーディング以外のIT知識も高い人が多かったので、転職したらそのベースの違いをかなり感じました。

例えばモニターが一台も無かったりとか、社内コミュニケーションをチャットではなくGmailでやっていたりとか。

まぁ、今の会社は化粧品のプロが集まっているわけで、専門分野が違うから当然ですね。

弊社は社内にエンジニアがいないので、ECの運営をする上で開発が必要なときは、外部のベンダーに依頼します。

私は前職では社内のエンジニアに依頼したことしかなかったので、「GitHubを使わずに依頼するんだ!?!」と最初やや戸惑いました。まぁすぐ慣れますよ。

モノを売ることの煩雑さ

無形商材→有形商材の会社に行くと、カタチあるモノを売ることの大変さ、煩雑さを思い知ります。
不良品が出たときの回収、配送のトラブル対応、卸先への商品登録などなど。

特に他社のECサイトに商品を卸すときなんかは、各社の商品登録フォーマットに合わせてそれぞれ商品登録をやりまくらなければいけません。
百貨店運営のECサイトなんかは販売開始したい日時の3ヶ月前くらいからエントリーしないといけなくて、複数に卸してるともう締切やら登録のフローやらがごっちゃごちゃになってきます。

これ、本当に日本全体で規格を統一してほしいものです。
某老舗百貨店のECサイトの商品登録画面なんかは、おもしろフラッシュ倉庫を連想させる古めかしいサイトを指定されていて、CSVを落としたりゴニョゴニョしたりまた突っ込んだりまた落としたりして頭の血管が切れそうになります。

基本自社ECでしか売らないよーとかだと上記のような業務はそもそも発生しませんけどね。

あと、在庫管理はEC担当がやる場合もあるらしいのですが、弊社は別でロジ担当がいるので、基本的には彼女が対応してくれています。
在庫や出荷管理の煩雑さはどんだけ便利なツールを使っているかに依存するので、ここでは割愛します。

ユーザーからのクレームが身近

これは会社の規模によると思うのですが、小さい会社というのは基本的にカスタマーサポートみたいな部署はありません。
ですので、外注などしてない限り、会社にかかってくる電話やカスタマーメールなどは弊社では現場メンバーが担当します。

弊社の場合だと、問い合わせの内容は配送関係(「いつ届くのー」とか)、製品への苦情や質問、注文の変更やキャンセル依頼、自社ECのシステムへの質問などがほとんど(「クーポンどうやって使うのー」とか)です。

それぞれ担当者が問い合わせに返信する感じなので、私はシステム系の問い合わせを主に担当しています。

どんな業種でもお客さんやクライアントがいる限り問い合わせ対応というのはあると思うのですが、私は前職ではメディア事業がメインだったこともあり、エンドユーザーからの問い合わせやクレームというのはあまり関わっていませんでした。

今は毎日ユーザーからの問い合わせに答えていますが、ときにはこちらの不手際でお怒りの言葉をいただくこともあります。

社会人を何年かやってると神経も図太くなるもんで、もうそれでめちゃくちゃ落ち込むとかは無いですが、たまに何かトラブルが起こると殺到したりするので、それを対応するのは結構しんどいときはありますね。

以前、特大トラブルが起こったときに連日数十件/日のお怒りメールをいただき、一人で全部返していた時期があったのですが、あのときは結構つらかったですね。ちょっと痩せたよ。

問い合わせ対応は割とストレスがかかりやすいタスクではありますが、お客さんの生の声が聞けるというのはとても貴重なことです。

そこからいろいろとヒントを得ることもあるし、「あー、うちの商品を実際に愛用してくれてる人がいるんだなぁ」と実感するとモチベーションにもなりますよ。

役に立った前職の経験

逆に、前職の経験で役に立ってるなーという部分を具体的に挙げてみます。

チャネルごとの特性理解

私はデジマ全体をふんわりと経験してきて、それが今役に立っていると前述しました。ここについて少し詳細を補足します。

まず、小さい会社の場合は広告運用、SEO対策、開発、デザイン、ライティングなどの”実務”は、外注する(もしくは別の担当者がいる)ことも多いと思います。全てを社内で完結するとなかなか人材が見つからないし、そもそもリソースが足りないからです。

したがって、それらの実務に高い専門性がある、例えばGoogle広告の管理画面にめちゃくちゃ慣れていて過去に数億の予算を運用していた、というのは、とてもすばらしい強みにはなりますが、必ずしも全EC担当にマストなスキルではないと思っています。

それよりも、弊社の場合ですがEC担当はプロモーション予算のアロケーションを考える必要があったりします。どの予算をどのチャネルにどのような戦略で使うか、ということです。

このとき、いろいろなチャネルで施策を打った経験があると、各チャネルの特性や強み弱みがセオリーだけでなく、感覚的にもわかります。

例えば、「予算10万円でSEO対策したメディアを作り、”美容液”というキーワードで1位を取ろう!」みたいなことを上長や社長が言い出したとしましょう。

少しでもWEBメディアに携わったことがある人であれば、それがいかに非現実的で安物買いの銭失いになる戦術かが分かります。で、必死に説明して無駄なお金の流出を止めることができるわけです。(ときにできない)

また、WEB広告ひとつとっても、リスティング広告やSNS広告、バナー広告など様々な出面がありますが、これらはそれぞれ特性があり、目的やターゲットに応じて適切に使い分ける必要があります。

今獲得したいのは、新規顧客なのか認知なのか。何をコンバージョンとするのか、潜在層を狙うのか顕在層を狙うのか、などなど。

このへんの感覚はやっぱり、過去に広告運用に関わっていたら「いやいやその目的ならそこじゃないっしょ!」みたいに分かったりするので、的はずれなことをするのを防ぎやすくなるんですよね。

ECの売上を伸ばすという目的のためには、本当にさまざまな手段があります。
今、どの手段を使うべきか?というのは、木を見て森も見るように俯瞰する必要があるので、広い領域の経験があると選定するうえでとても役に立ちます。
もちろん、広い領域×深い専門性があることが一番理想的なのは言わずもがなです。

新しいツールへの慣れの速さ

これはITリテラシーの話とつながるかもしれません。

もちろん一概には言えませんが、IT企業とかベンチャー企業って、生産性の高いツールやソフトを積極的に取り入れる傾向があると思います。というか、小さい企業で人が少ないとツールの力を借りないとやってられないと言いますか。

例えばワイヤーフレームを作るツールとか、WordpressみたいなCMSとか、MAツールとか、そういうサービスを使う機会って結構あると思うんですね。
で、そういうツールのUIとか機能って共通する部分も多いです。

初見のツールであっても、無料ならやれてこの程度だろうなーとか、ドラッグ&ドロップでいけそうだなーとか、こことここが紐付いてるんだろうなーとか、そういうのが感覚的に分かるので、割とすぐに慣れることができます。


以上、IT企業→化粧品会社のEC担当へ転職をした私の体験談でした。

弊社は小さな会社なので、ECの範疇を超えた業務も多々発生します。
で、これがまた楽しいんですよね。展示会行ったり店頭に立ったりイベントを企画したり、WEBマーケターとしてはなかなか経験できないことができます。

そして実体があるモノを売るという商売は、管理も大変だし利益率も低くなりがちですが、このわかりやすい感じが個人的にとても好きです。
消費者が欲しいものを売って、対価として金銭を得るという、商売の原点っていう感じが。

以上、何か参考になれば嬉しいです。読んでいただいてありがとうございました!

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