アトリビュートとは
以前、ブログで書いた記事の転載です。
画像のお人形は「Immaculata Conceptio」、意味は「無原罪の御宿り」。
洞窟の中にいるマリア様のポーズ人形。販売可能です。
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アトリビュート(持物)とは、絵画や彫刻作品における、その人物を特定する持ち物などを言います。
有名な例を挙げると、ギリシア・ローマ神話に登場する神々。
月桂冠をかぶり、弓矢や竪琴を持っているのはアポロン(アポロ)ですし、鹿を連れて弓矢を持っているのはアルテミス(ディアナ)。
二匹の蛇が絡みついた羽のついた杖、ケリュケイオン(カドゥケウス)を持ち兜をかぶり、羽のついたサンダルを履いているのはヘルメス(メルクリウス)で、葡萄の蔓で編んだ冠をかぶり葡萄の房や杯を持っているのはデュオニソス(バッカス)です。
彼らを特徴づけている、月桂冠や弓矢や竪琴、鹿、杖やサンダルや葡萄がアトリビュートです。
ここでは日本で比較的馴染みの薄いと思われる、キリスト教の聖人に因んだアトリビュートをご紹介します。
イエス・キリスト:聖心(後光のある心臓)、十字架、茨の冠、赤い衣 など
聖母マリア:白百合、薔薇、星、踏みつけられた蛇、赤い衣に青いマント など
洗礼者ヨハネ:駱駝の毛皮、葦の十字架 など
マグダラのマリア:長い豊かな髪、油壺、緑の衣に赤いマント など
使徒 聖ペトロ:天国の門の鍵、逆さ十字架、本、雄鶏 など
使徒 聖パウロ:剣、本 など
福音書家 聖マルコ:翼ある獅子 など
福音書家 聖マタイ:翼ある人(天使) など
福音書家 聖ルカ:翼ある雄牛 など
福音書家 聖ヨハネ:鷲 など
アッシジの聖フランシスコ:髑髏、聖痕 など
聖クリストフォロ:肩に乗せた幼児キリスト、杖、犬の頭 など
聖セバステァイアヌス:体に刺さった矢 など
聖ヒエロニムス:ライオン、髑髏、本 など
アレクサンドリアの聖カタリナ:車輪、本、剣 など
シエナの聖カタリナ:百合、本、十字架像、茨の冠、修道服 など
聖セシリア:オルガンなどの楽器 など
聖ルチア:皿の上の目玉 など
聖アグネス:子羊 など
聖ジャンヌ・ダルク:甲冑、旗 など
リジューの聖テレジア:薔薇、十字架像、修道服 など
大天使ミカエル:剣、天秤、竜 など
大天使ガブリエル:白百合 など
大天使ラファエル:杖、水筒 など
大天使ウリエル:本、巻物 など
殉教した聖人は、殉教の際の道具などがアトリビュートになることも多いので、結構禍々しいものも多いですね。
宗教画などを鑑賞する時、注意して見てみると面白いかも知れません。
私の洗礼名の聖人はリジューの聖テレジアで、同じカルメル会の修道女だったアヴィラの聖テレジアと区別する為、地名のリジューの他に、小さき花のテレジア、小さきイエズスのテレジアなどとも呼ばれます。
このテレジアの額絵がアンティークショップのサイトに掲載されていたのですが、なぜか聖母マリアと紹介されていました。
典型的なテレジアの図像だったのに、なぜ聖母マリアと間違えられたのか謎です・・・。
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