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本 / 最近買った本と読んだ本

 夫に誕生日プレゼントにあげた本を、自分でも電子書籍で買って再読しました。トゥルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』
 前に読んだのは中学生のときだったね。
 村上春樹訳の翻訳者あとがきには、「オードリー・ヘップバーンの写真が載っていない表紙で読んで欲しい」と書かれていますが、私はこの、したにリンクしたヴァージョンを図書室で借りたのでした。写真じゃなくて絵だったような気がします(あの、映画広告に載っているのが写真ではなく、模写である、あれです)違ったのかな。

「面白かった」
 夫が云い、
「面白かったね」
 と私も云い、
「すごく良かった。……けど、何が良かったのか判らない」
 と夫が云い、
「何が良かったんだろう。すごく良いよね」
 と私は答えました。
 世の中にはそういう評価をくだしちゃう名作ってたぶん有るらしく、または随分詳しい文章を読んだら色々知れるのかも知れませんが、何故か判らないけれど良いなあと思うひとと同意し合えたので、これを「ドコワカナイスシリーズ」と名付けます。

 ただ、夫は表題作以外目下未読らしく、表題作以外を読むとなんというか……「アメリカ……」と思いました。そういう国があり、そういうひとたちがいて、そしてここに小説があるんだね。
 ちなみに3冊本を贈ったのですが、1冊は読んで貰えていません。読んでホシイナ……。

『ジェネレーションX』これも、ひとつのアメリカですね。

 と思っていた矢先にアカデミー賞授賞式で、俳優がMCを平手打ちしたということが起こり、夫に話を聞いて、

「はっ。アメリカ」

 と云いました。それ以上に思うことは無いし、もし私が人間扱いされたい気持ちでその場に居たなら、自分のすべきことは配偶者を連れてその場をあとにすることだったのではないかなあと思います。アカデミー賞に権威を感じる時点でもう何もかも駄目だと思う。自分の優勝は自分で自分に贈れないなら意味がないように思いました。

 というわけで、『ドライブ・マイ・カー』が何か受賞したことも、だいぶどうでも良いのですが、「これが日本が世界を制したと思わんでくれ」みたいなtweetだけ気掛かりでした。たかがお金持ちのショーじゃないか。私は本当はどう生きられたら良かったんだろう。

 村上春樹の原作短篇集はとても面白かったと思うけれど、性的なイメージをわざわざ上げていくようなタイトルだなあと、短篇集タイトル自体はあまり好きではないです。中身は良かったのだけれど。

   &

 下記の本も読みました。『戦争は女の顔をしていない』、そしてこの本と「ティファニー〜」より前に『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を読みました。

 後者『嘘つきアーニャ〜……』を読んだ感触が特にきつく(戦争はさて置いて)前記の繰り返しですが「はっ。ソビエト」であって「スターリンよェ」なんですけど、全然そう云えなかった。重かった。ひりつきました。このひとたちは、ひとりひとり生きていて、ひとりひとりの価値観があって、平和の為ならaltogatherという単語で否定することの出来ない強さで生きていて、私はやっぱり、どうすれば良いのか分からなくなりました。ALL YOU NEED IS LOVE!! でしょ? と問い掛けても、「でも国が大事なの」と云われてしまったら? 価値観って何なんだろう。

 他国が攻めてきたら? と心配する日本人によく出遭います。「あなたが他国を攻めているときの話をして欲しい」と云うと怒られます。断絶ぅ。
 私はいつも、あなたが(あなたの息子が、娘が、親友が)他者を殺す場にいるときの話をしたいんだ。

 それでも、スターリンの生涯に関する映画を観た小学生が、クラスメイトから「スターリンって随分豪華な暮らしをしていたみたいね」と囁かれる場面に、私は一縷の希望を持ちたい、と思って、まあ色々書いていて全部独りよがりなのですけれど、そういうメモでした。

 川原泉先生が、「もし世界でこれだけを無くせるとしたら?」という感じの質問に「国境線」と答えていた本があって、やっぱりそういう感性は持っていたいなと思います。

 でもやっぱりアカデミー賞授賞式平手打ち事件は、

 はっ。アメリカ。なんですけど。

 それ以上に一連を説明出来る単語を、まだ見ていません。WBCなんかを、夫は熱心に観るのですが、アメリカ杯のことをワールドって呼ぶこの世はとっても馬鹿げています。最悪だ。


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