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NEEDY GIRL OVERDOSE:キメてる女をキメて中毒になる恋愛シミュレーション
ADVゲームはそんなに遊ばないんですが、特徴的なデザインとコンセプトで気になってたゲームがついに発売されました。それはNEEDY GIRL OVERDOSEです。自分がプレイしたADVの中でもトップクラスで面白かったのですが、両手を挙げて面白いといっていいのかどうかわからないダークな面白さがありました。
遊び尽くしてなんとか実績を全部解除したので、今回はその感想記事になります。
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Kawaiiメンヘラクソ女あめちゃん
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NEEDY GIRL OVERDOSEはいわゆる恋愛シミュレーションゲームです。しかし、これまでに発売されてきたものと比べてかなりコンセプトが尖ってます。公式の説明文を見てもらうとわかりやすいです。
『NEEDY GIRL OVERDOSE』は、最強のインターネットエンジェル(配信者)を目指す承認欲求強めな女の子(超絶最かわてんしちゃん)との生活を描くマルチエンディングADVです。配信を行いながら、ちょっぴり病んだり、ストレスが減るやつをキメたりする日常を過ごしつつ、超絶最かわてんしちゃんのフォロワーを増やしていきます。様々な形の破滅を体験しつつ、この物語にハッピーエンドが存在するかどうか、あなた自身の目で確かめてください。
つまり、NEEDY GIRL OVERDOSEはメンヘラな配信者の女の子と生活をするゲームなんですね。控えめにいってヤバイ。それで、この女の子があめちゃんっていうんですがかなり可愛い、いやKawaiiかったです。
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最初はメンヘラクソ女だと思ってたんですが、フォロワー〇〇万人突破の配信で語られるあめちゃんのエピソードを観てるとかなり純粋で真面目なことがわかるんですよね。ああ、この娘結構ちゃんとしてんじゃん、顔が良いだけじゃないじゃん。それが第一印象でした。
でも、そうは問屋がおろさないんですよね。配信にはそれぞれテーマが設定されてるんですが、テーマを深堀りしてくとどんどん豹変してきます。具体的にどんな風に変換するのかは実際に確かめてほしいですが、これがかなりキマっていて大体が強烈で破滅的なエンディングを迎えます。ちなみに、自分のお気に入りは陰謀論に目覚めるあめちゃんです(余談ですが、初回プレイのあめちゃんはセックス依存症になりました)。
あと、ストレスと好感度、やみ度の3つのパラメーターがあるんですが、このパラメーターによってもあめちゃんのキマリ具合も変わります。例えば、ストレスが溜まりすぎると配信で叫び出したり、やみ度が高くなると練炭を買いにいこうといわれたりします。余すことなくメンヘラの女の子を味わえのがすごいです。
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ただ、真人間になるエンディングもあるので、良くも悪くもあめちゃんの人生ってプレイヤーの手に完全に委ねられてるんですよね。ホントにプレイヤーの選択次第でガラッと変わる。そう考えると、プレイヤーの判断で毎日おクスリをキメさせられたり、P活させられたりするのはかなり不憫な気がします。プレイしてて罪悪感みたいなものを感じてました(そして、その罪悪感は隠しエンディングで見事に牙を剥いてきました)。
でも、そうは問屋がおろさないんですよね(2回目)。マンション購入エンドを始めとして、あめちゃんに捨てられるエンディングがあるんですが、これがひどい。やっぱりメンヘラクソ女じゃねーか!とモニターの前で叫んでしまいました。トラウマになる人もいるんじゃないですかね。
ここまでプレイヤーの心を揺さぶってくるADVは中々ありませんよ。あめちゃんがプレイヤーに依存しているだけと見せかけて、プレイヤーもその実あめちゃんを過剰摂取して共依存してしまう。そんな魅力があるヒロインでした。まさにOVERDOSE。
細部に神を宿すデザイン
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そんな超絶最かわてんしちゃんことあめちゃんを支えるのが、ゲームのグラフィックや演出です。これがかなりこだわってる。
まず、あめちゃんとコミュニケーションを取る方法がパソコンのデスクトップ上のアプリなんですよね。あめちゃんの様子はウェブカメラアプリで確認し、メッセージのやりとりはLINEっぽいアプリで行われます。ほかにも、デートはデート中の過程をすっ飛ばして、後でTwitterっぽいアプリで確認したりとあめちゃんとのコミュニケーションを全部デスクトップ上で完結させようとする工夫が感じられました。
あと、あめちゃんがおクスリをキメるエフェクトもバリエーション豊かで、BGMの歪み方なんかは実体験なんじゃないかと思うくらいエグかったです。プレイしててトリップしかける場面が何度もありました。
今日も僕はあめちゃんに会いに行く
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色々と感想を書いてきましたが、とにかくプレイヤーの心を絶対に動かしてやろうという野心を感じる作品でした(I Need Youのエンディング含めて)。既存の面白さの型にはまらない作品で、とにかく感性が動かされて疲れました。
しばらく自分の頭の中はあめちゃんでいっぱいになるでしょうね。あめちゃんロスです。いや、ロスを解消するために毎日あめちゃんに会いに行くと思います。それほど心を揺さぶられました。ひょっとしたらこれが中毒になるということなのかもしれませんね。では、また。
追記、ここからは隠しエンディング含めた考察(ネタバレあり)。
隠しエンディングはプレイヤーの助けなしでもあめちゃんは配信者としての目標を達成できる、というものでした。このエンディングはほかのものよりも、より自分の無力さみたいなのを感じさせられました。ハッピーエンドを求めてた自分にとってはかなりキツかったです。
そこで自分は、どうしてこのゲームはこんなにもプレイヤーを突き放すのだろうと考えました。どうして、あめちゃんとハッピーエンドを迎えられないのだろうと。
そのとき気が付きました。あめちゃんはそうは思ってないんじゃないのかと。
ハッピーエンドを迎えたいのは自分勝手なエゴで、あめちゃんに押し付けてるだけなんだとわかりました。このゲームにおけるプレイヤーはあめちゃんの協力者である「ピ」という立場でものを見てますが、その実配信者に自分勝手なエゴを押し付けるリスナーと変わらないんですよね。しかも、ゲーム中に超てんちゃんに群がるリスナーは醜く見えるようになってるので、かなりキツい。自分に帰ってくるからね。
このゲームはヒロインを助けたい!というプレイヤーの気持ちを、それはエゴだよと伝えることでプレイヤーに深い内省を与えるようになっている気がします。題材を考えると、エゴが渦巻くインターネットをちょっとでもなんとかしたいという気持ちも見え隠れします。まあ、作者の人もそこまではなんとやらかもしれませんが。
しかし、気になるのはあめちゃんにとってのハッピーエンドです。色々考えられますが、あえて隠して答えを出さないようにしたんじゃないかなと思います。なぜかといえば、あめちゃんは皆んなを救う最強のインターネットエンジェル、超絶最かわてんしちゃんだからです。自らのハッピーエンドを捨ててインターネットとリスナー(プレイヤー)を救おうとしてるからです。いや、ひょっとしたらプレイヤーが内省することこそ彼女にとってのハッピーエンドなのかもしれません。
このゲームはホントに複雑です。あめちゃんと超てんちゃんの2重性、現実とインターネットの2重性、リアルとゲームの2重性などが折り重なってます。パイの実かよ、とこの考察を書いてて思いました。
ひとまず、このゲームにおいて自分なりに納得できる答えを出せた気がします。やっと、あめちゃんロスから脱却できそうです。
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