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認知症という悪魔

認知症はいろいろな症状が出る。単なる物忘れだけじゃない。
介護の仕事をしてきた中で、一番怖かった認知症状

幻覚・・・幻聴・・・

夜勤をやっていると、平和に終わるということはあまりない。
逆に利用者の行動に、背筋を凍らすことが多い。

仮眠から戻ると、風の入る音が聞こえたので居室を見て回る。

利用者の居室に入ると、ベットにも部屋の中にもいない。
一瞬で目が覚めて、胸がざわついた。

ふとベランダのほうを見ると、窓が開いてカーテンが揺れているのが目に入る。
終わった・・と思いながらベランダのほうへ行くと
ベランダの柵につかまり、外を眺めている利用者がいた。

「どうしました?」と声をかけると、ゆっくり振り向き

「あらおかえり、見て今日はきれいな月よ」と微笑む

目の前は大きな工場で、ベランダからは何も見えない。
薄暗い、微かな光に照らされた顔は今でも忘れることがない。

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