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実効再生産数とは

実効再生産数とは、「ウイルスに感染した人が次に何人に感染させるか」という指標です。別の表現をすれば、「一人の感染者が新たに何人の感染者を生産するか」という指標です。Rtと表記します。Rtが0なら誰にも感染させませんし、1なら一人だけ感染します。Rtが0.5なら、50%の確率で一人感染させます。

この値は誤解されていることが多いですので、ちょっとまとめておきます。

ウイルスの実効再生産数の性質

実効再生産数はウイルスの固定値ではなく、人間によっても変化する
ちゃんと自粛すれば、その日から減る
0.1違うだけで大きく変化する
値が2倍になると、感染者数は倍ではなく、毎日2倍に増える


説明

実際にどのように感染者数が変化するかお見せします。実際の新規感染者数を計算するには、「最初の感染者数」と、「感染後何日目に他人に感染させるか」を決めないといけません。(実際の感染では初日にいきなり全力感染するわけではないです)

実効再生産数2

Rtが2の場合です。新型コロナの場合、感染後5日(早い人は3日)で他者感染が始まると考えられています。

5日目に、2人の感染者が発生し、合計で3人の患者が発生します。

10日目に、前回の感染者2人が次の感染者を2人ずつ生み出して合計4人の新規感染者を生み出し、合計で7人の患者となります。

15日目に、前回の感染者4人がそれぞれ2人ずつ感染者を生み出して合計8人の新規感染者を生み出します。一方、感染から12日前後で快復する人は快復するので、15日目の時点で最初の感染者は快復、患者数は1人減ります。患者数は合計で14人となります。

このように、次々と前回の新規感染者のRt倍が新規感染していきます。当然、Rtが大きいほど感染者数が増えます。Rtが2の場合、1月で累計127人、2ヶ月で8191人の患者が発生します。

実効再生産数の違い

これまでの武漢タイプの新型コロナウイルスは、Rtが3.4程度と考えられています。
この場合、新規感染者は1月で累計2188人2ヶ月で3380762人(338万人)の患者が発生します。


さて、変異株はさらに感染力が高まっており、Rtは6以上と考えられています。こうなると悲惨です。

実効再生産数6の脅威

新規感染者は1月で累計55987人2ヶ月で2612138803人(26億人)の患者が発生します。つまり、何もしなければ2ヶ月待たずに国中にいきわたるポテンシャルがあるのです。

なぜ、日本でここまで蔓延していないかというと、単に今までの自粛効果が日本におけるRtを大幅に下げていたからにすぎません。今、路上で酔っ払って暴れていらっしゃる方たちや、防護を放棄してしまった人たちはこのRtを引き上げているのです。

まとめ

実効再生産数は、感染ごとに影響します。実効再生産数が2倍になると、患者数は2倍ではありません。感染のたびに2倍なのです。日を追うごとに、2倍、4倍、8倍になるのです。

ウイルスの性質自体は変化しません(変異で強くなることはある)。人間側が行動を変え、感染を抑える必要があるのです。

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