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ランニング・ジョギング中はマスクをつけるべきか

マスクの着用が、多くの場所では義務ではなくなりました。もちろん、施設管理者が着用を要請すれば従う必要があり、拒否したら最悪の場合退去させられます。退去を拒否した場合、「不退去罪」に該当して、刑法130条に基づき、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に科せられ、かつ民事裁判もくるかもしれないのでご注意を。


さて、ウンチクはこれくらいに。本記事では「ランニング中にマスクをつけたほうがいいのか」を論じようと思います。現在の政府発表では、一般公道においてマスクをつける必要はまったくありません。しかしながら、マスクをつけることにも一定のメリットがあり、人によっては、あるいは環境によっては、走る距離やスピードによっても話が違ってくるのです。

そこで今回は、富岳 のシミュレーション結果からマスクなしの大まかな感染力が提示されたので、そちらを根拠に「ノーマスクランニング」と「マスクランニング」の危険度の違いを大まかに計算してみました。あくまで、「大まか」なのに注意。記事にもありますが、感染リスクは色々な前提で変わります。

新型コロナウイルスのオミクロン株や後継株は感染力が大きいのと、ランナーは呼吸量が多くて息の勢いもあります。よって、富岳の結果よりすこし条件をきつめに、つまり感染の危険度を大きめに見積もります。

基準

ランナーと比較するために「ノーマスク、距離1.5m、15分間の会話、呼吸」を危険度1とし、これを基準に危険度を0~1の間で算出します。ポイントは、「感染空間体積を基準とすること」。


そして、
「ランナーが感染させる」
「ランナーが感染させられる」
の2つに分けて考えます。これは、ランナーが感染させるときは「一瞬のすれ違い」にのみ感染機会がありますが、ランナーが人ごみを走るときには感染機会をコレクションしていく、あたかも鎮西の乙事主のごときリスクの蓄積があるから。

結論

結論を先に出すと、
・ランナーは基本的にマスクをつけなくても感染確率は低い
・ランナーが通りすがりの歩行者に感染させる危険度は0.0012。これは同じ人物と833回すれ違わなければ危険度1にはならないということで、かなり低いと見てよい。
・逆に、ランナーが通りすがりの感染者から感染させられる危険度も0.0012。ただし、これはランナー本人にとっては蓄積していくリスクなので、距離と人との交錯が増える場所ではリスクが増える。833人の感染者とすれ違う可能性があるような人ごみは避けた方がよい。

というものです。熱中症で倒れて病院に担ぎ込まれることの迷惑や医療への負担を考えると、確かに人のいないところをノーマスクで走った方が社会全体としては良さそうですね。

イメージ図はこう。(加害・被害という表現は、意味を理解しやすくするためのもので、責めているわけではないのでご注意を)


ランナーは時速10kmで15分間走ると2500m移動できます。もしもランナーが新型コロナウイルスに感染していた場合、幅3m、長さ2500m、高さ2mの長方形の空間を汚染します。
とんでもない汚染に見えますが、実際にはウイルスが薄まったり空気乾燥で死滅したりするので(だから15分間の会話が必要)、とても薄い汚染度であり、歩いているよりも早く薄まるのでむしろ安全です。どれくらいかというと文字通り1/833くらい安全。

逆に、未感染ランナーが、通りすがりの感染者から感染させられる危険度も1/833。なぜなら、感染者のそばを3mにつき1.08秒で通過してしまうから。

ただし、さっきと違うのはウイルス感染機会を集めてしまうような走り方をする場合。たくさんの人とすれ違う皇居ランナーには注意して欲しいところです。

でも可能ならマスクをつけたほうが良いし、使わなくても持っておくべき

なお、マスクの使用については、熱中症や酸欠の心配が無ければ付けることをオススメします。なぜなら、冷たく乾燥した空気は、それだけで喉と気管の粘膜を傷害するから。粘膜は免疫系の一次防御の要であり、ここが傷害されると少量のウイルスでも侵入しやすくなります。

また、ランニング中にトイレを借りたくなったとき、コンビニや公衆トイレなど、他の人が使う可能性がある施設にノーマスクで入るのは、感染リスクもありますが選択肢が減るのでお勧めしません。マスクを持っていればマスク有り無し選べますが、もっていない人はそうではありません。マスクの着用義務に関して一番権限が強いのが施設の管理者なので、たとえ漏れそうな状態でトイレを借りたくても、持ち主がダメといったらダメです。ランニング中に付けていなくても、いつでも付けられるように個別包装のマスクは持っておくべきでしょう。

ランナーの練習方法

呼吸が荒くならなくてもできる練習には「LSD(薬物ではないやつ)」という練習法がありますから、街中ではこれ。呼吸がつらくなるような1000mランのような練習は競技場や山の中、川沿いでやるなど、練習メニューと場所を組み合わせて感染リスクを減らしつつ練習するのがいいと思います。

計算書はこちら

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