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ヴェネチアは大人のディズニーランド

 どこかで、タイトルの表現を読んだことがあった。行ってみて、絶妙な言葉だったと感心した。

 大学からの友人でオーストリア人のAlexの結婚式に招かれ、オーストリア南端の街を訪れた後、友人からヴェネチアが近いよ、と教わり行ってみたのだ。近いとはいえ、ついでに国境を越えて隣の国に行くことなんて思いつかなかった。島国育ちのせい?単に視野が狭いだけかもしれない。

 友人の結婚式の次の日、バスで数時間、その後鉄道に乗り換えて着いたヴェネチアは縦横に走る水路にゴンドラが浮かび、大小の橋が連なるまさにディズニーランドのような場所だった。表にはスーパーなど生活感のある店が見当たらず、美しい革の手袋がウィンドウに飾られた重厚な雰囲気の店や外にもテーブルを並べている気取ったレストランなど日常から切り離された世界。どこを切り取っても絵になる。

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 華やかな表通りをひととおり楽しんだ後、雑誌で見たアンティークの店に行ってみようと裏通りに入っていった。普段から地図は読める方で、割と自信はあった私の方向感覚は、迷路のように入り組んだこの街には通用しなかった。早々に地図に頼るのを諦めて、店もあきらめ、思いつくままに角を曲がり進む。探検気分でうきうきする・・・ことはなかった。裏通りは薄暗く、人々が生活しているはずだが音も無くうらぶれた空気。途中、老夫婦とすれ違う。こんなでこぼこの石畳の通りに橋だらけの街で生活して足を痛めないか心配になる。

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 ようやく表通りに戻れてほっとした。やはりディズニーランドは表が良い。観光客向けの土産物屋が並ぶ通りを歩く。ヴェネチアングラスでできたアクセサリーの店、カーニバルのマスクが重なりぶら下がった華やかな店、何故か大学のロゴマークをプリントしたトレーナーを売る店、観光客でごった返すその通りで見つけたのがこのモザイク造りの指輪。ヴェネチアングラスを砕いて、組み合わせて、ひと手間かかった可愛らしさが気に入っている。

 一つひとつのガラスの高さが揃わない造りは、ヴェネチアのでこぼこした石畳にも、ガラスの隙間は入り組んだ水路にも繋がって見える。宝石とは違って見飽きない宝飾品だ。

magazine "foreign bijou" vol.9


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