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2024年01月28日_星の子をみて②

※ネタバレあり
※ただの映画の感想。自分なりの感想も織り交ぜて
※基本的に太字がただの感想

~①からの続き~
母の兄は、ちひろの両親を試す行為をする。
陰で【金星のめぐみ】のペットボトルに普通の水をいれ、いつもの儀式をしてもらい「どうか?」と尋ねる。
父と母は知らないので、力がみなぎると言う。
ここでネタばらし。公園の水道の水を入れ替えたと…
【金星のめぐみ】を捨てたという。
気が付かなかったのだろうと、、段ボールに入った全てを変えて
2ヶ月間も気が付かなかったと。
 
両親は怒りに震える。
兄は理解していなかったのだろう。
【金星のめぐみ】は“水”はもう水ではなく、神格化された神
のようなものになっていた。
自分達の神を捨てる行為だったのだと。
兄としても、やはり理解してほしいがために行った。
実の妹に、そしてその娘たちを救いたかったのだ。

実は母の兄の協力者がいたそれは…“姉”であった。
これが姉の家族と疎遠になった始まりなのかもしれない。
 
「帰れー!!」と両親は母の兄に叫ぶ。
その様子をみてちひろも、バトミントンのラケットで
母の兄を追い出すのであった。
母の兄も母に目を覚ますよう伝え言い合いとなる。

「かえって!!」
そこにはハサミを持ち、息が乱れた姉が立っていた。
家族を裏切った事の罪の意識、自分が加担してしまい招いてしまったこと。
この時点では姉は、家族を捨てきれずにいたのだろう。
切ないシーンだった。

 
回想シーン2

団体の施設で子供だけが集まり、しょうこさん(黒木華さん)が
語りかけていた。
仏壇も部屋の壁際中央に置かれている。
組織化されているので、団体自体大きなものなのだろう。
広報誌もあり、専用の施設もある。それなりの入信者がいる事がわかる。
 
回想シーンから戻り物語は進む

小学生来の友人と放課後教室に残り宿題をしていた。
この友人は家族の事も話しているようすだった。宗教団体の皮肉も言うような仲だ。そして、イケメン教師の車で家まで送ってくれることとなった。
トイレでちひろはリップを塗る。可愛くなり先生に少しでも
よく見られるように…
友人たちは気を利かせ、ちひろは助手席に座る事になった。
道中はドキドキだよね。こういうとき。

家の近くに着き降りる時
「待て!変なのがいる。不審者だ。」
それは、頭にタオルを乗せて水を被る儀式をしている両親なのだ。
大好きな人が、両親を変人扱いしている。
「完全に不審者だ。」
ちひろは涙を堪えていた。言葉を発するととめどなく涙が溢れると分かったのか無言のまま飛び出した。
先ほどのドキドキではなく、もっと異物がうごめく気色悪い鼓動
がちひろを襲っているようだった。
これも共感した。
自分の場合は、めちゃくちゃ隠したかった。
知られるのが恥ずかしいと思った。
特に小学校の時は細心の注意をしていたと思う。
無邪気で純粋な子供は、無垢なまでに言葉の刃を簡単に振るう。
当人たちはからかっているだけだと思うけどね。
ただ受けて側としては、色々考えるよね。学校中に広まったらとか、友達の親が「あそことは付き合うな」とか言うのかな、とか。

 
ちひろは行方不明の“姉”の姿を探す。
今の状況を唯一の理解出来ると思ったのが、姉だったのだろう。
ただどこを探しても姉はいない。
 
帰宅したちひろ。
両親はもちろん知らなかった。元気がなく食欲がないと分かると
ちひろの頭にタオルをかけ、水を掛けようとした。
激しく抵抗した。そして昔と違い、プライベートな部屋が無いちひろは
食卓とつづき間になっている部屋の布団に倒れるしかできない。
…つらいね…おねぇさんかえってきて。
 
学校の廊下を歩くとイケメン教師が、なんか不機嫌なご様子。
「昨日の事は言うな。」
すれ違い様にいう。
『ちひろだけを家に送った』と事実が曲がって学校に
広まってしまったのだ。
「また教頭に言われる。。」
と苛立ちを隠すこともしないままでいる。
 少しの沈黙のあとちひろは言った。
「昨日の不審者は、わたしの親です」
言わなくても良かったはずなのに、しっかりと前を向いて伝える姿だった。
色々な葛藤の末、しっかりと伝えようとした。
イケメン教師の軽蔑する薄ら笑い。
「嘘です。」
ちひろは走り去った。
 
おい!イケメン教師!お前は…ちゃんと心のケアせんかい!
分かるだろ、せめて教壇にたつなら分かれ!ばか

 
ちひろは保険室へ。
熱を測ると熱があった。早退を促す先生。
ちひろはカーテンごしに保健の先生に聞く。
「私、この水飲んでいるから風邪ひかないんです。」
例の水を一口飲みながら言う。
「それでも、風邪ですか?」
 
たぶんだけど、先生はちひろの家庭環境を知っているんだよね。
お水の力とかも、それとは別で心の葛藤をしているちひろも理解している。
返答が難しいよね。
風邪であると言えば、水の力を否定することになる。
それはちひろの家族を否定する事になってしまう。
風邪でないと言えば、水の力を肯定する。
でも葛藤しているちひろの心を否定してしまう事になる。

カーテン越しに行うやり取りは、懺悔室の牧師とのやり取りみたいな
シーンだった。

沈黙のあと、保健の先生は「風邪でしょ…」
そっとちひろの背中を押したように感じた。
くうを眺めるちひろ。
 
教室のシーン
またまた相も変わらず先生の似顔絵を描くちひろ。
落ち着きのないホームルームでイケメン教師はイライラしていた。
何度目かの注意したのち、ついに彼の沸点は頂点へ達した。

「いつも先生の似顔絵書いているやつがいる。」
「気色悪い水をしまえ」
「水のんで風邪を引かないなんてない。両親にも言っとけ」
「学校は絵を描く場所でも、宗教の勧誘をする場所でもない。」
 
矢継ぎ早に言葉の暴力がちひろを襲う。
防ぐ術をしらないちひろはただただ受け続けるしかない。
動悸が早まり呼吸が乱れるちひろ。
そりゃそうだろう。こんな同級生がいる教室で
家族を否定され、宗教を公表され、似顔絵書いていることも
ばらされ。
まだ青くて若い心をこれでもかと乱暴に扱う。

 
ホームルームが終わり、ちひろの目には堪えきれない涙があふれた。
次から次へと…
友人とその彼がやってきて優しく声を交わす。
友人たちはちひろを理解する。家族や宗教よりも彼女自身をちゃんと見て
理解しようとしていた。
演技とか分からないけど、芦田愛菜さんの涙が溢れる演技と、この友人たちとの一連のやり取りの流れ(すこしクスッとくる)がとても感動的たっだ。
 
両親と団体の集まりがある為、電車に乗り集合場所でそれぞれバスに乗った。
バスの中は子供達だけで乗っている様子だった。
両親が入信しており必然的に入信している。いわいる二世というやつだ。
この子供達の会話もリアルだった。
子供の頃から、人によっては生まれた時から入信している。
そして、多感な時期に入り信仰に対して感じる事は人それぞれだった。
両親と同じく信仰を深めている子、ちひろのように少し疑問をもつ子など。

 
団体の施設があった。
たぶん全国に入信しているめちゃくちゃでかい団体だ。
 団体名はたぶん【ひかりの壺】かな?
集会の時に隣の人と話すシーンがあった。
その隣の人は祖母の代役といて参加しており、お金をもらう代わりに
参加をしている。
「ここ、やばいんじゃないの?リンチしたり人をさらったり」
と宗教の噂話を口する
これも結構あるあるだと思う。
たとえば入信してる人が犯罪を起こしたら、○○という宗教団体は犯罪をすると全体で括るのが”世間”だ。
人間なので、いい人もいれば悪い人もいる。たまたまその人がいただけの話。でも、思い起こせば自分もそうだよね。
たとえば、吉本芸人が女性問題を起こせば“芸人”はそういうものだとか
ひとくくりにしてしまいがち…我が身を直せとな気をつけよ。

 
今回の集会は決まったカリキュラムがあるみたいだった。
何時に講堂にあつまる。何時に瞑想とか
ちひろも幼い頃から体に染みついた動作をもくもくとこなしていた。 
ちひろにとって今回の集会で移動、宿泊部屋が初めて両親と離れ離れとなったらしくいつもの集会の光景が、いつもと違う光景と認識しだんだん不安になっていった。いつも両親と一緒だったのに…
館内を走り回る。
姉がいなくなってしまったこともあってからなのか、不安が増していた。
その矢先、母が現れ安堵の表情を浮かべた。
 
家族三人で星の綺麗に見える場所へ
ここが映画の最後のシーン
 
母に誘われて星がきれいに見える場所へ
三人で肩を並べ、レジャーシートを敷き、星を眺める
両親が伝えたかった事。
「まーちゃん(姉)、子供生まれたって」
「子供…元気なんだ…」
 
ちひろの眼から涙がこぼれた。
大好きな姉が元気でいること。生きていることそして、
居場所を見つけ家族が出来てることに。

今までの涙ではなく、温かい涙みたいにみえる。
そして両親もちひろ同様、姉が元気でいてくれて良かったんだ。

このシーンだけは、どこにでもいる温かい普通の家族だった。
というよりも、最初からちひろにとっては普通で、だけど唯一特別の
家族なんだろう。

三人は満点の星空を見上げ、一緒に流れ星をさがした。
 
家族の愛がテーマだと思った。
共感できる部分も多く、宗教への偏見や心無い言葉の痛みも分かる。
姉も子供が出来たと両親に電話したという事は、
どこかでまだ家族の繋がりを切れずにいたのかな。
そして、姉は親になったいま思う事はなんだろう。


素敵な映画でしたー。

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