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normalization(完)
その匂いを嗅いだのはこれで三度目である。
遥か彼方に視線を移し、昼間だというのに煌々ときらめく不自然な三日月を度のキツイ黒縁メガネで覗いていた。
今の僕にはそれが精一杯の抵抗で欲望の淵から彷徨う背後霊のような僕がいたに違いない。
これは勝手な想像だが匂いというものは既に記憶された統計に過ぎずそれに抵抗しない自分が欲しかった。
小田急線はいつもの色彩をまといながらも新宿から箱根に向けて走りだしてい
その匂いを嗅いだのはこれで三度目である。
遥か彼方に視線を移し、昼間だというのに煌々ときらめく不自然な三日月を度のキツイ黒縁メガネで覗いていた。
今の僕にはそれが精一杯の抵抗で欲望の淵から彷徨う背後霊のような僕がいたに違いない。
これは勝手な想像だが匂いというものは既に記憶された統計に過ぎずそれに抵抗しない自分が欲しかった。
小田急線はいつもの色彩をまといながらも新宿から箱根に向けて走りだしてい