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個人的なエッセイたち

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記事一覧

余白のある街、プラハ。「広場、pavláč、そして芸術」

ため息すらつけないような東京の日々から逃れて、海外旅行。 最初に訪れたのはチェコの首都、プラハだった。 直前まで忙しかったからか、久しぶりの海外だったからか、なんとなく実感がわかないままプラハ空港に着陸してしまった。 着いたのは夜。 夜景を見てもイマイチ感動できない自分に、「旅行の楽しみ方も忘れちゃったのかな」と不安を憶える。 空港まで迎えに来てくれていた友達とともに、バス、メトロ、路面電車を乗り継ぎ、友達のいとこの家へ。 そこで迎えてくれた友達のお姉さんと、3人で食卓

スコットランドを歩く【歴史とともに生きる、とは】

スコットランドに来た。 恥ずかしながら、空港に着くまでスコットランドは1つの国だと思っていた。ここ、イギリスの一部なんですね。恥ずかしい。 街を歩く。 チェコと同じく、歴史的な建物の数々。壁という壁に使われている石の、重厚感のある感じ。 通行人は、こちらのほうが足早かも。「みんな、ここじゃない、どこか別のところに目的地があるんだろうなぁ」と感じさせるリズム。 歩きながら、なんとなく、チェコにいた時よりもリラックスできている自分に気付く。 訛りがひどいとはいえ、スコッ

“東大なのに”勉強がトラウマになってしまった僕の、復学してからの6ヶ月

こんにちは、ゆーのです。 ぼくは「“主体”がゆらぐ場づくり」をモットーに、日々ワークショップや演劇の探究と実践をしている対話と場づくりの人です。最近は、介護やケアなどの事例や、現象学を切り口にして、「わかりあえなさ」のことについてもっとよく考えてみたいと思っているところです。 今日は、ぼくの個人的な話をさせてください。 これからお読みいただくのは、東大なのに勉強ができなくて、どうしてもできなくて、でもそれが悔しくて、つらくて、だから、がんばってがんばって、見えない恐怖とた

「怒られたこと」と、向き合えた話

恥ずかしながら、ぼくは怒られることがとても怖い。 それは生まれ持った性格なのか、はたまた“いい子ちゃん”として生きてきたからか…。理由はよくわからない。 今、ぼくは教習所に通っているのだけれど、先週、ぼくは教官に怒られて凹んでいた。 今日はそのお話。 今思えば、全然大したことじゃない。 マニュアル車で難関とされる“坂道発進”。そこで案の定エンストしたときに、教官が舌打ちをして「早く(エンジン)回せ」とイラついた態度をとった。それだけ。それ以降も不機嫌ではあったけど、

思わずカッとなってしまう自分の、無意識をさぐること。

こんにちは、ゆーのです。 ↓自己紹介 対話と場づくりの人。散策者所属。東京大学物理工学科。ワークショップ企画運営の軸に《場のゆらぎ》を据えています。関心キーワードは現象学、組織文化。最近はもっぱら、オンラインにおける対話の可能性と限界について考えています。Twitterはこちら。 思わずカッとなってしまう自分について、考えてみる誰にでも、思わずカッとなってしまうことや、思わず怖くて泣きたくなってしまうことがある。 そのきっかけは誰かの言葉だったり、街角の広告だったり、

僕の生活リズムに必要なのは、1本の輪ゴムだった。

生活習慣の終焉起床。なんか窓の外が明るい。 何時だ?あ、14時か。 そろそろ活動するかーと、体を起こしながら、昨日何時に寝たんだっけ、と考える。確か、5時。 「新型コロナウイルスの感染拡大により〜」 という接頭辞は、街を歩けば(急用です)もうどこでも目に入るけど、それが他人事じゃなくなってしまった。 こちら、新型コロナウイルスの感染拡大により、生活習慣、ダメです。 外出の予定もなければ、そもそも予定すらない。 1日24時間を区切るものがないから、だらだらと過ごし

ちょっとだけ、聞いてくれませんか。僕のやりたいこと。

こんにちは。 突然でごめんなさい。ちょっとだけ目をつむってみてください。そうして、身のまわりのいろんなものや、いろんなこと、を思いうかべてみてほしいのです。 なにか、思いうかんだでしょうか? これから先は、いま、思いうかんだものを持ちつづけながら読んでみてほしいのです。 この世の中には、わかりやすいもの、がたくさんあります。 たとえば、ネット記事とか、本にのってる図とか。駅、なんてところも、それはもうわかりやすすぎて、僕らは気にもとめないくらい。 一方で、この世の

成長前夜の、ひとり

なにもないような夜、 目の前には、ただひたすらに黒い、壁が広がって、木材を重ね合わせてできた壁。僕はただそこに佇んでいて、壁を眺めながら煙を口に含んでいた。 イヤホンから流れる音楽が、僕の世界。 そこから立ち上がる世界が、目の前の壁と合わさって、僕をひとりにする。たまに通り過ぎるサラリーマンだけが、これが現実であることを思い出させる。 あるきだす。サンダルの隙間の素足を、一気に、空気が冷やしていく。 トレンチコートの、帰宅途中の女性たちが向こうからやってきて、やがて

ぼくと黒猫

実家に、ネコがいる。3匹。 物怖じしないおっとりな性格のラグドールと、小さくてやんちゃなキジトラ、そしていつも隠れている黒猫。 黒猫は、うちに馴染まなかった。大きくなってからうちに来たためか、はたまた、うちに来る前に何かあったのか。 黒猫のキモチは誰にもわからないけれど、事実として、彼女はふだん、家の二階、すみっこの部屋の、これまたすみっこの机で、ひたすらに隠れて姿を見せない。 一番仲がいいぼくにすら、帰省してすぐは顔を見せないほど。帰省の期間は短いから、いつもちょっ